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白い椿の歌 (霧島昇)。

霧島昇の歌う「白い椿の歌」。佐藤惣之助作詞、古賀政男作曲で、元々は昭和10年初頭に楠木繁夫が歌ったナンバーです。テイチクに入社しての最初の大ホームランとなり、その後数年間に渡って多くのヒット曲を生み出した古賀政男でしたが、コロムビアに復帰して10年以上経過した昭和20年代半ばに、録音の権利等の一切が作曲者の元に戻って来ました。作曲者も会社側も嘗てのヒット曲をリバイバルしたいと考えていた事もあり、昭和27年秋以降に「人生の並木路」「夕べ仄かに」「男の純情」「二人は若い」「東京ラプソディー」「あゝそれなのに」など、往年の楽曲の数々が時のコロムビア専属歌手らによってカバーされたのでした。特に「人生の…」と「男の…」の二曲は古賀自身が歌って録音した程。霧島は「白い椿の歌」を担当し、昭和28年4月に発売されています🎼。

「白い椿の歌」は菊池寛の連載小説が原作で、新興・入江プロ製作映画「貞操問答」の主題歌として書かれました。監督は鈴木重吉が務めており、出演は入江たか子、鈴木伝明、伏見直江、園田静枝など。運命の荒波に翻弄される令嬢三姉妹を描いており、昭和10年2月24日に浅草電気館にて封切、前後編として公開されております。三番構成であり原曲同様に短い前奏でスタート、霧島盤は楠木とは違う渋く甘い低音で節回しも上手く歌っていました。違いと云えば間奏の旋律が入れ替わっているのと、テイチクよりも音質が向上しスッキリしたサウンドと云う点でしょうか。個人的な意見ながら、この間奏が原曲同様に優れもので、夜空を彩る銀河の輝きを思わせます。悲しい運命に生きて行く中、星空を見上げては明日に希望を託す、健気なヒロインの姿が浮かんで来てなりません🌌。

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