見出し画像

何を今さら、されど今さら

前々回書いたビル・エヴァンスも、何を今さらといわれてもグーの音も出ないといったところですが、あまりにも有名過ぎるから「説明不用」と、誰もその作品について語らなくなっていってしったまま時代が流れてしまうことにより、その文化の濃度みたいなものが薄れていってしまうこともあるのではないか?と少し思ったりします。

ジャズの世界だとアーリージャズなどその最もたるものではないでしょうか?ビル・エヴァンスやマイルス・デイビスなどのモダン以降の人については、最近書かれたものもまだまだ沢山出てきていると思いますが(昔に比べたら随分減ってはいるけど)、モダン以前のアーリージャズとなると古〜いものがほとんどだし、熱い熱量でアップデートされたものもなかなか見つかりません。特に日本では今やほんの一握りしか見つかりません。

例えば日本におけるのトラッド系ミュージシャン以外の一般音楽ファンにとって、アーリージャズ人気がモダン以降に比べてグッと低いのには、サッチモことルイ・アームストロングの全盛期といってもいい1920年代後半の録音などを「知ってて当たり前」と語り継ぐ人がほとんどいなかったからではないか?と思ってしまうこともあります。

その結果サッチモは「この素晴らしき世界」(これも好きなんだけどね)のしわがれ声のニコニコおじさんとしてのイメージでスルーされてしまい、ジャズ入門書やサイトを読めばなんか偉大なジャズメンだったんやろねーとして歴史上の知識程度で、はいおしまい次ーとなり、本当に素晴らしい若い頃のHot5&7の頃作品を本気で聴いてみようという所にまでジャズに興味を持ち始めた人達が辿り着かなくなってしまったのではないかと思います。

1920年代後半のホット5やホット7の頃の20代後半のサッチモは、マイルスやパーカーやモンクみたいに最高に尖った存在だった筈なのに。

EP『THE HOT FIVE 』

時代の移り変わりには逆らえなかった、というだけのことなのかもしれないとも思います。日本がジャズを享受し始めた頃のジャズ評論家の方々はしっかりとサッチモのホット5&7を語っていたと思うし。しかしその後、世代が変わりジャズ喫茶の店主達が出したジャズ本などにはもう愛想程度しかアーリージャズは紹介されていなかったけど、それはただジャズ喫茶の全盛期の時代の空気感と、アーリージャズの明るくて楽しいイメージの相性が良くなかったのは当時の日本の社会を少しでも知ればなんとなくは分かる気はします。

でも今の時代ならどうかな?色んなことがフラットになった今なら、時代の空気感とかに関係なく、もっと純粋にジャズ全般を楽しめると思うけどな。

そうすれば、いつの時代のものも良いものは良い筈だし、時代も一周して(ジャズの歴史も100年以上経った)あらゆるジャズをアーカイブ的に容易く聴けるサブスク時代になった今だからこそ、私は私が感動したジャズについて、何を今さらと思われても、されど今さらという気持ちで時代に囚われる事なく古いジャズの良さについても書いていきたいなと思います(まだまだ勉強?いや楽しさ開拓中ですが)。今聴いても凄くいいのがめちゃくちゃいっぱいあると思うから。

最後に、最近だと現代ジャズギタリストのジュリアン・ラージへの柳樂光隆さんの素晴らしいインタビュー(ジュリアン・ラージのジャズギタリスト講座 Rolling Stone Japan)を読んで戦前ギタリストへの興味が広がっていくみたいなことがこれからもどんどん増えていったらいいなと思います。サッチモとも共演してたエディ・ラングのギターとか今聴いても最高だと思うな☕️

エディラングのコラボ集
エディラングのソロやデュオが聴ける愛聴盤♪

(次回、サッチモのhot5&7に続く〜)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?