百合要素のある女子野球マンガ『球詠』

こんばんは。
LGBTライター・なつめれいなです。

最近はサッカーに肉薄されているものの、日本でメジャーなスポーツといえば野球です。

野球といえば「男性のスポーツ」というイメージがあります。しかし、数は少ないながら女子硬式野球部のある高校も増え、今年は甲子園球場でその決勝戦が行われたことが話題となったのを覚えている人も多いでしょう。

野球マンガには『ドカベン』や『MAJOR』など名作も多いものの、男性が主人公の作品が多い傾向にあります。そんな中で女子野球をテーマにした作品が、今回ご紹介する『球詠』です。

球詠　コミック　1-10巻セット

女子野球がメジャーになった世界が舞台

物語の舞台は埼玉県越谷市。女子の硬式野球がメジャースポーツになった日本という設定て物語が展開します。

ヒロインは投手の武田詠深。幼なじみの山崎珠姫とはスーパーボール（玩具用のゴムボール）でよく遊んでおり、これで投げた魔球を硬球で投げられたら高校で一緒に野球をしようと約束していました。

実際、中学時代に特訓をしたことでこの魔球を投げられるようになっていましたが、捕球できる捕手がいなかったことから封印。チームも初戦敗退でした。また、進学した新越谷高校も制服で選んだようなものだったので、野球をする気はありませんでした。

そんなときに幼なじみと出会い、キャッチボールをしたことで野球への情熱が再燃したものの、野球部は休部状態。それでも、同じクラスになった川口芳乃・息吹の双子姉妹たちと一緒に野球部に入部、戻ってきた先輩やその後に入部してきた仲間たちと再建する決意をしていきます。

百合要素がある

作者のマウンテンプクイチ先生は、『あまゆる。』や『ぷくゆり』などの百合作品も手掛けているので、本作にも百合要素が入っています。

例えば、詠深と珠姫の友情関係やマネージャーの芳乃と中村希の関係に、百合要素を感じる人が多いのではないでしょうか。あくまでも野球マンガなので、その範囲内にはなるものの、百合作品好きで野球にも興味がある人は楽しめる作品です。

野球マンガとしての骨太さもある

本作は芳文社の「まんがタイムきららフォワード」に連載されています。本誌は可愛い美少女が登場することが特徴で、『球詠』も例外ではありません。

その中で、野球の試合描写はもちろんのこと、練習・合宿の描写もきちんと行われています。

展開はやや早いと感じる人も多いと思いますが、試合描写や練習描写も織り込まれ、野球マンガならではの小ネタも入っているので、全体的に満足できる作品でしょう。

アニメや舞台化もされている

本作は2020年4月～6月にかけて、AT-Xでアニメが放映されました。また、今年6月にはラストアイドルのメンバーが出演して舞台化もされました。

アニメは県大会の途中、舞台は県大会直前までで終わっています。連載はまだ続いているので（コミックスは10巻まで刊行）、今後はセカンドシーズンの展開も期待できるでしょう。