産業保健と 厚生労働省 職場における心の健康づくり ~労働者の心の健康の保持増進のための指針~ 公認心理師試験過去問解説

厚生労働省 職場における心の健康づくり ~労働者の心の健康の保持増進のための指針~
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055195_00002.html

産業保健について

「管理監督者」は労務管理において経営者と一体的な立場ではあるが、経営者とは異なり労働者である。
労働契約法第5条により、使用者は労働者の健康管理に関する安全配慮義務を負う。
労働者のうつなどのメンタルヘルス不調を未然に防止するための仕組みとしてストレスチェック制度がある。
常時50人以上の労働者を使用する事業場は産業医を専任しなければならない。

過労死等防止対策推進法第2条(定義)に「過労死等とは、業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における「強い心理的負荷」による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害をいう」とある。


労働者の心の健康の保持増進のための指針

職場における心の健康づくり
事業者は、メンタルヘルスケアを実施するにあたり、事業場の現状とその問題点を明確にし、基本的な計画を策定する必要がある。
メンタルヘルスケアを行うことは努力義務である。また、労働者の私的な生活に配慮することは留意点であり義務ではない。
心の健康問題に対処するために労使・産業医・衛生管理者等で構成される衛星委員会の活用が示され、そこには労使も含まれる。(人事労務管理も含む)
労働者の心の健康は家庭や個人の問題と相互に影響し合う。また、心の健康については、客観的な測定方法が十分確立しておらず、その評価には労働者本人から心身の状況に関する情報を取得する必要がある事が指針には記載されている。
示されている4つのケアは次の通り。
「セルフケア」「ラインによるケア」
「事業場内産業保険スタッフ等によるケア」「事業場外資源によるケア」


労働者への教育研修及び情報提供
ストレスへの気づきや対処法などに関する教育研修と情報提供とが継続的かつ計画的に実施されるよう、「教育研修・情報提供」を継続的に行うことが指針に含まれている。メンタルヘルスに関する情報は適宜わかりやすく加工される必要がある。
労働者への教育研修・情報提供について、次のように記載されている
①メンタルヘルスケアに関する事業場の方針
②ストレス及びメンタルヘルスケアに関する基礎知識
③セルフケアの重要性及び心の健康問題に対する正しい態度
④ストレスへの気づき方
⑤ストレス予防、軽減及びストレスへの対処の方法
⑥自発的な相談の有効性
⑦事業場内の相談先及び事業場外資源に関する情報
「職場環境の評価及び改善の方法」は記載されていない。これらは管理監督者への教育研修・情報提供に含まれている。

2018年第一回
問28 産業保健について、正しいものを1つ選べ。
① 事業場を経営するものを管理監督者という。
② 労働者は自らの健康管理に関する安全配慮義務を負う。
③ ストレスチェック制度は労働者のうつ病の早期発見を目的とした取組である。
④ 常時50人以上の労働者を使用する事業場は、産業医を選任しなければならない。
⑤ 過労死等防止対策推進法における「過労死等」とは、業務における過重な負荷による脳血管疾患又は心臓疾患を原因とする死亡をいう。

正解は④


2018年第一回
問29 労働者の心の健康の保持増進のための指針の職場における心の健康づくりについて、最も適切なものを1つ選べ。
① 労働者の心の健康は、家庭や個人の問題とは切り離して捉える。
② メンタルヘルス不調となった労働者の職場復帰の支援を行う活動は含まれない。
③ ストレスへの気づきや対処法などに関する教育研修と情報提供とが継続的かつ計画的に実施される。
④ メンタルヘルスに関する情報は、適切な対応に必要な情報が的確に伝達されるように加工せずに提供する。
⑤ 「セルフケア」、「ラインによるケア」及び「事業場外資源によるケア」の3つが継続的かつ計画的に実施される。

正解は③


2018年第一回
問112 労働者の心の健康の保持増進のための指針において、労働者への教育研修及び情報提供の内容に含まれないものを1つ選べ。
① ストレスへの気づき方
② 職場環境の評価及び改善の方法
③ メンタルヘルスケアに関する事業場の方針
④ ストレス及びメンタルヘルスケアに関する基礎知識
⑤ ストレスの予防、軽減及びストレスへの対処の方法

正解は②


2019年第二回
問104 労働者の心の健康の保持増進のための指針について、正しいものを1つ選べ。
① 事業者は、職場のメンタルヘルスケアを実施しなければならない。
② 事業者は、事業場以外で労働者の私的な生活に配慮しなければならない。
③ 個人情報保護の観点から、人事労務管理とは異なる部署でのケアが望ましい。
④ 労働者の心の健康問題についてケアを行う場合は、客観的な測定方法に基づかなければならない。
⑤ 事業者は、メンタルヘルスケアを実施するにあたり、事業場の現状とその問題点を明確にし、基本的な計画を策定する必要がある。

正解は⑤

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