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【主婦勉!】アトリビュート〜洗礼者ヨハネ編〜

ヨハネという名前が出たついでに、
ちょっと十二使徒から外れて
キリスト教においては恐らく
重要人物の一人であろう
「洗礼者ヨハネ」について
少し掘ってみたい。

サロメ、と言えば「あ!」となる人も
いるかもしれない。

どどーん! 

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これです。
私が一番好きな西洋絵画、
ギュスターヴ・モローの《出現》。

妖艶なユダヤの王女サロメが指さす先にある、
この眩いばかりの閃光を放ち浮遊する首が
残虐にも斬首された洗礼者ヨハネです。
舞踊を披露するご褒美として
サロメが洗礼者ヨハネの首を望んだと。

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この
レオナルド・ダ・ヴィンチ
≪洗礼者ヨハネ≫も
もうものすごく有名。

何か”デキそうな人”感がすごい。
人差し指を上にあげているだけなのに
まるでその指先が
少し光っているかのように見えてしまう。

口角は上がっているのに、
目だけを見ると笑っているわけでもない。
むしろ少し物悲しさすら漂う。
見れば見るほど身惚れてしまう
本当に不思議な力を持つ魅惑的な絵だと思う。

というわけで
洗礼者ヨハネ、
またの名を
預言者ヨハネ。

なぜ"洗礼者ヨハネ"と
呼ばれるのかというと 
それはずばりイエスの洗礼をした人だからだ。

それも
たまたま人生でイエスに出会い、
洗礼をほどこしたのではなく、

そもそも
イエスの洗礼をするという、
重要な使命を背負って
生まれてきた人なのだ。

そして彼は、
イエスに洗礼した人でもあり、
また"預言者"と呼ばれる存在でもあった。

未来に起きることを言い当てる
"予言者"とは明確に異なり、

神の言葉を聞き、
それを民に伝える役割を
果たす人のこと。

そんな彼の人生はどんなものだったのか。

彼の母親エリザベトはもともと
イエスの母マリアといとこ同士。
旦那はザカリアという祭司だった。

こどものいない高齢夫婦だったのだが、
ある日ザカリアの前に
あの大天使ガブリエルが現れ、
突然受胎告知!

そして
「こどもにはヨハネと名づけなさい」と
名前の指定まで。

それに対して
「いやいや、もう私ら高齢で、
今までこどもも授からなかったんで
いくらなんでももう無理ですわ」と
ごく真っ当で率直な感想を述べた所、

ガブさん突然
激おこプンプン丸ガブリエルボンバーに大変身!

「おいおい、
神の言葉を信じんとは
じいさんもええ根性しとるやないか?ええ?
一生口きけんよにしたるわ!」と、
ザカリアから声を取り上げてしまったのだ。

ひいー!あんまりだよ!
突然やってきてそりゃないよ!

で、家に帰ったら
嫁エリザベトが
ほんとに身ごもってましたよ、と。
そのお腹の子が洗礼者ヨハネです。

ちなみにイエスの母マリアが
ガブさんから受胎告知を受けるのは
これから半年後のことです。
なので、イエスと洗礼者ヨハネは
ほぼ同い年の親戚なわけです。

その後無事ヨハネが生まれ、
名前何にする?となった時、
エリザベトが「ヨハネにする」というと、
今まで親戚に
そんな感じの名前がいなかったのかみんな
「え、なにそれ、なんでその名前?」
的な雰囲気になったとかならなかったとか。

そしてみんなが旦那ザカリアに
「ほんとにこれでいいの?」と問い詰めると
ザカリアは声を奪われ喋れないので
その代わりに板を持って来させ

裁判報道における「勝訴」の文字さながら
その板に
「ヨ ハ ネ に す る」という
渾身の6文字を書きあげ
ドーンと掲げたのだ。
(脚色大いにあります)

するとその瞬間からザカリアは声を取り戻し、
ガブさんから許しを得たのでした。

とまぁ誕生のエピソードだけでも
色々ある人です。

そんなヨハネ、成長したあと、
隠者のような生活をしながら
神の教えを説き、
人々に洗礼をしていたそうです。

ちょっとキリスト教の専門的知識が
入ってきちゃって難しいので
深くは掘らないけれど、

たぶん今までの洗礼者とは違って、
通常救われないとされる人も
ちゃんと救われますよみたいな
スタンスでいたみたいなんで、

(でも口癖は
"悔い改めよ!"
だったみたいだから、
ちょっとツンデレ的要素があったのか?)

