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孤独な夜を一緒に歩いてくれる3曲 ③有夜無夜 (終)

この記事はの続きになります。

有夜無夜
作詞・作曲・歌:獅子志司

(曲名を押すとMVに飛びます。写真はMVから拝借しました)

・イントロ&メロディーラインがよき

曲名にあるような夜であるような、ないような時間帯を歩いていくMVが印象的な1曲。
ネオンサインや標識で描かれる歌詞も獅子志司さんの作品ならでなので、いつも面白く見入っちゃいます。

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ゆったりとしたイントロから入るこの曲をいつも、朝目覚めてから通勤列車に乗り込む前の徒歩の時間に聞いています。
スタートダッシュ!って感じではないですが、1日始まりますよーと徐々に朝を告げる曲調が徐々に会社に近づく感覚と紐づいて好きなんですよね。メロディーが素敵なのでoff vocalで聞いていてもすごく楽しい曲なんです。

・「曖昧さ」が続く歌詞

さて歌詞では、有耶無耶ともいえる「曖昧さ」がいろんな形で表現されています。例えばこんな感じで。

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Too ~ 僕が僕であるために韻を
Too ~ 夢が夢であるために踏むよ

「僕が僕であるために」と来た後に「夢が夢であるために」と受ける。今ここで歌われている世界が現実なのか、夢なのか、よく分からないですよね。

歌詞で韻を踏むと語ったとおり、
獅子志司さんは歌詞の中でこれでもか、というくらい韻を踏みまくります。踏み倒しです。例えばこう。

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人生の申請を
君宛に書いては破いて
残弾の算段も
どうだっていいと思えた夜だね

ね。

言葉を考察するのもおもしろいんですが、韻を楽しんで欲しい楽曲でもあります。
何か人生の決心をしたような歌詞ですが、そのあとこう続きます。

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実際に以下の歌詞のタイミングで​MVでも夜が明けます
馬鹿になって今は
捧ごうと思うんだ
嘘も透明も永遠も明けるはず

どうやら踏ん切りをつけたようで、
嘘も透明(=何かの不在?)も永遠(=長いトンネル?)も明けるはずと言明しています。ぼんやりですが、明けることによって、希望が持たされる感じがしてきます。その後にこう続きます。

動乱の僕らは
どれだけ祈ったろう 光へ
先見も尊厳も
誇れはしないけど 届いて

「動乱の」は、どうなんのに聞こえるような
迷いも合わせて示しています。
ここで祈る対象となった光は待ち望んだ朝日のことをさしていると思われます。
先見と尊厳も少し韻を踏んでいますね。そして最後に以下の歌詞で締めくくられます。

・必ず夜明けは訪れる

ちぎれそうな想いは
明日の木漏れ日だ
不安を偽善を希望を
明けに書いた

今、苦しくちぎれそうな思いも「明日の木漏れ日」という光に転化する。つまり、悩みに悩んで、今この夜に解決するのではなく、時間が解決できるというわけです。
不安も偽善も希望も明けになったら文字にできる。明らかにできる。

このように、この歌で一貫して語られるのは、夜明けが解決するということです。
この世界が夢なのか現実なのか曖昧な中で、どちらにも夜明けが訪れます。
嘘も透明も永遠も明けるはず。

もし仮に孤独な夜を朝まで過ごしたら、それは朝まで過ごしてしまったと落ち込むのではなく、夜明けが訪れたと"明けた"ことにすることができるのです。
どんな夜にも朝が来ます。夜明けが来ます。雲におおわれても朝日は昇っています。
仮にダメダメな1日でも終わりがあり、夜があり夜明けが来ます。そして、新たな1日が始まります。

もしあなたが孤独な夜に苦しんでいたら、朝が、夜明けがあることも忘れないでください。
そう言われてもなかなか難しいかもしれませんが、気持ちのリセットをすることができる。その夜明けというタイミングを一日に1回迎えることができる。"有夜無夜"になっている歌詞の中でそれだけは、はっきりと感じ取れるのです。


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