第2回 重心の落とし方

新型コロナウイルス感染症の感染者数が減らないですね。品川区、大田区のスポーツ施設の利用休止期間が5/31まで延長されてしまい、今月も自主練が続いています。
6月には利用再開されると良いのですが。

姿勢が良い人の共通点

2回目も身体作りに関するテーマを選びました。
自分はこれまでに多くの方々とお稽古をご一緒しましたが、入門時から妙に姿勢の良い方がいらっしゃるのが気になっていました。「気をつけ」のような無理に作った姿勢ではなく背筋がすっと通っていて、スライドするようにスルスルと歩く姿勢。上半身が揺れ動かないのです。
こういう方と組太刀をすると、例外なく打たれた時の衝撃が重い。腕力で叩きつけるのではなく、体幹にズシッとくる重さです。

武道歴を伺ってみると、ほぼ全員、居合を習っている(または過去に習っていた)と回答されました。
流派までは聞いていないので不明です。

制剛流抜刀術

当道場では新陰流の併修として制剛流抜刀術の教習を実施しています。
(制剛流抜刀術単独の教習はしていません)
技数の配分は居合と立合が4:6ぐらい。居合からはじめて後に立合を習います。
新陰流は立って行うものなので、座って行う武術は制剛流抜刀術の居合のみ。「足腰を鍛えるために習ったほうが良い」と自分も入門一年目に言われて教習を開始しました。
居合をやってみると数本程度で足全体の筋肉が痛んできます。立つのがやっと、というほどの痛さ。
そこをこらえて毎週練習すると、次第に慣れてきて10本、20本と繰り返し動けるようになります。
確かに足腰の鍛錬にはなりました。
でも、制剛流抜刀術にはこの他にもうひとつ、効果がありました。

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姿勢が変わった会員さん

10年以上前、50代の方(Aさんとします)が入門されました。武道経験、運動経験は全くなし。新陰流の取揚遣いの練習では、韜の重さに煽られてバランスを崩し転んでしまうこともしばしばでした。
入門して半年ほど経過した頃に制剛流抜刀術の併修を勧めたところ、Aさんはその場で承諾して翌週には道具を揃えてきました。
入門者はまず居合のうち7本の技を練習し、一定のレベルに達したら次の7本を練習します。Aさんにもまずは7本、練習していただきました。Aさんは毎週黙々とその7本を練習し続けました。
数ヶ月経ち、もうそろそろ次の7本に進んでも良いと思いお話してみましたが、「自分はまだ練習が足りないから」と仰って同じ7本を練習していました。
1年ほど過ぎた頃、Aさんの姿勢と体捌きに変化が現れました。立った時の姿勢が、立てた将棋の駒をイメージさせるような安定した姿勢になっている。また新陰流でも、韜に振り回されてバランスを崩すことがなくなり、身体のブレやぐらつきが減って体捌きが安定してきました。また、Aさんとの新陰流の組太刀で自分が打たれた時の感覚が、重さを感じるものに変わっていました。

手や足のようにはっきり目に見えるものではないので感覚的な話になりますが、Aさんは重心が丹田まで落ちたのではないか、と思いました。

重心を落とす方法

変化したAさんの姿は、冒頭に書きました居合の経験がある会員さんたちによく似ていたと思います。つまり居合経験者の会員さんたちはすでに重心ができていたのだ、と後になって気がつきました。

制剛流抜刀術を含めたすべての居合の技に重心を落とす効果があるか?は検証していないので不明ですが、当道場の制剛流抜刀術に限って言えば、Aさんの実績から「その効果はある」と言えるかと思います。
ただ…自分がこれまで一緒に練習してきた新陰流と制剛流抜刀術の併修者のうち、姿勢の変化が現れた、と思えた人は、今のところAさんおひとりだけです。
自分もおそらく重心が落ちていません。なので制剛流抜刀術を習い出してから20年、毎週ずっと練習は続けています。
Aさんに続いて自分も実証を示すひとりにならなくては、と思っています。

いまは新型コロナウイルス感染症拡大防止のため施設が使えないので、制剛流抜刀術の練習は休止したままです。自宅内でやると模擬刀がぶつかって周囲の家具を破壊してしまうので…
そういうこともあり、一日も早い終息を願うばかりです。

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