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しぜんのかがくep.48(5/31)~化粧と美容(災害時における化粧の効果、女性目線の防災)

ep.46では化粧には、元々は呪術的、医療的な意味があり、外見を美しく見せるだけでなく、心をウキウキさせることで免疫力をアップさせるなどの心理的な効果として「化粧療法」もあるとお話ししました。

被災者が社会的な顔を取り戻すこと,それによって自分自身の日常のかつてのあり方をたとえ一時的だとしても取り戻すことができるんですね。こうした臨床的な観点を応用し,被災地での化粧ケアも近年では積極的にとり組まれるようになってきました。

人は日々、朝、メークをすることで自らを励まし、夜、丁寧にメークを落としてスキンケアすることで自らを癒します。化粧とは、日常生活に組み込まれた「感情調整装置」なのです。これが震災のような非常時にも、内面を支える効果があることが明らかになっています。

例えば、令和6年能登半島地震でも石川県輪島市にメイクアップアーティストのボランティアが訪れています。水は全くなく貴重だったのでメークには使えませんでした。被災者はきれいにしてもらい、気分も高まったという感想を述べています。

資生堂は「ビューティーボランティア」活動として、2011年東日本大震災当時から活動されています。最初は避難所でボロボロになった手をなんとかして欲しいという声から始まりました。消毒液の使いすぎ、手を洗いすぎだったんですね。ハンドクリームのサンプルを配ったらとても喜ばれたそうです。
それだけでなくて、ハンドマッサージやメイクも行っていたそうです。すると被災者の方の顔がパッと明るくなって優しい言葉をもらったり、お菓子をくれようとしたり、被災者の方から人の暖かさを感じるようになったそうです。被災後に生きていくためには、水、食べ物、電気などのライフラインはもちろん重要だけれど、それだけでは生きていけないんですね。

では何を準備すればいいか?というと、以下のリストを示しています。被災経験から特に女性は普段から持ち歩いて欲しそうです。

マストアイテム1:リップクリーム
唇は乾燥しやすいパーツ。目元や乾燥して皮ムケしたパーツの保湿にも使えます。直接触れなくても塗ることができるので衛生的にも。
マストアイテム2:好きな香りのハンドクリーム
消毒液や乾燥による手あれを防ぐために必要。自分のお気に入りの香りを選べば、強いストレスを感じた際にリラックスできます。
マストアイテム3:アイブロウ
眉さえ描いておけば“すっぴん感”をカバーできます。
マストアイテム4:水を通さない大判おしゃれスカーフ
おしゃれと防寒が両方できて、軽くてかさばらない大判スカーフも持っておくと便利。緊急時に水を汲むこともできるので、素材はポリエステル100%などの水を通さないものがベスト。
また他にはミストスプレー、ヘアゴム、ヘアバンド、お気に入りの化粧品(オールインワンだと便利)等があります。

以下に、2014年に資生堂が作った冊子があります。

資生堂 被災地での肌と髪のケア 〜これからに向けて。 メーキャップができること。〜https://corp.shiseido.com/jp/sustainability/community/relief/pdf/beauty.pdf

防災ひとこと

化粧は「飾る」だけじゃない。 女性の元気もつくることができる。
やはり女性にとっては、化粧 は毎日の生活に根づいた「日常」そのものであること。その化粧という「日常」を行うことで、災害時でも普段の生活を少しでも取り戻すきっかけになるんですね。

参考:
メイクセラピー(化粧療法)
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/tyojyu-biyo/kesho-oshare-kenko.html

被災地での化粧ケア
https://psych.or.jp/wp-content/uploads/2020/04/89-13-16.pdf

参考:美容師による被災地支援

⭐️Podcast本編はこちら↓宜しければお聴きください♪
神田沙織 がりれでぃ スピンオフ
ナチュラル・サイエンス・ラボ
しぜんのかがく



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