通信制高校卒でも、人生は終わらなかった
私は全日制の公立高校に通う、普通の女子高生だった。
ただ、両親の期待に応える能力や、思春期真っ只中に赤面症である自分を受け入れてあげる精神力は持ち合わせていなかった。
生き辛さを抱えながらも、何とか高校1年生は乗り切った。良い友達に恵まれ、孤独じゃなかったことも大きい。けれど、高校2年生の時に私は躓いた。
まず感じた異変は、趣味を楽しめなくなったこと。物心がついた頃から読書が趣味だったのに、文字が読めなくなった。本を開いても、全く内容が頭に入らず、あんなに大好きだった読書が苦痛になった。文字が読めないということは当然、勉強もできなくなった。
身体も鉛のように重たくなり、朝起きることが物凄く苦痛になった。しかし親からは甘えだと一蹴され、家からは叩き出された。この頃は常に38度前後の熱が出ていたので、それを理由に毎日保健室に通って、何とかやり過ごしていた。
高1のときはトップクラスだった成績が一気に低下したこともあり、学校側も異変に気が付き、スクールカウンセラーや保健室の先生は味方になってくれた。
しかし公立高校としては、そんな生徒を進級させるわけにはいかない。まず、あと3回体育の授業を休むと単位が取れず留年する、という告知を受けた。この体調で体育など、できるわけもなかった。
紆余曲折あったが結果としては、貯めてきたお年玉で費用は自分で捻出することを条件に、通信制高校に転校することになった。
私が編入した高校は、今でこそN高などに圧されているが、当時は通信制高校界隈では最大級だった。わずかな登校回数で高卒資格を得られることから、多くの芸能人も輩出している。
私も芸能人と同じく、普段はネット上でビデオ講義や試験を受け、月に1~2回、スクーリングするという生活を送った。その傍ら、完全独学で受験勉強に励んだ。図書館に通ったり、(褒められた話じゃないが)本屋でひたすら参考書を立ち読みしたりもした。この期間も相当孤独でキツかったけど、死なない理由があったので耐えることができた。
結果、第3志望ではあったけど大学に合格することができ、しれっと社会復帰を果たした。入学前の春休みは毎日散歩して、急いで基礎体力作りを行ったことももはや懐かしい。
通信制高校卒であることが就活で不利にならないか心配したが、実際に質問された際は堂々と「家庭の事情です」と伝えると、逆に通信制高校に在籍しながらも進学したことを高く評価されることが多かった。
中途採用の面接にもなると、流石に高校のことを訊いてくる会社は少ないが、それでも「高校時代に転校しているのは何故?」と、体感2割程度は質問を頂戴する。堂々と答えると、「10代の頃から努力家だったんですね」と、これまた褒めてもらえる。
別に大学進学しなくたって、専門でも何でもいい。元の高校ではできなかったけど、バイトに勤しんでいたって答えてもいい。
やり方次第で、通信制高校卒は逆に武器になる。
世間一般の高校生が経験できる青春を味わえなかった、という負の感情は今も残る。けど、通信制高校に入ったらもう人生終わりだ、というのはとんでもない間違いである。
通信制高校に入ったからこそ、私は3年で高卒資格を得ることができたし、その後の人生も(今は寄り道してるけど…)概ね滞りなく、歩むことができた。
自分が高校生の時に、こういう記事を目にしていたら希望になっただろうなと思うので、書いてみた。誰か一人でも、通信制高校の関係者に届くと嬉しい。