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ハリッさばの鮮烈な辛味 スペイン土着品種メンシアの赤ワイン

コーヒーと輸入食品のワンダーショップ、カルディをうろうろするといつの間にかカゴにいろいろと入れてしまっている。今回は“ハリッさば”というものを見つけた。

ハリッサは唐辛子を元に作られるペースト状で辛口の調味料で、チュニジアなどで多く用いられる。テレビで紹介されて一時、世間のハリッサが品薄になっていたがいまや落ち着いている。その真っ赤なハリッサの調味液に大きな鯖の身が浸かった状態で缶に封入されている。なんという素晴らしいものを思いついたのだろうか。値段は約300円。

すがすがしいというかまがまがしいというか、鮮烈な赤色のスープだ。缶を開けると、カレーに共通するコリアンダー、クミンなどのスパイス香も含まれていていやがおうにも食欲をたたき起こされる。ご飯が猛烈に進むおかずだ。

合わせたワインはイベリア半島の中部から北部にかけて広がるスペインのカスティーリャ・イ・レオン州ビエルソで造られたもの。スペイン注目の土着品種メンシアを使った赤ワインだ。

北西部の赤丸で囲った場所がビエルソ
Foods and Wines from Spain様のスペインワイン産地地図より

ラガール・デ・ロブラ メンシア プロダクション リミターダ ビノス・デ・アルガンサ, 2018, 2,178円
Lagar de Robla, Vinos de Arganza, Spain

香りにはプラムジャム、カシスリキュールなどの濃厚な果実香にメントール、針葉樹の爽やかな香りが絡み、カカオにチョコレートやよく馴染んだ樽香も。香りは上質なボルドーワインのよう。芳香成分が多くかつ強く、潮風を嗅いだように鼻が乾くような感覚を覚える。
密度の高い充実の果実味、舌が乾くようなタンニン、強い塩味と酸味、非常に長い余韻、多少の緊張感もあるフィネスのしっかりしたワイン。今年飲んだスペインワインのなかでも最も印象に残るものの一つになりそう。驚異的なコストパフォーマンス。
ハリッさばに合わせる。ハリッサの鮮烈な辛みに鯖の豊かな旨味、脂が負けずにしっかりとバランス。辛味と旨味の爆弾を、ワインの力強い果実味と明瞭な酸味そして塩味がしっかりと受け止めつつ口内を盛り上げる。ワインと料理(缶詰)で合計2,500円で五つ星は自分史上最安値での達成!相性: ★★★★★

もしかするとハリッサの辛味と鯖の脂が赤ワイン全般に相性が良いのかなと、試しに残っていたボジョレー・ヌーボーにも合わせてみた。

ルー・デュモン, ボージョレ・ヌーヴォー・ヴィエイユ・ヴィーニュ・ドゥ・プリュトス・ドゥ・ソワサント・ディザン, 2022, 4,070円
Lou Dumont, Beaujolais Nouveau, France, 2022, 12.5%

ヌーボーとは思えない、古木の力強さを感じる濃い色調、エッジは鮮やかな明るい紫。
香りにはスミレのフラワリーなフレーバーな豊か、フレッシュで力強さのあるブドウはたっぷりとした抽出。
風味には抽出たっぷりでブドウの旨味が力強い、ガメイ品種にも関わらずしっとりと舌が乾くようにタンニンを強く感じる、中庸ながらメリハリのある酸味、充実の風味の素晴らしいヌーボー。
ハリッさばに。力強い果実味が辛味にもそこそこバランスしてそれなりの相性だが、スペインのビエルソのメンシアのような塩味と酸味の質感がなく、鯖の旨味、脂への繋がりはもう一歩というところ。相性: ★★★☆☆

以前はスペイン ビエルソのメンシア品種を鮭の塩焼きに合わせて素晴らしい相性だったが、ハリッさばとも好相性。特に焼き魚や煮魚との相性を色々と試してみたくなる、わくわくするワインだ。


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