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【農々日々】山形県真室川町で200本のりんごの摘果をしました。

2023年6月2日~7月9日
リンゴリらっぱにて

桃太郎は桃が種子の段階でどこにいたんだろうなあ。

MOMOTARO

かぐや姫は竹が筍の段階でどのあたりで暮らしていたんだろうか。

おじいさんもBIKKURI

野菜好きであれば誰しも一度は考えてしまう疑問を抱いてしまった本日のれいちゃんです。そう、野菜が好きすぎて。脳筋ならぬ、脳野菜兼脳果物になってしまっておりまして。そんなわけですから、6月2日から7月の頭にかけての1ヵ月間れいちゃんは山形県真室川町(~新庄市)にて、リンゴ農家さんの元で住み込み生活を行いました。

年末に今年1年を振り返ったら、きっと忘れられない想い出ランキング上位に入るだろうな。そんなかけがえのない時間を過ごした1ヵ月の滞在記を描いていきたいと思います。

〇人:リンゴリらっぱ社員の方々

1ヵ月以上前から、住み込み生活は決まっていたため、その段階から農家の方々とはチャットベースで会話をしていました。人と食事ができない私に深入りすることなく受け入れを承諾してくださったこともあり、ほっと胸を撫で下ろした気持ちでいました。

とはいえ、やはり直接会ってみないと、実際の所分からないのが正直です。現地でどんな方とお会いするのか。どんな農家さんなのか。出発前は少し怖かったです。しかし、『嫌だったらすぐ帰ってくればいい、死にゃあせん』と考え山形へ向かった私。

迎えてくださったのは、すぐ帰るなんて思ってしまった自分が恥ずかしくなるくらい素敵な社員さんばかりでした。(滞在中に嫌だったらすぐ帰っていたことを話したら笑ってくださいました…大変失礼いたしました…!)

⑴社長:佐藤さん

怖そうだけど全然怖くない

付かず離れずの距離感でいつも接してくださった佐藤さん。私の食事について深堀りすることも、強制することもなく受け入れて下さりました。ほわわんと何を考えているのか分からなくて、かつ予定をいつも直前にお知らせしてくるため戸惑う場面もしばしばありましたが…(笑)

何よりも、農業を。というより生きることを楽しんでいるな~と純粋に思いました。遊ぶように生きる、生きることと仕事が限りなく一致している。自分がこうありたい、と願う人を挙げるとするならば間違いなく佐藤さんを入れると思います。

りんごジュース注ぎ中の佐藤さん

そして、どれほど忙しくても忙しそうに見せない人でありたいとも常々思っているのですがそれも体現している(つもりはないと思いますが、きっと無意識に)方でもあるなと思います。

⑵リンゴ農場長:遠藤さん

HBはきっとハイボール
それか鉛筆の芯

リンゴ農場長の遠藤さん。あまり口数が多い方ではないので、深くお話をする機会はありませんでした。ですが、ひしひしと伝わるリンゴへの愛。プロでなければ、仕事ではない。これを体現している方だなと思いました。
ちょっとビビりで、だけど真っ直ぐに農と向き合う姿に私も自分の目の前にある仕事に愚直に取り組みたいと思える出会いでした。

⑶みんなの兄貴:高橋さん

かご付けすぎ

きっと社員さんの中では1番お話をしたのが、高橋さん。高橋さん家族には蛍&星空ツアーに連れて行っていただいたり、町のお祭りにも一緒に連れて行ってくださいました。

お人好しすぎて、他人の為に身を削りすぎてしまわないか。自分を犠牲にしていないか、少し心配になるところもあるけれど。虹が出た時に、教えてくれるさりげない優しさだったり、年齢や性別関係なく当たり前のように誰にでも敬意を持って接する姿勢が凄く素敵な方でした。

