告知のような…
若い時分にはミュージカルのアンサンブルやコンサートのバックダンサーなどを務めたこともあったが、商業舞台に興味を失ってからというもの無縁の生活を送ってきた。
コンテンポラリーダンスなどという商業ダンスとは真逆の位置付けのダンスにハマり現実と非現実の端境を曖昧に揺蕩うニュアンスを突き詰めていたら一周廻って楽しく煌びやかな世界も知的でアンニュイな世界もあまり拘りなく接すすることが出来るようになってきて、そんな折に劇団四季や宝塚出身の俳優さん方が一堂に会するコンサートのステージングなるものを担当する機会を与えられた。
「歌を聴かせる」「長年のファンの皆様が納得する舞台にする」意味合いが強い現場で僕が出来ることは何だろう…と非常に悩み振付を任された楽曲に関してはそこだけが悪目立ちしないよう配慮しつつも学芸会のような有様だけは避けようと意地で創ったが、肝心の全体のステージングについては演出家が別に存在している上に「あんた誰?」という無言のプレッシャーに立ち向かうも部外者感を払拭出来ず役者の皆さんに強く物を言うことが出来ぬまま終わったことが悔やまれてならなかった。
そんな前回の経緯がありもう二度とこんなお話は来ないだろうと安心しきっていたら今度は何と全体の演出をお願い出来ないか?という打診が来て驚くより先に拍子抜けしてしまった。
「何で僕が?」
世の中には優れた演出家が沢山いる。手慣れた演出で絶対ここを押さえれば評価も興行収入も一定ラインを超えて先生また次回も宜しくお願いしますと興業主から厚く握手を求められる。
しかし、僕は全くそんな経験も向上心も持ち合わせていないので何をしたら全員がwin-winか、なんて分かるはずもない。「こういうの出来たら素敵ですよねぇ」とウットリ妄想するものは大抵世間のスタンダードから外れているのだ。
よくもそんな人間を演出家に起用する気になったものだとプロデューサーの頭を疑う。一悶着も二悶着もありつつも迎えた昨日の舞台稽古を見ていたプロデューサーが休憩中に喫煙所で精魂尽き果てている伴奏者・衣装デザイナー・演出家(通称・悪いオジサン達)の元へ駆けつけ「あれが見たかったんです!」と感極まっている姿を見て、あぁそれなら何よりです…と急激に心が離れていくのを感じた。
いつものことだが、創ったものが手を離れる瞬間に良い意味で情熱は冷める。後は舞台上の人間に任せた、という割り切りが出来ると言おうか。前回味わった不甲斐無さはカケラも無かった。
こんなおかしな状況で生まれた極上の大人の舞台を是非物好きな方々にご覧頂きたい。
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アミューズ 制作 小川宛
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