#11 列王記第一

本日はこれ。

レジュメ。

※「※」や「⇒」で書いてる記述は、このNoteを書いてる者のメモです。他はレジュメのコピペです。

1.はじめに

(1)書名
①サムエル記、列王記、歴代誌は、それぞれ本来は一書である。
②七十人訳が便宜的に第一と第二に分けた。
③それ以降、その習慣が定着した(ヘブル語聖書も同様)。
④約600年後にヒエロニムスがブルガタ訳(ラテン語訳)を完成させた。
*列王記という名称は、ヒエロニムスによる命名である。
*サウルを除くすべての王たちが登場する書である。
(2)作者
①バビロン捕囚の記録があるので、捕囚期に活躍した人物が上げられている。
③エレミヤ、エズラ、エゼキエルなど。

(3)内容
①列王記は、サムエル記の続編である。
②列王記が2分されたのは、内容上の理由ではなく、物理的理由である。
③単なる歴史ではなく、歴史からの教訓(歴史観)を教えようとしている。

2.アウトライン

Ⅰ.ダビデの晩年( 1 : 1 ~ 2 : 11 )
1.王位を狙うアドニヤ(1:1~38)
2.油注ぎを受けるソロモン(1:39~53)
3.ダビデの最後の言葉(2:1~11)
Ⅱ.ソロモンの統治( 2 : 12 ~ 11 : 43 )
1.政敵の排除(2:12~46)
2.ソロモンの知恵(3章)
3.ソロモンの栄華(4章)
4.ソロモンの神殿(5~8章)
5.ソロモンの名声(9~10章)
6.ソロモンの背教と死(11章)

3.結論

(1)ダビデのリーダーシップ
(2)王たちと預言者たち

列王記第一を通して、歴史の中に見られる霊的原則について考える。

Ⅰ.ダビデの晩年( 1 : 1 ~ 2 : 11 )

1.王位を狙うアドニヤ(1:1~31)

(1)2サム5:4によれば、ダビデはおよそ70歳で死んだ。
①彼の晩年は、肉体的には非常に弱くなった。
②美しい娘を寝床にはべらせて王の体を温めた。
③王の死が近づくと、王位継承問題が起こってくる。

(2)四男のアドニヤが、事前工作を開始した。
①彼は、生存するダビデの息子たちの中では最年長である。
②父が存命中に、自分が王になろうと心に決めた。
③彼は、戦車、騎兵、50人の衛兵を手に入れた。民の歓心を買うためである。
④父ダビデの心とは正反対である。
⑤父から受けるべき叱責や訓練を受けないままで大人になった人物である。

(3)イスラエルにおける王位継承法
①神が王を選ぶ。
②それを預言者が民に伝える。
③サウルもダビデも、自分から王になることを求めたわけではなかった。
④若き日の野心や思い上がりは、なんの益にもならない。

(4)ナタンとバテ・シェバの工作
①彼らは、協力してダビデに進言する。
②ダビデは、ただちに決断を下す。

2.油注ぎを受けるソロモン(1:32~53)

(1)ギホンの泉での油注ぎ
①王からの承認、神からの承認、軍からの承認(ベナヤの賛同)を得た。
②民はこぞって、「ソロモン王。ばんざい」と叫んだ。
*「Long live!」。王がいつまでも統治されるようにという意味。
③アドニヤは寛容な扱いを受けた。

(2)好スタートを切るソロモン
①サウルとダビデは、油注ぎの後も、民衆の支持を勝ち取る必要があった。
②また、最初から12部族すべてを統治したわけではなかった。
③ソロモンは、民衆の熱狂的な支持の中で王となった。
④最初から12部族全体を治めることになった。
⑤神がダビデに約束した計画が実現し始めた(ダビデ契約。2サム7:7〜17)。
⑥神の御心に基づいて物事が進められる時、国は栄える。

3.ダビデの最後の言葉(2:1~11)

(1)神との関係
①)モーセの律法への従順こそ、【主】から祝福を受ける方法である。
②従順は2つの祝福をもたらす。
*ソロモンの治世に祝福をもたらす。
*ダビデ王朝全体に祝福をもたらす。