リンゴリらっぱの社員さん、1人1人素敵な方でした。いやぁ、本当にいい出会いです。

〇作業:りんご農園での摘果作業

200本のりんごの木があると言われたりんご農園。
幼木も合わせるとおそらく400本を超えるのではなかろうか。

果てしなきりんごの木

視界にはりんごの木と空。シンプルだけど見飽きない景色が広がっていました。そんな見渡す限りりんごの木でいっぱいの場所で6月に行った作業は
『摘果(てきか)』と呼ばれるもの。農作業でいういわゆる『間引き』です。

収穫時期ではない6月の段階では、赤ちゃんサイズのりんごがリンゴの木になっています。

赤ちゃんズ

今回の『摘果』は、そんなりんごbabiesの成長を促す大切な作業。
成長過程で、りんごは1つの房から2つ以上の実がなります(下記写真参照)

幼馴染

この写真では2つ実がなっていますが、時に4~5個の実がなることも。
基本的には中心になる『中心果』と取り巻きの『側果』に分けられます。

しかし、複数の実があることで1つ1つの成長が妨げられ大きくならないことがあります。そこで1つの実にたっぷりと栄養が行くようにと側果を基本的には落とし、中心果のみにしていきます。

選ばれし果実

この『1つの実が成長するように、同じ房から成る他の実を落とす』作業を摘果作業と言います。

基本的には脚立に乗っての作業。初日は慣れない昇り降りの作業に足が筋肉痛になってしまったれいちゃん。湿布して寝ました。

りんごとあたくし
地域おこし協力隊のおっちゃんが
撮ってくれた一眼の写真

作業初日には、ピンポン玉程度だったりんごの実。1カ月経つ頃には、みかんレベル(所感)になっていました。気づかぬうちに大きくなってたんだな~となんだか感動しました。

1ヵ月後のりんご
もう”赤ちゃん”ではなさそう

1個、みかんサイズの段階で食べてみましたが…流石にまだ渋かったです。
とはいえ、収穫期以外の段階での農作物に携われる点でも摘果作業は貴重な経験でした。

〇作業:甚五右ヱ門芋畑での草むしりと補食

実は、リンゴリらっぱの社長の佐藤さん。りんごだけではなく、最上伝承野菜の1つ『甚五右ヱ門芋(じんごえもんいも)』も作物として育てています。

甚五右ヱ門芋を使った芋煮
絶品すぎた…

今回の募集は「りんごの摘果」でしたが…もちろん収穫期以外だって作業は山ほどある農作物の1年間。芋畑に召集されることもしばしば(笑)

これがひたすら何面もあるのです

主な作業の内容は『草むしり』と『補食』でした。

草むしりはもう、読んで字の如く。ひたすら草をむしります。罰ゲームとしてありそうなものですが、実際にやったことがあるかと言われたら恐らく今回が人生初めて(かせめて2回目)でした。

黙々とひたすらむしるむしる

ずっとかがみながらの作業は腰へのダメージが半端ないもの。お尻に発泡スチロールで出来たミニマムチェアをくっつけて作業をします。

ちょっとかわいい

まあ、発泡スチロールはあれど疲れるのは確かでございまして。りんごが脚立でひたすら上の世界との格闘だとしたら、芋畑はひたすら下の世界との戦いでした(笑)

そして、もう一方の『補食』は漢字の通り『補う』作業です。1度、植え付けの時期に植えた場所から芽が出ていなかった場所に再度植え付けを行います。⑴専用の農具で種芋を植える人 ⑵農具に種芋を入れる人に分かれて2人1組で作業を行います。息を合わせてやっていく、非常に協調性が問われる時間でございました。

ちなみにれいちゃんは補食の時間が結構好きでした(協調性はない小娘です…)摘果も、草むしりも気づけば黙々としてしまいます。もちろん1人時間が好きなので苦ではないですが、パートさんや社員さんと2人1組で他愛もない話をしながら進めていく、あの緩い時間も今思い返すととっても愛おしい時間です。

