神と自然と科学と農薬

並奈 伶征です。

今回の内容は所謂自然派とされる方の思考・思想・信条、また一部の宗教観・信仰と著しく反発する内容となりますので、ご注意下さい。

また、私は大いなる神という存在(のようなもの)が作り出した世界という考え方で個人的に生きていますが、既存の宗教のどこにも属していないということもご承知おきください。




「神の教えに従った、無農薬の野菜を配布します」

といった内容の張り紙をとある宗教施設で見かけました。(実際にはもう少し異なる文章でした)
この一文だけで、農薬=神の教えと反するものだという思考が読み取れます。

こういった考え方は特定の宗教に限らずスピリチュアル系にもよくありがちですよね。
自然のものは素晴らしく、農薬などの科学的(化学的)なものは悪とされる考え方です。

しかし、私は全くそうは思いません。
一体農薬や化学肥料でどれだけの作物が効率よく収穫できるのか?
今のこの豊かな生活は決して所謂「自然の通り」にして存在しているものではないですよね。
農薬や化学肥料という先人達の叡智の結晶が、「自然に」採れるよりも多くの食べ物をこの世に安定的に生み出しているんです。
人を救うという意味で、科学・化学こそが人類に対する神からの愛と言えるのではないでしょうか。と、私は考えます。

もちろんどんな食べ物だって、元は自然が生み出しています。そこを否定する気は毛頭ございません。
ただ、自然の通りに生きるだけじゃこの世界はこんなに豊かにはなっていませんよね。
人が幸せに暮らすには食糧の安定供給が必須です。
飢饉に苦しんでいた歴史がある日本で、今は飢えもせず生きているのは、色んな方々の知恵と努力の結晶によってもたらされた数多の科学・化学の恩恵を受けているからです。

スーパーに行けば沢山の食べ物が買えるのは何故か?それは数え切れないほどたくさんの人の努力と知恵と歴史が生み出した豊かさがあるからこそですよ。

自然のものが1番!農薬は悪!と思える人が生きているのは、科学と化学、そして流通に至るまで様々な場面で人の知恵と努力の結晶の上に成り立った食べ物の安定供給があり、今日まで生きて来られたからですよね?

現代人を生かしているのは、無農薬に拘った「神の教え通りの野菜」ではなく、人間が生み出した叡智です。
そもそも無農薬で野菜を栽培して配るほどのことができるのは、今の日本が食糧に困っていないからです。
もしも食べ物に困っているときに、手間を省いてたくさんの食べ物を作る事ができる方法があったらそれに飛びつかないでいられるでしょうか?
それでも自然の通りにできた分だけで苦しむ事を選ぶのでしょうか?

そもそも神がこの世を創り出しているのに、この世で農薬が作り出せるように出来ているという時点でもうそれは神の予定調和の一つでしょう。
神はそこまで見越して科学という世界の機能を創り出していると私は思うのです。

私は、科学(というか、人類の知恵)を軽視する神・スピリチュアル・自然派を信仰することは現状ではあり得なません。
この世には間違いなく科学という世界の仕組みががあり、科学が人々を発展させ、生活を豊かにしてくれているのですから。

科学・化学はもちろん人体に悪影響を及ぼすこともありますよ。
でももうそれは仕方ないです。
どうしたってこの世に完璧はないし、世界はそう作られています。(そもそも天然の毒だって沢山ありますし…)
毒と薬は紙一重。その塩梅を探していく途中には多数の犠牲を生むかも知れませんが、更にその先にはその何十倍も人を救うでしょうし、救ってきましたよね。

科学は知見のある先人達が築いてきた人類の叡智の結晶そのものです。
その人類の叡智の結晶を軽視して、縄文時代の生活に戻るのがお好みであれば勝手に戻って欲しいですが、数多の人間を救ってきた科学を一辺倒に悪だとする風潮には本当にうんざりしています。

無農薬を謳う作物だけを食べたいなら好きにすればいい。健康被害は確かに無いと私は言い切ることはできません。気になるのなら食べないでいられる環境が日本にはある。それは自由です。

ですが、科学を神に反するといって敵視し過ぎるこの風潮はいかがなものでしょうか?
少なくとも私は農薬だって化学肥料だって神の愛の一つだと思います。
と、見えない何かを扱う事でお金を頂く私が言うことにきっと意味があると信じています。

何度も同じことを書きますが、見えない何かを扱う世界には、人間の知恵を嫌う人間が多過ぎて辟易します。
そのまま、ありのまま、自然のままを過度に賛美する風潮が強過ぎはしませんか。
それこそ、自然への感謝や信仰心ばかりで、科学や文明に対する感謝を忘れていませんか。

人間も世界も、変化してこそ磨かれます。
自然への感謝・畏怖・敬愛を忘れないようにしつつも、人類の知恵の結晶さえも神の作り出した素晴らしい世界だと私は感じて生きて行きたいと思います。


(怒りが強く出てしまった文章になってしまったことを陳謝致します。)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?