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娘々(にゃんにゃん)祭 (松島貴美子)。

松島貴美子と宝塚少女歌劇団星組生徒連による「娘々祭」。岸田辰彌作詞、酒井協作曲とあり、宝塚グランド・レビュー「満洲より北支へ」の挿入歌です。日華事変勃発以降、宝塚の舞台にも国策や時局を反映した演目が姿を現しますが、これも其の一つでした。作詞者の岸田自身の原作であり、出演は葦原邦子、草笛美子、そして松島貴美子など。当演目は“グランド・レビュー”と云う触れ込みなので、相当力の入ったものだったかと思われます。岸田と云えば遡ること昭和2年に「モン巴里」を手掛け、主題歌共々宝塚の人気を不動のものにしたばかりか、其れ迄の児童劇の延長の様な演目から劇団を脱皮させるなど、其の功績は計り知れないものがありました。時局ものを嫌った彼でしたが、意外にも此の「満洲より北支へ」が、宝塚での最後の作品となったのです🎼。

曲名の「娘々(にゃんにゃん)祭」とは中国に伝わる春の祭りの事で、村人らが個々に色々なお願いをするのですが、此の歌は其の光景を娘役の松島が何処か舌足らずながら可憐に歌っております。三番まであるものの、何故か全て同じ歌詞なのは少し退屈な感じもするのですが、そこを雀の様な可愛い歌声と軽快なメロディと、メリハリの効いた伴奏でカバーしました。舞うようなシロホンの音色、トランペット等のダイナミックなブラス陣、太鼓とピアノのリズムも秀逸で、間奏パートには大陸情緒がよく現れておりますが、もしかしたらこれも外国曲の可能性も捨てきれません。松島は他に「春来来」や、宝塚制作映画「軍国女学生」の主題歌を録音。カップリングは草笛美子の歌う「萬里の長城」で、レコードは昭和13年春に上演に合わせて発売されました😀。



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