猫又

読んだ本を紹介するアカウントに作り直し☆ 読んだら書くので更新頻度はまちまち。 ミステ…

猫又

読んだ本を紹介するアカウントに作り直し☆ 読んだら書くので更新頻度はまちまち。 ミステリー多めの伊坂幸太郎ファン。 他には手帳や文房具も好き。 お仕事はYouTubeのシナリオライターやってます。

最近の記事

身近な人でも本当の気持ちは分からないから

タイトル:カフネ 著者:阿部暁子 出版社:講談社 ずっと、努力を信条としてきた。 嫌いな食べ物も、足が遅いのも、受験も就職も。 努力すれば何でも手に入ると思ってた。 だけど、努力ではどうにもならない事態に陥った時、私はもがき、苦しみ、混乱し、大切な人をも傷つけ失っていた。 薫子は不妊治療の果てに離婚し、絶望にくれていた頃、年齢の離れた最愛の弟が突然死してしまった。遺言書の中には彼の元恋人である、小野寺せつなの名前も記されており、彼女とカフェで落ち合うところから物語は始まる

    • 誰もが歯車になっている

      上巻はこちら↑ タイトル:モダンタイムス 著者:伊坂幸太郎 出版社:講談社文庫 安藤商会とは何なのか…友人で作家である 井坂好太郎が会えなかった重要人物に「私」はあるために岩手に向かう。 5年前に起きた中学校の銃撃事件と関係があると思しきこの会社は何なのだろう。 誰が主犯で誰のせいでこうなっているのか、この世の中には独裁者と呼べる人物はいない。 スターリンもヒトラーも、誰かの損得勘定によってあの場所に立っていたのかもしれない…。 諸悪の根源なんか、誰にも分からない。 どの

      • 何もかも仕組まれていたとしたら

        モダンタイムス(上) 著者:伊坂幸太郎 出版社:講談社文庫 この世界の何もかもが仕組まれていたとしたら。 道行く人も話しかける老人も、映画館がガラガラになるのも。 「私」は登場の段階で既に殴られて拘束されている。 「勇気はあるか?」の問いに「実家に忘れてきました」という程度には勇気のない屁理屈野郎ではある。 恐妻家のこの「私」こと渡辺拓海の妻は、彼の浮気を疑っては男を雇い拷問する。 拘束されることになる前、既に「私」は身に覚えのない浮気の疑惑によって、腕の骨を折られてい

        • 老害って言うけどさ…

          タイトル:カレーの時間 著者:寺地はるな 出版社:実業之日本社 今回は再読本。 女は弱い。男らしく守らなあかん…。 時代錯誤もいいところのこのセリフは、男尊女卑の代名詞みたいなもんになる。 この時代、一体何から女を守るというのか。 言っている人物が、もはやハラスメントの加害者であることもままある。 時はコロナ禍で世の中が自粛ムードの中、僕、こと桐矢は83歳のおじいちゃんとの同居を半ば押し付けられる形で始まる。 失敗しない様に、できる限り自分の精神的なエリアを汚されない

        身近な人でも本当の気持ちは分からないから

          隣の子供の実情を、私は知らない

          息子が産まれてから、YouTubeで子供向けの動画を見ることが多くなりました。 現在は大きくなって小学生向けの動画を見ていることが多いですが、 もっと幼いころはアニメを見ていることがやはり多い。 YouTubeだから、日本では放送されない、海外のアニメも多いのです。 息子のお気に入りは中国企業が作っている、 世界中で人気の子供向けの動画で、日本語でも配信されています。 息子のお気に入りの動画では、廃品を集めたパンダの女の子が、 同じくパンダの男の子に廃品を見ていて、と伝

          隣の子供の実情を、私は知らない

          スパイシーさと軽快さと

          タイトル:陽気なギャングの日常と襲撃 著者:伊坂幸太郎 出版:祥伝社文庫 中途半端。実に中途半端である。 どうしてこんな真ん中の巻から買ってしまったのか。 実はこれ、Amazonで古本で買った。 Amazonって言うのはシリーズ化していたり、 ほかのユーザーが一緒に買った本をセット購入しないかを 大抵お勧めしてくれる。 でも私はこれ一冊だけ買った。大変後悔している。 下調べなしで買ったのも後悔している。 シリーズ化しているのは知っていた。 伊坂幸太郎は、シリーズとして出

          スパイシーさと軽快さと

          母親という一人の人間について

          「母」という存在は、どの形であっても特殊で身近なものだと考える。 ネグレクト、虐待、執着、嫁姑問題に夫の不倫…。 周囲に振り回され振り回し、家の中ではある意味傍若無人とさえ思える態度をとることもまま、ある。 それでもどの人にとっても「母」は特別な存在といえる。 「母」の立ち位置の一人の人間に焦点を当てた短編の小説がぎっしり詰まった一冊。病院の待ち時間や電車の中でも気軽に読みやすい。 が、 父親にはない、じっとりとした薄暗い独特の雰囲気がどの話であっても絡みつくのは、母

          母親という一人の人間について