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「REICOの読書日記」No93

4C速読法 68 「イエナプラン実践ガイドブック」
                  リヒテルズ直子著     2019年

②3Point
1. グローバル時代に求められる力とイエナプラン
 2018年 初頭、Asia Society / Center for GlobalvEducation と OECD は「急速に変わる世界の中で グローバルコンピテンスを教える」と題する報告書の中で、これからの人間に求められる力を定義し、それに向けた教育のあり方を明らかにしました。そこでは グローバルコンピテンス (グローバル時代に求められる力)として OECD が示した4つのドメイン、すなわち 【世界を探求する 】【異なる観点があることを認める】【考えを伝達する】【アクションを起こす】をあげています。・・・・・・・

 さて、こうした学校のあり方は、今ようやく世界中の教育者が語り始めているのですが、実を言うと、すでに 90年以上も前に、ドイツの教育学者 ペーター ペーター センがイエナ大学の実験校で取り組んだ学校教育の考え方、イエナ フラン教育 と酷似しています。さらには、このペーター センの学校変革のアイデア、イエナプラン教育は、ドイツではほとんど 広がらなかったのですが、1960年代半ばから、隣国 オランダで教員や保護者に受け継がれ 200校を超える 学校現場で試行錯誤の経験と実績を積んできました。

2.イエナプランの基本的要素
● 異年齢学級
 通常3学年の生徒たちからなるファミリーグループと呼ばれる異年齢学級が基本単位になっていて、子供達は同じ学級で3年間過ごし年少、年中、年長という異なる立場を経験します。

● 4つの基本活動
・対話:1日3回のサークル対話では一人一人が他者の発言に耳を傾け、その発言をしっかり受け止めることに意味があり、それぞれが意見や思いを述べ合い、共有することでグループがより一層結合感情が持てるようになり、過ごしやすい安心した場になるのです。

・遊び:イエナプランでは「遊び」そのものを「学び」すなわち人間の発達のための自然な行為と考えています。

・仕事:学校は子どもたちが発達成長するための場所で、発達や成長のためには、子供たち自身自分に課された課題を仕事のように義務として果たしていかなければならないものだから、イエナスクールでは、「勉強」のことを「仕事」と言います。

・催し:オランダのイエナプランスクールでは、何かおめでたい事を取り上げて一緒にお祝いするだけではなく、悲しいことがあった時もみんなで一緒に分かち合って、学校全体で共感を持つようにしています。

●リズミックな時間割
 毎日の日課は教科ごとに区切られてはおらず、上の4つの基本活動が循環するように決められています。また、すべての時間を同じ長さで区切るのではなく、その日の子どもたちの雰囲気や活動への関心の度合いなどを考慮して柔軟に伸ばしたり短縮出来たりするようにしています。

●ワールドオリエンテーション
 科目の壁を越えて、生きたホンモノの題材をもとに、子どもたちが協働で探求する学びです。イエナプランとのハートと呼ばれています。

●生と学びの共同体
 学校を家庭と同じように生活の場として考えると同時に、教員は、子どもたちの学びをファシリテートする養育者であると考えます。また学校は保護者と子ども学的な立場から巣立ちを支援する教員によって作られる学校共同体とみなされます。

3.ホンモノに対する ホンモノの問い
 子どもたちが、自分の期待通りの答えを答えないと、「違うだろ」「 そんなことも知らないのか」「この前 教えたばかりじゃないか」と子供が「知らない」「わからない」ことを責めることがありますが、その結果、子供たちは「知らない」「わからない」ということに躊躇するようになります。
 けれども実は、世の中には私たちが知らないことが山ほどあります。むしろ知っていることよりも知らないことの方がずっと多いです。それに 教科書で学んだ 知識は、自分で経験して知り得た知識とは異なり、本当に「わかっているか」すら疑わしいものです。
   ワールドオリエンテーションは、子どもたちが自ら発するホンモノの問いから始まります。 ホンモノの問い とは、自分自身が、本当に答えを知らない問いのことです。その意味で、学校の先生がよくやる、わかりきった答えを頭において みんなに質問をする問いは、ホンモノの問い ではありません。・・・・・
 子供だったら 「蜘蛛はどうやって蜘蛛の巣を張る張るのだろう」「 電気もないのに、どうして 稲妻は光るのだろう」「 虫は眠るのだろうか」というような問いです。

③1Action
 このイエナプラン教育では、学校は社会へ出て活動するための練習の場であるという考えに基づいて、社会に出た時に必要な力が身につくように考えられています。私はその点にすごく共感しました。
 私は自分自身の子育ては終わりましたが 、「イエナ式おうち探究塾」をやることで、イエナプランの理念が日本に広がることに貢献していきたいと思っています。

④1Episode
ホンモノの世界へ 、ホンモノの世界と共に
 オランダの小学校では、日本からの視察団が訪問するときには、上級生が中心となり 下級生も一緒に、近くのスーパーマーケットに子供たちだけで買い物に行きます。 訪問者に提供するサンドイッチの材料や飲み物などを買いに行くのです。お客さんの数に対して 材料を どれぐらい買う必要があるのか、どんな種類の材料を買うか、グループ リーダーから手渡された予算を元に計算して買い物をします。 算数で習った力を実際の場面で使う機会になります。
  近くに野原や林などがあれば 、定期的に観察に出かけます。
  酪農場があれば、牛や羊の観察に行くこともできます。
  学校の子どもたちが、しばしばこうして実際の社会に出てくることによって、地域の人たちにも、子どもたちを 共に育てるという意識が高まります。
 また、上級生になると 2、3泊の泊まりがけでキャンプ場に行きます。キャンプの際も保護者の協力を得て、グループ・リーダーにだけ任せることによって、子どもたちが自由に動く機会を制限されることがないように配慮します。

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 もっと早くに読書日記にまとめようと思っていたのに、すっかり遅くなってしまいました。これからは、イエナプラン関係図書を読んで、日記も更新していきたいです。
 今回の読書日記は「REICOのひとり言」と少しかぶるところがありますが、イエナプランの基本的要素は、是非押さえておきたいので、あえて再掲しました。
 イエナ式おうち探究塾については下記を参照してください。



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