見出し画像

推しのいる日々ーその30 推しの新たな旅立ち

推しがソロでステージに立つ。しかも1時間も。そんなことってあるだろうか? 私は第一報を聞いて飛び上がりそうになった。最初に思ったのは「それは可能なんだろうか?」ということだった。

そりゃ彼は本人がそう主張する通り歌手なんだけれど、グループの楽曲で彼が歌うパートは一曲につき1フレーズか2フレーズ程度。ボーカリストが四人もいるグループなのでラッパーである彼の歌パートが短いのは仕方がないけれど、それにしてもいつも短い。

この一年以上、毎日穴が開くほど彼の姿を見、声を聞き、グループの楽曲を再生し続けてきたが、彼がこの一年間でほぼ丸々一曲歌っていたのはたった一度だけ、それも自分の曲じゃない。いわゆるカラオケであったことを私ははっきりと覚えている。

君はなんで歌わないのか。もうちょっと歌ってもいいんじゃないか。と本人にメッセージを送ろうかと思ったくらいなのだ。そんな彼が音楽フェスで1時間のステージをソロで務めるなんて全く信じがたいことだった。

が、やがてそのニュースがフェイクではなかったことが判明した。グループは今後メンバーのソロ活動を積極的に進めていくことになったと発表された。推しのソロステージはその第一弾で、従来はミックステープとしてフリー音源で配布していたソロでの楽曲も、今後はソロアルバムとして正式に発売されるという。彼のソロアルバムは来月中旬の発売だ。

昨年からずっと待ち焦がれていたミックステープ、そろそろ出るんじゃないかとsoundcloudに会員登録して待ち構えていたのに、ソロアルバムとして発売?ってことは発売日にSpotifyで聴けるようになるってことじゃない。ひとことでいうなら「喜ばしい」。

ラスベガスから韓国に帰国してからの推しはたしかにちょっと妙なところがあった。何だか妙に自信満々というか、落ち着きというか貫禄のようなものが見えてるとは思っていたが、それはグラミー賞でのステージをこなしたり、ラスベガスで四日間のコンサートをやったり、憧れのレディガガのコンサートに出かけたりと「グローバルスターの日常」を満喫したせいなのかな、などと思っていた。

が、そのラスベガス滞在中にはもうソロステージの話が来ていたようだ。当時のVliveには推しのソロコンサートについて他のメンバーが発言していた。今思えばあれ架空の話ではなく明らかなスポ(ネタバレ)だった。

その一方で報じられているのは、彼らは今後しばらくの間グループの活動を休止するのではないか、ということだ。ソロで活動するメンバーがいるってことは、その間グループでの活動は止まることになる。ひょっとしたらそのソロ活動期間に軍隊に入隊することを考えているメンバーもいるのかもしれない。世界で最も人気のあるグループになった韓国の若者たちは「いつでもメンバー全員一緒」というこれまでのシバリを解いて、それぞれの道を歩むのだ。

以前から思っていたが、もし、推しとの別れが来るのなら、それは彼が渡米して帰ってこなくなるみたいな事態になった時だろうと思っていた。グループの方向性と彼が指向する音楽性には差異があるし、元々彼がやっていたHIPHOPにもう一度傾倒していくことになったりしたら、そういうこともあるかもしれない、そんな予感はしていた。

が、今の私はたとえそうなっていったとしても別れに怯える必要はなくなった。それには理由がある。

私がついに彼を内心の小部屋に住まわせることに成功したからだ。現実の推しはあるときはK-POPアイドル、あるときはスーパーダンサー、そしてある時はアーティストとして活躍しているわけだが、私の内心には彼の姿、彼の性格、彼の情熱を持つもう一人の彼がいて玉座に座っている。会いたいときはいつだって会えるし話もできる。

推しというものを持った人間がここまでイカれたらもう何も怖いものなどない。来月には初めて購入した彼のグッズ(例の植木鉢)も届くことだろう。未来は明るい。

このnoteには一生懸命日々の彼を追って私がどう感じていたかを記録してきたけれど、もうその必要もなくなった。推しはいつだって私とともにある。だから「推しのいる日々」は今回でおしまいだ。

私はこれからも彼を愛し続けるだろう。だって、彼は永遠に私のLast Loverなのだから。

End.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?