(2)人との関係(3組の人物の処置をソロモンに委ねた)
①将軍ヨアブは危険人物である。
*無実の人の血を流した。
②ギルアデ人バルジライの子らには、祝福が約束された。
*アブシャロムの謀反の際に、ダビデを助けた。
③ベニヤミン人ゲラの子シムイも危険人物である。
*ダビデに対して呪いの言葉を吐き、ダビデの命まで狙った。

※落ちぶれてる時に襲って来るか、助けてくれるかで本心が分かる。

(3)統治の最初の段階で、ソロモンには以上のような難題が課された。
①彼が神の知恵と「聞き分ける心」(3:9)を必要としたのは、当然である。
②複雑な人間関係の中で生きている私たちにも、神からの知恵が必要である。

Ⅱ.ソロモンの統治( 2 : 12 ~ 11 : 43 )

1.政敵の排除(2:12~46)

(1)アドニヤ死
①彼は、シュネム人の女アビシャグを妻にしたいと願った。
②彼女は、ダビデの最後の側室である。
※古代中近東では、王の妻や側室が欲しいというのは、王になりたいのと同じ。アドニヤがそれを言わなかったら、生き続けられた。
③ソロモンはアドニヤを処刑した。

(2)祭司エブヤタルの罷免
①彼は、アドニヤに加担した。

(3)ヨアブの処刑
①祭壇の角をつかんだ。
②祭壇の角は「逃れの場」であるが、殺人者にはこの規定は適用されない。

(4)シムイの処刑
①命令違反を理由に、3年後に処刑される。

2.ソロモンの知恵(3章)

(1)3:5
1Ki 3:5 その夜、ギブオンで【主】は夢のうちにソロモンに現れた。神は仰せられた。「あなたに何を与えようか。願え。」
①この顕現は、王位継承と政敵の排除を、神が受け入れたということを示す。
②さらに、ソロモンが忠実に歩んでいるので、神がダビデ契約の祝福を彼に与え始めたことをも示している。

(2)3:10
1Ki 3:9 善悪を判断してあなたの民をさばくために聞き分ける心をしもべに与えてください。さもなければ、だれに、このおびただしいあなたの民をさばくことができるでしょうか。」
①ソロモンが統治しようとしている民は、偉大な民である。
②アブラハム、モーセ、ヨシュア、サムエル、ダビデなどが導いてきた民。
③しかもその民は、人口が急速に増加しつつある。
④彼は、従来の統治法では新時代を乗り切ることができないと感じていた。
⑤そこで、「聞き分ける心をしもべに与えてください」と神に願った。
*「聞き分ける心」とは、神の御心を聞き分け、善悪を判断する心。
*「聞く」とは「従う」ことである。

(3)3:11~13
1Ki 3:11 神は彼に仰せられた。「あなたがこのことを求め、自分のために長寿を求めず、自分のために富を求めず、あなたの敵のいのちをも求めず、むしろ、自分のために正しい訴えを聞き分ける判断力を求めたので、
1Ki 3:12 今、わたしはあなたの言ったとおりにする。見よ。わたしはあなたに知恵の心と判断する心とを与える。あなたの先に、あなたのような者はなかった。また、あなたのあとに、あなたのような者も起こらない。
1Ki 3:13 そのうえ、あなたの願わなかったもの、富と誉れとをあなたに与える。あなたの生きているかぎり、王たちの中であなたに並ぶ者はひとりもないであろう。
①ソロモンに、知恵の心と判断する心が約束された。
*ソロモンは先にも後にも例を見ないほどの名君となった。
②ソロモンには、富と誉れも約束された。
*これは、民を統治するための強力な武器となった。
*ソロモンが願わなくても、神は彼に必要なものを知っておられた。

(4)ソロモンの知恵の例
①ふたりの遊女の訴え
②生きている子を2つに断ち切り、両方が半分ずつ取るように命じた。
③生きている子を相手に与えてくださいと言った方が、実の母である。

3.ソロモンの栄華(4章)

