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野又穰 Continuum 想像の語彙
バベルの塔が好きだ。
旧約聖書に現れる建造物、という認識より遥か前に漫画『バベル二世』に夢中になり敵が近づくと人工砂嵐を起こしてその所在を隠し、運良く侵入できたとしても塔内に仕掛けられた様々な罠で撃退されてしまうミステリアス且つ無敵の塔にクラクラしたものだ。
ブリューゲルの絵に興味を感じるようになったのは成人してから。ローマのコロッセオを想起させる外観と高さに最初は落胆し、同時にそんな昔に今の高層建築技術を期待するのは無理な話なので納得もした。
しかし、もしかしてもしかするとべらぼうに高い塔が本当に存在したのかもしれない、そうでないならば人間達の言葉をバラバラにしてしまうほどの神の怒りを買った理由としては弱い。
野又穣さんが同じ事を考えていたかは分からないが、夢にまで見た僕の理想のバベルの塔が其処に在った。建築中であるにも関わらず絵の中に人物は一切存在せず、美しい外観に反して荒涼とした寂しさに包まれる。きっとこの塔は自分自身の手で今でも建設を続けているのだろう。サグラダ・ファミリアが未だ完成の糸口が見えないのを嘲笑うように。
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この絵に『バベルの塔』というタイトルは付いておらず「46」と作品番号が記されているだけ。他の絵もこんな建造物が古代にあったかもしれないなと夢が膨らむものばかりだが、いずれも作品番号のみの表記。彼の親友が書いたコラムを読んで妙に全てに合点が行った。
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ちなみに、「バベル二世」の著者は石ノ森章太郎だと思い込んでいたほど作者を覚える気がサラサラ無い僕だが、横山光輝を野又穰とセットでこの機会にしっかり覚えた。
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