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坂本龍一という人

間もなく公開される僕の新作映像作品で使用されているのは坂本龍一氏の「美貌の青空」という楽曲。

YMOも別にそんなに好きではなかったし、ソロになってからもギュウンと心を鷲掴みにされた記憶も無い。勿論「戦メリ」も「エナジーフロー」もよく聴いた曲ではあるけど涙を流すほど感情移入出来たわけでもなく、「私は坂本龍一のファンです」と堂々と言える人達の前では本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになるであろう程度のリスナーだった。

そんな僕が2017年にリリースされた「async」で心を引っ掻かれ、その後間もなく観た「coda」で一気に魅了された。失礼ながら自分自身を投影出来る部分を沢山見つけてひどく喜んだ。

でも断片的に飛び込んでくる浅はかな情報にぬか喜びする俄かファンなんて長続きしない。それから暫くはまた哀愁感たっぷりのヨーロッパ・ポストロック勢の音楽に傾倒していた。

今、教授の最期の言葉が記された「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」を手元に置いて、どうして存命時に一度で良いからコンサートに足を運ばなかったのだろう…と悔やまれてならない。

俄かファンは俄かファンらしく、舞踊と舞踏という辛うじてうっすらと繋がっている「美貌の青空」という曲を使わせて頂く事でこの偉大なアーティストに哀悼の意を表したいと思う。

教授、僕はこれから貴方の足取りを辿ります。

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