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『美術館女子企画』、あなたはどう思った?|REING NIGHT

Creative Studio REINGでは隔週の火曜日に『REING NIGHT(リング・ナイト)』というイベントを開催しています。主に広告・表現についてジェンダー的観点からお互いの意見や感じ方を対話するオンラインコミュニティ。

💜  REING NIGHTとは?
日本のジェンダーイシューについて視点を掛け合わす場、REING NIGHT。身の回りに溢れるTV番組、雑誌、広告、映画等、コンテンツにおける表現に触れることで、誰しもが知らず知らずのうちに「性別」によって、人としてのあり方や生き方を想定してしまっているかもしれない。これまで長い歴史の中で築かれてきた「男性として」「女性として」こうあるべきという見せ方や表現について、私たちは何をどう捉え、考えていけばいいのだろう。

「『美術館女子企画』、あなたはどう思った?」

ー美術館女子企画

今年6月、読売新聞と全国約150の公立美術館が加盟する美術館連絡協議会(以下、美連協)が企画した新プロジェクト、美術館女子がリリースされた。若年層(おもに若い女性)をターゲットとし、AKB48の所属アイドルが各地の美術館を巡り、作品とともに「インスタ映え」する写真を公開するという企画。

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画像:美術館女子ウェブサイト『読売新聞美術館女子 東京都現代美術館×AKB48チーム8小栗有以』

しかし発表されると同時にSNS上で炎上し、現在ホームページは公開を終了し写真も全て削除されている。Twitter上では#美術館女子 のワードがトレンド入りし、賛否両論様々な声が集まった。批判的な意見にはこのようなものが挙がった。

🗣 「無知な観客の役割を若い女性に担わせている。」
🗣 「若い女性の客体化はやめてほしい」
🗣 「『女子』も展示物の一部として位置付けているのだろう」
🗣 「ナントカ女子、やめませんか」
🗣 「日本の美術館の大半は写真撮影NGなのに、なぜ映えに焦点を当てたのか?」

その一方で、「単なるマーケティングの一種であるから問題ない」「〇〇男子という単語もあるし女性差別ではない」など肯定的な声も上がっている。

2020年7月7日のREING NIGHTでは、この話題をテーマに、

・「美術館女子」があなたにどのような感情や違和感をもたらしたのか
・「〇〇女子 / 〇〇男子」という表現はアリ?ナシ?

という問いを立てて、1時間半語り合った。

この日の参加者は13人。美術大学在学中の学生や、アート業界・広告業界で働く社会人など様々な年齢・属性の人が集まり、様々な観点からの意見がかけ合わさって盛り上がりを見せた。

🗣 女性を客体化しているのでは?

・男性と女性のアーティストとしての扱いの差を知っているからあまり驚かなかった。女性には抽象的なものは理解できない、インスタと結び付けないと女子には受けないと思われていることに怒り。
・企画趣旨として芸術メインなのか、アイドルがメインなのかわからない。美術館に行こうという企画なのに、なぜアイドルがカメラ目線で写っているのか。
・アイドルをキャスティングしたこと自体がミス。女性の客体化。


🗣 他者がカテゴライズする違和感

・カテゴライズは当事者がすべきだ。自分で自分を〇〇女子とカテゴライズすることと、他者からカテゴライズされることでは意味が違ってくるのではないか。
・〇〇女子はその単語自体に差別的ニュアンスが含まれていると思う。自ら使うことは自分自身を社会が求める女子像(ステレオタイプ)の枠に縛り付けることになるのではないか。使う使わないは別として、そのことに自覚的であるべきだ。 


🗣 当事者の持つパワー

広告を作る側の参加者からはこんな意見も。

・どうしても〇〇女子という言い方は残っていくのではないか。固定化(ラベル化)される過程の中で、単語の持つジェンダーバイアス的意味は失われていくと思う。
・美術館女子という言葉の意味を取り戻すこともできる。どうしても〇〇女子という言葉はなくならない、消えないからその言葉の意味をポジティブなものに変えよう!

例えば、「クィア(Queer)」という単語は現在、セクシュアルマイノリティを包括的に指す言葉としてポジティブに使われているが、元々は「風変わりな」「奇妙な」「変態」を意味する蔑称。

「美術館女子」も、あえて当事者自身が#を用いて専門的知識などを話すことで「無知な観客」としての美術館女子ではなく、ポジティブな意味合いの単語に変わっていくかもしれない。

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美術業界に存在するリアルなジェンダーギャップ

もし案内役が女性アイドルではなかったら、もし「インスタ映え」ではなくもっと専門的な知識に関するものだったら、「美術館女子」企画に対する世間の反応はどのようなものだっただろうか。

次の3つのグラフに目を通して欲しい。

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出典:美術手帖『統計データから見る日本美術界のジェンダーアンバランス。シリーズ:ジェンダーフリーは可能か?(1)』

これらは美術業界に存在するリアルなジェンダーギャップの一部である。特に美術館におけるジェンダーアンバランスは近年問題視されるようになってきた。今回の企画も、新聞社と美連協の旧態依然たる組織体制から出たサビなのかもしれない。

「美術館女子」がネットで炎上し中止に追い込まれたように、これから先、広告・表現におけるジェンダーはますます議論の的となっていくことだろう。

まだまだ日本は変わりはじめたばかり。「ジェンダー」という正解がない問いに対して、これからも、わたしたちREINGはコミュニティのメンバーと共に考え、向き合っていきたい。


Writer : Ai O’Higgins
Editor:Yuri Abo

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