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いわゆる「金融」から考えるリスク要因とリテラシー

金融とは、「お金(資金)を融通する」ことを指し、その略語です。
技術の向上により、米国では「BNPL」(Buy Now Pay Later:後払い)が拡大しました。
~注意してお伝えしますが、BNP Londonではありません。~

日本でも環境の変化により「ゼロゼロ融資」と呼ばれるものが拡大しました。これは無担保と実質無利息での融資です。
商行為に関連する「売掛・買掛」と「貸付・借入」は、会計上は異なりますが、金融上ではどちらも与信に基づくものとして同列に取り扱われます。

さて、バルジブラケット(巨大投資銀行)では、
IBD(Investment Banking Division)やCFD(Corporate Finance Division)と呼ばれる(狭義の)投資銀行部門と
資本市場(取引)部門(Capital Market)に分かれます。
投資銀行部門(以降、IBDとします)は主に発行体である事業会社や国などに寄り添い、株式や債券の発行やアレンジメントを収益源とします。資金調達に関連し、M&Aなどで資金需要があればそのアレンジも行います。
一方、資本市場部門(Capital Market)は、主に株式・債券の取引や商品組成を収益の柱とします。

プライマリーとされる事象はIBDが、
セカンダリーとされる事象はCMが担当することが多く、
IBDは主に顧客との接点を持ち、
CMでは金融工学を使ったストラクチャなどプロダクツや市場との接点を担うことが多く、両者の適性は異なると言えます。

ある資金調達をする発行体を考えてみましょう。
通常規模において債券の方が株式よりも巨額です。
純資産に属する株式などの増資(Equity Finance)金額は、
発行する債券(負債勘定、Debt Finance)に比べて小規模であるはずです。

セカンダリーである資本市場(CM)においても
債券部門の取扱金額は株式部門よりもはるかに巨額です。

株式を発行しない国や地方政府などが存在することも考えると、
CMの存在意義は債券部門と考える方が存在するのも事実です。
この分野に関しては、1995年以降、金融工学の発展により、この金利の技術が株式に流入し、大量殺戮兵器化したことがあります。これについては、機会を設けて後で述べることができると思います。

さて、先に触れたBNPLもゼロゼロ融資も共通点があります。
読者の多くは「借りた側」の心理バイアスがあるため理解が難しいかもしれませんが、「貸す側」の立場を考えていただきたいです。
金融において出口のないものはありません。
「貸す側」は、いつ(時間)、いくら(金額)回収できるかという観点が重要で、それを基にお金を融通しています。
ここでのリテラシーとして、「出口のない投資はしない」という基本方針を固めていただきたいです。
「値上がりするから」とか、「月20%回収できる」から(法定利息を超えるため違法金利ですが)という観点で資金を融通すると、
極めて大きなリスク〜具体的には投下資本や元本を毀損するリスク〜を冒すことになります。

さて、話を元に戻しますと、BNPLにおいてもゼロゼロ融資においても、お金を融通してもらった以上、返す日が必ず来ます。
この日に資金が返済されないと債務不履行となります。
また、お金を融通した人もそのお金は消えても良いわけではなく、
何らかの支払いに充てる可能性があるため、
新たな債務不履行の原因となります。(ドミノが倒れると表現します)

BNPLの特徴として、ホリデーシーズンに借入が増加する点があり、
その実態(金額)が誰も把握していないという問題もあります。
この点で、サブプライムに類似していると言えます。
残念ながら、規制ができると、より微細化し地下に潜ろうとする方向性があります、IT技術の発展により加速しています。
暗黒面に落ちてはいけません。

一方で、自由資本主義の中で世界有数の国である日本において、
新型コロナ禍で政府が実施した「ゼロゼロ融資」〜無担保・無利子〜
が行われました。
政府系金融機関では2022年9月まで実施され、中小企業庁によれば2022年6月時点で約42兆円規模とされています。
実質的な無利子融資は、利子の免除期間が3年だったはずで、当初2020年3月に開始された企業は2024年3月から利子の支払いが発生します。
借り換え保証で繰延することもできますが、その際に金利負担は免れません。これに関しては、果たして…

目下、特に日本の株式市場は極めて好調であり、指数として高値更新の傾向があります。
米国では金利が上昇しており、BNPLによる資金調達で成長、
また日本でも政府主導の「ゼロゼロ融資」で成長した実態があります。

何も問題が起きなければ良いですが、過剰債務のリスクは存在し、
今回は2008年とは異なり、どの「バルジブラケット」も関与していないことを明確にしたいと思います。


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