(1)高官たちの任命
①ソロモン内閣の組閣にも、知恵が現れている。
②11名の高官の名前が上げられている。適材適所
③王国確立に功のあった者たちに報いている。

(2)12の行政区
①それぞれの行政区に、守護(行政官)を任命した。
②彼らに、徴税の任務を課した。
③それぞれの守護は、毎月交代で税を納めた(食料を納めた)。
④王宮の食料の消費量は膨大なものであった。
⑤12部族の境界線とは異なる区分。部族間の敵対感情を和らげた。
⑥行政区の広さは異なる。能力に応じて行政区を割り当てた。

(3)繁栄のしるし
①人口の増加
②豊かな食糧
③周辺諸国からの貢物
④宮廷の人数
*1万4千〜3万2千人まで幅広い推定数がある。
*「王による重税策と徴兵策」の労苦が見え始める。

※贅沢にやり過ぎた。

(4)百科辞典的知識と知恵
①ソロモンの名声を聞いて、周辺諸国から多くの人たちが訪ねてきた。

4.ソロモンの神殿(5~8章)

(1)ツロ(レバノン)の王ヒラムからの使者
①この好機を捉え、ソロモンは神殿建設の準備を開始する。
②神殿建設の動機は、神へのお礼でも、政治力の誇示でもない。
③彼は、ダビデ契約の内容を知っていた(2サム7:12、13参照)。
④ソロモンの動機は、神学的なものであった。
⑤ソロモンは、ヒラムと契約を結ぶ。
※ツロは石材豊富。石工も居る。

(2)強制労働
①イスラエル人の役務者3万人を強制徴用した。
*3つの組に分かれ、1か月交代で、ツロで労働に従事した。
*民衆の不満を和らげる政策である。
②非イスラエル人の役務者は18万3,300人いた。
③ソロモンの政策にはある種の危険性が伴っている。

(3)神殿の建設
①即位して4年目に神殿建設に着手した。
②石材の加工は事前に行われ、工事現場では、組み立てだけが行われた。

(4)神殿建設中の【主】のことば
①成功には落とし穴がある。
②神からの励ましと警告のことば(6:12~13)
1Ki 6:12 「あなたが建てているこの神殿については、もし、あなたがわたしのおきてに歩み、わたしの定めを行い、わたしのすべての命令を守り、これによって歩むなら、わたしがあなたの父ダビデにあなたについて約束したことを成就しよう。
1Ki 6:13 わたしはイスラエルの子らのただ中に住み、わたしの民イスラエルを捨てることはしない。」
③この約束の成就は、いかに神との契約関係に忠実に歩むかにかかっている。
④どんなに偉大な王であっても、不信仰に陥れば、王座から退けられる。

(5)神殿の描写

(6)神殿の奉献
①8章は、列王記全体の中で最も重要な章で、神学的意味に満ちている。
②神殿奉献式の実質的な内容は、契約の箱の至聖所への搬入である。
③契約の箱の中には、律法を記した2枚の石板が収められていた。
*マナを入れた金の壺と芽を吹いたアロンの杖はなかった。
※あちこち移動してるうちに略奪されてた。
④2枚の石板は、神とイスラエルの民の契約関係を象徴していた。

(7)8:10~11
1Ki 8:10 祭司たちが聖所から出て来たとき、雲が【主】の宮に満ちた。
1Ki 8:11 祭司たちは、その雲にさえぎられ、そこに立って仕えることができなかった。【主】の栄光が【主】の宮に満ちたからである。
①神は、この神殿を受け入れた。
②古いものは新しいものに置きかわったが、至聖所の中に神が臨在される
という真理は変わらない。
③神は契約の民とともに歩まれる。

5.ソロモンの名声(9~10章)

(1)建設事業
①エルサレムの城壁の補強
②要塞の建設(ハツォルとメギドとゲゼル)

(2)ソロモンの船団
①アカバ湾に船団を設け、海洋交易を行った。

(3)シェバの女王の訪問
①シェバとはイェメンのことである。
②ソロモンの名声を試すため(ゲームのようなもの)
③実利的な目的
④大いに驚く女王

6.ソロモンの背教と死(11章)

