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瑠璃の部屋117

動揺してるのかタイトルのナンバーを2度も忘れて確認した。

アルハンブラの左で抑える弦とフレットの位置を譜面に書いた。どうということはない、指の又が裂けませんかってくらいに指を開いて、左へ右へとネックを広く使い回すように腕を動かし。これ、腱鞘炎になりますねってくらいに指を動かすだけのことだ。ふぅ。これより難曲を発表会で弾いた楽員。トレモロ(高速で爪弾く)が得意で、その手の曲ばかり弾くのだが、一体、あの人の頭の中はどうなっているのだろう。指もさることながら、それを頭で処理してるわけだし。俺が生まれた頃、高校生だったと言ってたから、まぁ、年上なのは間違いないわけで。珈琲が好きで、いつもアンサンブルでは珈琲を振る舞う。でも、朝は紅茶にウイスキーを垂らしてパンを食べる。庭で採れた大根の葉で作ったお惣菜を配ってて、美味しかった。

今日は豪雨だ。どうということはない。鳥の鳴き声がせず、車が水を跳ねる音と雨の音、どこからか水滴の落ちる音。エアコンの風の音。除湿で下がっている湿度が、寒いからと止めたり、あるいは設定温度のある冷房にすると、跳ね上がるだけだ。

ギターの弦が、変色している。どうということはない、梅雨の湿気で錆びてきているだけだ。1年持つかと思ってたのが、すこし早まるだけだ。

こんな日が、梅雨の間、続く。悪くない。はぁ…