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鮭のちゃんちゃん焼き 長野の竜眼の繊細で穏やかな果実味の繋がり

北海道の郷土料理、鮭のちゃんちゃん焼きにワインを合わせる。
「ちゃんちゃん焼き」の名前の由来には諸説あり、“ちゃっちゃとくつくれるから”、“お父ちゃんがつくるから”、“焼くときに鉄板とヘラがチャンチャンという音を立てるから”、などとされる。発祥とされる石狩では、昭和初期ごろに船上で漁師たちが釣ったサケをドラム缶からつくった鉄板で焼いて食べたのが発祥と伝わる。気取らず手軽に、身近に楽しまれてきたことを想像させるエピソードで、いまや全国区の料理だ。

ホットプレートにキャベツ、ニンジン、ネギ、エノキタケを敷き、その上に鮭の切り身を載せ味噌を添える。フタをしてしばらく待って蒸し焼きに。鮭の旨味と味噌のコクが染み込んで野菜もおいしく食べられる。

デ・ボルトリ, ロゼスパークリング, オーストラリア, ニューサウスウェールズ州
De Bortri, Lorimer Sparkling Rose

シャルドネ80%、ピノ・ノワール19% シラーズ1%のブレンド。白ブドウ:黒ブドウ=8:2ながら、黒ブドウからの抽出が多いか色調の強めのサーモンピンク。快活な泡立ち。
香りにはストロベリー、チェリー、フランボワーズなど赤色のベリーが快活に豊かに広がる。
風味にはチャーミングで力強い明瞭な果実味、やや穏やかな酸味、よく熟した果実の柔らかい甘み、タンニンは非常に滑らかながらわずかに舌に存在感を残す。
鮭のちゃんちゃん焼きに合わせると、ワインが開栓から数日経過していて(先日、居酒屋で飲み残したものを持ち帰らせてもらった)、本来なら魚のほのかな磯臭さを抑えてくれる泡が抜けてしまい刺激不足だったか。ワインのチャーミングな果実味に鮭の脂が反発して臭みが立ち上がってしまった。相性: ★★☆☆☆☆

五一わいん, エステート・ゴイチ, 龍眼, 長野県, 1,782円

龍眼は「善光寺ブドウ」の名でも知られ、生食でもワインでも楽しまれる。カスピ海周辺が原産と言われ、シルクロードを経て中国、日本へと渡り、長野県に根付いたとされる。
このワインの香りにはカボス、スダチなどの果皮の青い柑橘の香り、グレープフルーツも。酵母やほのかにナッツのようなニュアンスと還元香か、マッチ棒の先のような匂いも。白い花、香りのボリューム自体はかなり控えめ。
風味にはみずみずしい果実味、酸味は穏やか、まっすぐで伸びやか、繊細でピュアな果実味。ほろ苦さも柔らかく繊細な旨味のようなニュアンスも余韻に。やや繊細さが強いので料理を合わせる際に留意したい。
ちゃんちゃん焼きの味噌の発酵の香りがワインの発酵の香りによく繋がり、竜眼の繊細でスリムな果実味の主張は穏やかでこの繋がりを優しく見守る。鮭のリッチな脂と旨味にはワインがやや繊細過ぎたかもしれないがしっかりと寄り添ってくれた。相性: ★★★☆☆

タイユヴァン マコン・ヴィラージュ・ヌーヴォー ヴィエイユ・ヴィーニュ 白・ロゼ赤の3本セットで14,850円(単価では6,500円)
Les Caves Taillevent, Beaujolais Nouveau, France, 2022, 13%

香りにはフレッシュなリンゴの果実香、ほのかに白い花のフラワリーなフレーバー、香りのボリュームは軽め。
果実味はみずみずしく凝縮感は軽快な口当たり、やや穏やかに感じる酸味。樽の香りなどの醸造のテクニックをいろいろと乗せたシャルドネも良いが、すっぴんの新酒のシャルドネはアタックから余韻まで一貫して軽快、それが新鮮で個性的。心地よい軽快さだ。
軽快ながらシャルドネのニュートラルな果実味の包容力は卓越していて、しっかりと鮭の脂と味噌の風味を包む。期待以上のレベルではないが心地良い繋がり。相性: ★★★☆☆

味噌の素朴な風味に竜眼の繊細で穏やかな風味がよく寄り添ってくれる。ただ、繊細で風味ボリュームが控えめなので、料理の風味ボリュームとしっかりとチューニングする必要がある。

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