みんなから慕われ、
みんな、この人こそ救世主(メシア)だと
思い始めていたそう。

そんな人たちにヨハネは言う。
「私よりも優れた人が後から来るよ。」と。

それで実際現れるのがイエスだ。
そして
ヨハネの洗礼を受けようとするイエスに
「私こそあなたの洗礼を受けるべきなのに
どうしてあなたが私のもとに?」と聞く。

それに対してイエスは
「それもこれも神の意思だよ」的なことを
答えるのだ。

私はヨハネから
洗礼を受けるようになっている。
それはもう"神の意思"で
決まっていることなんだよと。

でもそもそもイエスは神の子で
罪の穢れとかはないはずなのに
なんで洗礼を受ける必要があるの?
とか、なんとかあるんだけど、
まぁそこは私みたいなキリスト教ド素人には
全然わからないので、華麗にスルー!

で、イエスがヨハネの洗礼を受けた瞬間、
天が開いて、
精霊が白鳩の形で
イエスのもとに降りてきて
「あなたは私の愛する子、私の心に適う者」
という言葉が聞こえてきたんだと。

これがいわゆる三位一体ってやつですね。
天が開いて聞こえてきた声の主が"神"、
白鳩の形で降りてきたのが"精霊"、
その言葉を受けたイエスが"神の子"。

キリスト教における最重要シーンの一つが
ここなわけです。
三位一体って、今いちよくわからないけど
でもとにもかくにも、
イエスが神の子であるということが
証明された場面だから。

なのでヨハネの存在はとても大事なのだ。

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ヴェロッキオ
≪キリストの洗礼≫

天を開くような神の手と、
白鳩の形で現れた聖霊と、
神の子イエスと。
そして洗礼者ヨハネと。

イエスの洗礼が描かれる時は
基本この4点セットがマストです。

ちなみにヴェロッキオはダヴィンチの師匠で、
この絵の一番左の天使は
ダヴィンチが描いたんじゃないかと
言われている。


その後時は流れ、ヨハネは
ユダヤの王、ヘロデに捕まることになる。

ヘロデが実の兄弟の嫁であるへロディアを
自分の嫁にしてしまったことを
(民衆の間で影響力のある)ヨハネに
批判されてしまったからだ。
いわゆる一つの
逆ギレの逆恨みってやつですね。

でもやっぱり影響力のあるヨハネのこと、
捕まえたは良いものの、
殺すに殺せずにいたところ、
ヘロデの誕生日がやってきた。

自分の誕生日に、
嫁へロディアの娘であるサロメが踊りを舞い
自分を楽しませたことに気を良くして、

「なんでもお前の欲しいものを
褒美に与えよう」

なんて言っちゃったもんだから、
もうこれは
サンキューごっつぁんです!ってことで
サロメは母へロディアと相談して

「パパ、私、
ヨハネの首が欲・し・い・な⭐︎」
なーんつって
シレッとウルトラサイコなお願いをして

引くに引けなくなったパパ・ヘロデにより、
無残にもヨハネの首は
斬り落とされてしまったのである。
マジホラーである。

そんなヨハネにもアトリビュートはあって、
1. ラクダの毛皮
2. 十字架の形をした長い杖
3. 生首

1のラクダの毛皮は、
イエスへの洗礼を行う前?かな?
その後もなのかな?わからないけど、
当時自身が信仰していた教えに沿って
らくだの毛皮の服を着て
生活していたらしい。

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ラファエロ
≪聖母子と幼児聖ヨハネ≫
こんな小さい時からラクダの毛皮の服着てます。
しっかし上品な絵だなぁ。すごい。

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ボッティチェリ
≪聖母子と洗礼者ヨハネ≫

このくらいの年の子供同士って、
力加減とかもちろんわからないから
本当にこういう結構無理な姿勢でチューしたり
ハグしたりしようとするよね笑

ボッティチェリは生涯独身だったと聞くから
工房とかの周りで遊んでる子供たちとかを
よく観察してたのかな。
でないとこの角度というか、このリアル
なかなか出せない気がする。

ちなみに、
イエス最初の弟子である
ペテロ・アンドレ兄弟は
この洗礼者ヨハネの弟子だったそうだ。