夫婦の日常 玲子の場合
夜明け前、
玲子は、おそるおそる、家のドアを音がしないようにそっと注意深く開けた
よかった、玄関のたたきに洋介の靴はなかった
緊張感が一気に開放感に変わって、玲子はホッと胸をなでおろした
洋介は出張からまだ帰ってはいなかったのだ・・・
安堵感から、玲子はカバンを床にほうり投げると、ソファーに身体を沈め、
そして、・・・深く瞼を閉じた
たちまち身勝手な欲望と妄想と幻想の中に玲子の意識は堕ちていく
優希とは今度いつ、逢えるのだろうか?
焦らすように玲子の目の奥を覗き込むその仕草、
わかったようなことを言う生意気なその態度、
そして・・・・・・・・・・・・・・・・
抗えば、抗うほど、何度も何度も貪るように玲子の肉体に繰り返される、
優希の行為・・・・・・・・・・・・・・
そのどれもが優希の瑞々しさ、初々しさの証であると思うと
玲子はいつも優希のいいなりになってしまうのだ・・・
「・・・でも、好きなんだよな・・・」
甘美な時間はいつも残酷で・・・そして短い・・・
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