未来を創った幕臣TERAKOYA–小栗上野介の幕末–（2022.8.20）

小栗上野介
この人を知れば、明治はいきなり始まった訳ではないことがわかる。

プレゼンターはチャンプ。
これまで、河井継之助、五稜郭、奥羽越列藩同盟、伝習隊、江川英龍、日米修好通商条約、咸臨丸など、一貫して佐幕を語ってきた。
ゆえに”佐幕おじさん”と呼ばれるまでになったTERAKOYAティーチャーだ。

今回は産経新聞社から動画配信されるという試みが行われ、レキシズル首脳とのクロストーク形式で行われた。

◆第一部　世界を見た男
文政10年（1827年）6月23日
小栗上野介こと小栗忠順（ただまさ）は、家康のおじいちゃんの代から徳川家に仕えているという旗本の家に生まれた。

彼の家には利八という中間奉公人が仕えていた。
なぜプレゼンターはこの人物を登場させたのか。
それは物語の後半になってわかることだ。

時は幕末。
開国間もない1860年、小栗は遣米使節団の一員として米国行きを命じられる。

並の人物なら西洋文明に圧倒されるところだが、鉄道を見た彼は
「鉄道の資金はいくらか」
「資金はどのようにして工面したか」と質問。

そして、国ではなく商人が資金を出し合って組合をつくり、利用料をもらって運営する”コンペニー”を知る。

「日本も木から鉄の国にせねば」と誓う小栗。

しかし、帰国した彼を待ち受けていたのは攘夷の嵐。
彼にアメリカ行きを命じた井伊直弼も暗殺された。

外国奉行となった彼は対馬を不法占拠しようとするロシアと対峙。
軍事力と経済力をつけることが自分の使命だと強く思う。

◆第二部　横須賀製鉄所
小栗は、外国奉行、勘定奉行（4回）、歩兵奉行、軍艦奉行、陸軍奉行並、海軍奉行並と数々の重職を歴任。

国を思うが故の過激な発言や断行によって敵も多かったが、幕府は小栗の力を必要とした。

その中でも大事業中の大事業が横須賀製鉄所の建設。
彼のライバル勝海舟は「無理だよ無理、500年かかる」と言った。

製鉄というと、”鉄を作るところ”というイメージだが、小栗のいう製鉄所とは、製鉄、修船、造船、つまり、あらゆる鉄製品を製造する工場だ。

だが、日本だけの力では無理。
彼はフランスと組むことを決めた。

場所は横須賀。

なぜフランスなんだ！なぜ横須賀なんだ！
と批判されても突き進んだ。

「屋敷の持ち主は変わっても、つくった土蔵は役に立つ」
「幕府の運命に限りがあるとも日本の運命には限りはない」
と小栗は4年後の完成を夢見た。

しかし、彼がその完成をみることはなかった・・・

◆第三部　夢は続く
日本で最初の株式会社
というと坂本龍馬の海援隊（亀山社中）を思い浮かべる人も多いだろう。
しかし、実は小栗がつくった兵庫商社が最初なのだ。

そのほか、築地ホテルの開業や福沢諭吉にニューズペーパーの発行を勧めたり、フランスから軍事顧問を呼んだり、大統領制を唱えたり、常に先をゆく人だった。

が、突然の大政奉還。
そして鳥羽伏見の戦い。

勘定奉行 兼 陸軍奉行並となっていた小栗は徹底抗戦を主張するも、徳川慶喜は彼を罷免する。

その後、領地である上州 権田村（群馬県高崎市）に居を移した小栗は、頻繁に”利左衛門”と会ったことを日記に残している。

利左衛門こそが第一部に登場した小栗家の中間奉公人の利八。
渋沢栄一に「無学の偉人」と言わしめた三井の大番頭 三野村利左衛門となっていたのだ。

何かを予見していたのだろう。

小栗は利左衛門に「後年、婦女子が困窮することがあった時はよろしく頼む」と妻子を託す。

そしてついに、小栗を抹殺せんと新政府軍が襲う。

慶応4年閏4月6日
小栗上野介死す
享年42

大隈重信は言う
明治の近代化は小栗上野介の構想の模倣に過ぎない。
それ故に、彼は殺される運命にあった、と・・・。

ここには書ききれなかった
横須賀製鉄所建設でのフランス人技師との絆や
”日本初の株式会社”にまつわるエピソード、
小栗の戦術を採用したら薩長軍に勝っていたかも、
などなど、プレゼンの完全版はこちらのサイトからご覧になれます。
（2022年9月23日〜11月30日23:00まで）
https://id.sankei.jp/v/?VID=user.event.entry&OP=detail&ID=6713&VIEW_ID=HsTBOrz0zAvqSAIN0wIR&fbclid=IwAR1o_-7nutbtJ5aUckYbW3wDdc02acJBiDCSHnVrwJY0mM1SM69Iy57oRQU