(1)多くの妻たち
①王妃としての妻が700人、そばめが300人いた。
※政略結婚
②その妻たちが、ソロモンの心を【主】から偶像神に向けさせた。
③晩年のソロモンは、ダビデの心とは大きく異なった心を持つようになった。
④ソロモンは信仰を捨てたのではない。
⑤【主】以外に、妻たちがもたらした偶像神をも礼拝するようになった。

(2)偶像神
①アシュタロテは、シドン人たちが礼拝していた豊穣と性の女神。
②ミルコムは、人身供養(※人身御供でしょ)で悪名高いアモン人の偶像神。
③モアブ人の偶像神ケモシュと、アモン人の偶像神モレク(ミルコムの別名)のために、オリーブ山の上に高き所(祭壇)を築いた。

(3)失敗の原因
①ソロモンの偉大さは、【主】から与えられたものである。
②【主】から離れ、自らの使命を忘れたとき、ソロモンは背教の王になった。
③ソロモンは、内憂外患の中で死んでいく。

(4)11:32~33(預言者アヒヤがヤロブアムに預言する)
1Ki 11:32 しかし、彼には一つの部族だけが残る。それは、わたしのしもべダビデと、わたしがイスラエルの全部族の中から選んだ町、エルサレムに免じてのことである。
1Ki 11:33 というのは、彼がわたしを捨て、シドン人の神アシュタロテや、モアブの神ケモシュや、アモン人の神ミルコムを拝み、彼の父ダビデのようには、彼は、わたしの見る目にかなうことを行わず、わたしのおきてと定めを守らず、わたしの道を歩まなかったからである。
①王国が完全に滅びない理由は、ダビデ契約にある。
②罪には裁きが下る。

結論:

1 .ダビデのリーダーシップ

( 1 )ダビデは、恐ろしい罪を犯したこともあったが、基本的には神に忠実に歩んだ。「それはダビデが【主】の目にかなうことを行い、ヘテ人ウリヤのことのほかは、一生の間、主が命じられたすべてのことにそむかなかったからである」( 1 列 15 : 5 )
( 2 )列王記の視点から考えると、ソロモンを後継者に選んだことが最も重要な出来事である。
( 3 )ダビデのリーダーシップは、ソロモンだけでなく、それ以降のすべての王たちにとって、見習うべきモデルとなった。
( 4 )ダビデの統治が、それ以降の王たちの統治を評価する基準となった。
①ヤロブアムに関する評価
「…ダビデの家から王国を引き裂いてあなたに与えた。あなたは、わたしのしもべダビデのようではなかった。ダビデは、わたしの命令を守り、心を尽くしてわたしに従い、ただ、わたしの見る目にかなったことだけを行った」( 1 列 14 : 8 )
②アサに関する評価
「アサは父ダビデのように、【主】の目にかなうことを行った」( 1 列 15 : 11 )
③アマツヤに関する評価
「彼は【主】の目にかなうことを行ったが、彼の父祖、ダビデのようではなく、…」
( 2 列 14 : 3 )
④アハズに関する評価
「アハズは二十歳で王となり、エルサレムで十六年間、王であった。彼はその父祖ダビデとは違って、彼の神、【主】の目にかなうことを行わず、」( 2 列 16 : 2 )

2 .王たちと預言者たち

( 1 )王たちは、神からの委託を受けた統治者である。
①アブラハム契約、シナイ契約、ダビデ契約が生きている。
②神の御心に歩めば、個人的にも国家としても、祝福を受ける。
③いくら神から特権を受けていても、神の御心の不従順になれば裁きを受ける。

( 2 )預言者たちは、不従順になった王たちを矯正する役割を担った。
①彼らが王たちに語った内容は、申命記の原則への回帰である。
②悔い改めで神の御心に立ち帰るなら、祝福が待っている。

( 3 )神によって創造された世界は、道徳的・倫理的世界である。
①歴史は、罪に対する神の裁きの記録である。


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