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長編小説【記憶の石】

21
14歳の、終わりから。 ※フィクションです。
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2023年9月の記事一覧

【記憶の石】21

【記憶の石】21

 ガムシロップの1ポーションの量が多いと嬉しい。久子はアイスティーに落ちていくシロップの筋を見つめた。
 14時の喫茶店。面接の時間になったら携帯に電話をするから4階に上がってきてほしい。お茶代は出します——「応募先」からはこのような指示があった。店内には他にも、募集のターゲット層と思われる若い女性がちらほらと座っていた。コーヒー1杯に最低でも500円はかかる店だが、応募者には丁寧にご馳走してくれ

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