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M2 MacBook Air購入の話

何かにつけて意固地ぶりと頑固ぶりを発揮し、何かにつけて損をしてきた人生。

そんな僕が人の話を聞くようになった。

これは良いと勧められたものを試せるようになった。

依然として「そこは譲れない精神」を発揮して断固として言うことを聞かないこともまだまだあるけれど、不惑の40代の根拠の無い拘りぶりに比べたら舟和のあんこ玉ぐらい丸くなった。

そんな丸くなった僕がパソコンを買った。

意地を張ってiPhoneとiPadでキリキリと編集した動画作品をYouTubeに上げては満足していた僕に、ある日現実が突き付けられた。

「この動画はこのデバイスに読み込めません」

「え?4K60P動画ってそんなに重いの?」どんなにド素人でも頑張ってググればそんなことぐらい分かりそうなものだけど、完全に甘く見ていた。真っ赤になってしまったiPadのストレージを呆然と眺めていたら神の声が聞こえた。

「MacBook買えば?」

そこから、どのモデルのどんなスペックのものを買えば良いのだろうとYouTube先生と睨めっこが始まった。

1週間経った頃、ほぼ心は決まった。

新宿のApple Storeに初めて足を踏み入れた。まるで大学のサークルとかゼミのような雰囲気にまず足が竦む。フレンドリーなスタッフの笑顔が無知な人間に対しての蔑みの笑みのように感じる。思い切って一台のディスプレイ商品におずおずと手を伸ばす。

「おー!なんだか分からないけど素敵だぞ…」

先程までの恥ずかしさは一瞬で消滅して次々に色んなモデルを触ってみる。訳が分かっていないから本当にただ触っているだけ。

そんな時に一人のスタッフが声を掛けてくれた。質問をすると的確な答えしか返ってこない。僕の考えている用途も完全に理解してくれている。

なのに僕はその日、店を手ぶらで後にする。

要は意気地なし、だったのだ。

でもその翌日、再び僕は同じ店に居た。昨日よりも更に専門知識に溢れた好青年店員さんの好意で持参した4K動画でパンパンのSDカードを読み込ませて貰う。「スン」という音がしたかどうかは覚えていないがそれぐらい呆気なく4K動画達はパソコンに吸い込まれた。

「こんな速いんですか?」
「ええ、数年前とは歴然の差です」
「数年前もなにも全く分からないからとにかく凄いんですね」
「そうですねぇ」

そんな会話を多分していた。というか興奮し過ぎて殆ど覚えていない。

おそらく30分足らずだろうか、僕の手元には高スペックの商品が用意されていた。懸念していた分割支払いのやり方も初期設定も手取り足取り教えて頂いて帰りの道のりは地面から少し浮いていた。

そして今も少し浮いたまま生活している。浮いている暇があったら何か実のあることをすりゃあ良さそうなものだがもう暫くはこの高揚感に浸っていたい。

そんな訳でやたら暑い今年の夏もさほど苦ではなく感じる。

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