【還暦のメロス】㉓小学校から中学校へ

石巻市立石巻小学校を卒業すると、自動的に石巻市立石巻中学校に入学する。そう全員である。
当時石巻市には、私立の中学校は存在しなかった。もちろん仙台市には、すでに私立の中学校があったようにもおもうのだが、そもそも当時の石巻市内の小学生で、私立の中学校に進学する子はいなかったと思う。
みなエレベーターに乗って同じ中学校に進学していた。
田舎の教育環境はそんなものであった。

石巻小学校は、北上川近くの平地に建っていたが、中学校は、山の上だった。中学校の住所が羽黒町だったから、羽黒山の上に建っていた。高さ的には、丘の上に建っていたと言ったほうがイメージが湧く。

中学校時代は既に歯医者の借家に住んでいたから、そこから、歩いて毎日中学校に通った。
自宅から歩いて200mはど石巻小学校の横に向かう。その道が羽黒山の上に歩いて登り、丘の上に着くと目の前に中学校の校舎が見えた。
一学年で９クラス360名ほどの生徒。
マンモス中学校であった。

時代は高度経済成長期で、生活水準がどんどん上がって豊かになっていく、そんな季節だった。1970年には、大阪万国博覧会があって、シンボルの太陽の塔に憧れ、アメリカが月から持ち帰った月の石が展示されているパビリオンに行きたいと、東北の少年も思っていた。

中学校一年で、部活に水泳部を選んだが、練習がきつくて直ぐに退部して、サッカー部に入り直した。
私の人格形成に大きな影響を与えたのは
スポーツではない。
どちらかというと、私は文化系の人間で
文学に惹かれていったのである。　　

㉔へ続く