服の断捨離:75リットル3袋分

私にとっての「こひしたふわよ」に一致した服って何だろう?

こ・・・心地よい
ひ・・・惹かれる
し・・・しっくりくる
た・・・楽しい
ふ・・・腑に落ちる
わ・・・ワクワクする
よ・・・喜び

そう自分に問いかけた時、「自然との調和」というフレーズがふと思い浮かんだ。

明るい太陽の光、
大きな木が生い茂る広大な草原、
吹き抜けるそよ風。

そんな風景の中に空を仰ぐように凛と佇む私がいた。

その私は、丈の長いワンピースを着ていて、風をいっぱいに受けたスカートの丈がぶわっと後方に向かって広がっていた。

その素材は、やがて土に還るような地球に優しい素材に違いなかった。

このイメージにぴったりなブランドは何だろう?

そう問うと同時に思い浮かんだデザイナーズブランドがあった。

早速ネットで検索すると、直近の展示会情報が掲載されていた。

会期まで1か月ほどあったが、はやる気持ちを抑えながら、展示会の日を待った。

待ちに待った展示会当日。

ドキドキしながら足を運び、気に入った服を片っ端から試着、しっくりくる服を購入した。

それまでクローゼットにあった服は、婚活やオフィスワークを意識した服だった。

それらは私にとっての「こひしたふわよ」ではなく、
婚活相手の男性だったり、
オフィスの同僚や部下や上司の目線に合わせて選んだ服。
つまり他人軸で選んだ服だった。

いかに自分を良く見せるか。

清潔感、
清涼感、
優しさ、
素直さ、
上品さ、
優秀さ。

そんな自分を演出するためのツールとして、
シャツもブラウスもワンピースもジャケットもパンツも、
サテンやシルクや上質のコットンなどの素材選びから、
彩度や明度などの色味やサイズ感を厳選したものだった。

それらは見た目は美しくて格好良くても、
着ている当の本人の私にとっては、
窮屈で居心地の悪い服ばかりだった。

満たされていたのは、見栄、虚栄心、つまり、私のエゴだったのだ。

なんだ、私にとってちっとも心地よくない服ばかりじゃないか。

それに気づいてから、私はそれらの服を着ることを一切やめた。

75リットルのゴミ袋を取り出し、次々と詰め込んでいったら、3袋分近いボリュームになった。

中には高級ブランド服もあり、一瞬の躊躇を感じるも、一致しないものは一致しない。

本当の私を生きるんだ。

その思いでどんどんゴミ袋に突っ込んでいった。

サンタクロースのように服でパンパンになったゴミ袋を抱え、ゴミ捨て場に置いて帰る時、一抹の未練を感じたが、振り切って後にした。

そうしたら、会社で着る服がなくなってしまった。

インスピレーションに従って買ったデザイナーズブランドの服はオフィス仕様ではなかったし、長い丈を引きずって階段の上り下りやデスク周りを動くことは考えづらかった。

仕方なく、自宅で着る普段着用に購入した服を着るようになった。

幸い、在宅勤務が本格導入された時期だったので、出勤日は週に1回程度だったが、オフィス出勤で着る服は毎回同じ服になった。

断捨離したのは服だけではない。

それまで履いていたパンプスやヒールはスニーカーに切り替わり、
バッチリ決めた化粧もやめて眉毛も描かない日焼け止めだけの顔に変わった。

服、靴、化粧の断捨離を進めるのと同時に仕事に対するモチベーションもみるみる低下していった。

もう自分を取り繕ったり、
自分に嘘をつくのはやめよう。

私の決意は固かった。

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