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【workshop】 『ぼうけん図書館』出版記念展のための製本教室 | no.3 ブックケースをつくろう

— 製本ワークショップのご案内 —

2024年6月26日〜7月29日、東京・西調布の「TEGAMISHA BOOKSTORE」にて拙編著『ぼうけん図書館 エルマーとゆく100冊の冒険』の出版記念展が開催されます。店頭には、100冊+αの冒険物語がずらり! まるで小さな図書館みたいになりますよ。さらに、期間中『ぼうけん図書館』にちなんだ製本ワークショップを行います。ワークショップは3週連続の3本立て。というわけで、1本ずつ、詳細を紹介します。


no.3

『ぼうけん図書館』のブックケースをつくろう
2024年7月28日(日)  10:00〜13:30

item

3本目のワークショップは、『ぼうけん図書館』専用のブックケースです。児童文学作品の上製本には、函入りのものがたくさんありますよね。うちの本棚にも、エーリヒ・ケストナーの『飛ぶ教室』、サン=テグジュペリの『星の王子さま』、ヒュー・ロフティングの『ドリトル先生 アフリカゆき』、梨木香歩さんの『岸辺のヤービ』などなど、函入りの本が並んでいます。

ブックケースには夫婦箱(本体と蓋が一体となったもの)、帙(ちつ/和本を保存するための装具)、燕(つばくろ/帙の一種)などいくつかありますが、最もよく見かけるのは「スリーブケース」です。函の側面が開いていて、そこに本を差し込むタイプ。今回は、このスリーブケースをつくります。

specification

スリーブケースには、ざっくり分けて2通りのつくり方があります。一つは、厚さ2ミリ程度の板紙のパーツを組み立てて成型し、最後に紙や布などの表材でくるむ方法。これはなかなかに豪華なつくりで、ルリユール(工芸製本)でもこの方法で函をつくったりします。差し込み口の縁だけ革で装飾するなど、意匠に凝ったものも。もう一つは、一枚の厚紙からつくる方法で、厚紙を折って貼って成型します。書店で見かける函入りの本のほとんどは、後者の方法でつくられたものです。

今回は、後者の方法をベースに、オリジナルのアイデアを少々加えてつくります。一枚の厚紙を折って組み立てるのですが、部分的にパーツを切り分けて異素材を取り入れてみようかな、と。写真のように、天と地の側面のみクロス貼りに仕上げようと思います。

オリジナルのアイデア……と素敵げに書いてしまいましたが、ブックケースとしては基本を逸脱した型破りな方法でもあります(どのあたりがどうして型破りなのか、本来はどんなふうにつくるのか、ワークショップでお話ししますね)。でも、機能や強度だけじゃなく、手にしたときのうれしさみたいなものを優先した本づくりも、たった一冊だけの手製本の醍醐味です。

material

ブックケース本体には「GAファイル」という厚手のファインペーパーを使います。『ぼうけん図書館』の表紙のグリーンに合わせて、「ブラウン」を選びました。スムースで扱いやすいのに、ナチュラルなあたたかみもあって、重宝する紙です。ラベルは、大阪のレトロ印刷さんから取り寄せた「ごぼう」に印刷したものを用意します。

天地にあしらうブッククロスのほうは、複数からお好きな色をお選びいただけます。本体と同系色にするもよし、差し色にするもよし。そうそう、ケースの上にちょこんとつけた謎の革紐は、アクセントのつもり。ここには、ダークブラウンの山羊革を使います。ぴょこんと上向いた革紐が、本棚に収められた『ぼうけん図書館』の存在をアピールするような、しないような。

よいブックケースのポイントは、本の収まり具合です。ゆるゆるでは本が落ちてしまいますし、パツパツでは取りだせません。差し込み口を下にしたときに、本がゆっくりと滑り降りてくる……というのが理想だそうです。遊びがありすぎても、なさすぎても、どっちもよろしくないようで。

それはたぶん、わたしたちも同じですね。ゆるゆるだと大事なものを見失うし、パツパツだと大事なものを押し込めてしまう。適度な遊びをもちながら、いつでもスムースに心の棚卸しができるようになりたいものです。『ぼうけん図書館』の本たちは、そんな遊びをきっと運んでくれますよ。


● 詳細およびお申し込みは、手紙社さんのオフィシャルサイトにて。
* お申し込みは6月26日の18:00スタートです。


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