御芋ちゃん

〇環境:リンゴリらっぱ事務所

朝、出勤前に集合するのがリンゴリらっぱの事務所。

ちらりとれいちゃん

元々、社長の佐藤さんのご両親が運営していた『荒井りんごや』を改修しそのまま事務所として使用しています。ここで収穫したリンゴを加工したりんごジュースを全国に発送します。

ラ・フランスジュースもあるよん

ラベルを貼ったり、段ボール箱に丁寧に詰めたり。雨の日は室内での作業もありましたが、あまりの手先の不器用さにラベル貼りは戦力外通告でした。

内装は檜の板で出来ていて落ち着く雰囲気。

りんごジュース出荷場所

仕事が終わって戻ってくる時。
お昼休憩で戻って、小学校の時の椅子に『ふぅ』と腰かけた時。呼吸が落ち着く空間だったな~。

軍手に鎌
水筒に帽子を準備して出発進行☆

〇環境:1ヵ月滞在した古民家

今回、私は『おてつたび』と呼ばれるサービスを利用してりんご農家さんの元に住み込み生活を行いました。

おてつたびでは、条件の違いはあれど、住空間は無償で提供されます。旅館のおてつたびであれば客間の一室、農家さんの自宅での滞在、シェアハウスでの共同生活もあります。ですが、人と食事をすることがなかなか難しい私は、

⑴受け入れ人数1名
⑵自炊が出来る環境を条件(食事が賄いの環境もある)

で探しました。

自炊じゃない条件も多いです!

実はもう1人、同じ期間に参加したおてつびとの子がいらっしゃいましたが食事面などを考慮して佐藤さんが2人を別々の古民家に住まわせてくださいました。私が過ごしたのは、先程紹介した(環境:リンゴリらっぱ事務所部分)リンゴリらっぱの事務所の真横の古民家。なかなか年季の入った作りでして。

12年先輩

最初は「およよよよ…」と心の動揺が隠せませんでした。ですが、数日、数週間も過ごせばもう愛着が湧いて愛おしゅうてたまらん場所になりました。

なんのやかんか
結局最後まで分からなかった

そして、一棟丸貸しとあって、キッチンでは自炊し放題という非常に環境でした。

広すぎる

いつもワンコンロの『絶望的狭さの台所』におりますため、なんだか広くてソワソワが止まりませんでした(ちなみに帰宅後は狭くてソワソワした)生み出された絶品の数々。

もう一人のおてつびとの友達に
振る舞ったお野菜料理
素揚げ野菜を乗せたカレーが
農作業後の身体に沁みた…
ミズの炊き込みご飯

2階建ての古民家。おてつたび2日目の夜の空があまりにも綺麗で。思わず撮ってしまった写真。

ちなみに星空も
天然プラネタリウム状態でした

期間や時期によっても異なりますが、1人で古民家を自由に使える環境を提供してくださった佐藤さんには感謝しかありません。カムサハムニダ…。
(1週間の短期間、もしくは収穫期で受け入れ人数を増員している場合は数人でシェアする場合が多いです)

あまりの愛着に、最終日はありがとうございました!とお辞儀をしてしまったほどでした。

〇番外編:山形県真室川町グルメ情報

山形のイメージといえば、東根のさくらんぼに尾花沢のスイカ。そして秋頃にはラフランスに、酒田の新米、大石田のお蕎麦。挙げていったらキリがないレベルのグルメな地域です。

そうした地域から比べると、私が過ごした新庄~真室川エリア。パッと思いつくようなグルメは、正直思い浮かびません。というか正直、新庄や真室川という地名自体が初耳学でした…!(大変失礼いたしました!)ですが、過ごす中で知った名物グルメの1つが『ガッキ煮』と呼ばれる馬のすじ煮込み。牛すじ煮込みよりももっとあっさりとした味わいです。馬刺しのあのヘルシーな感じを思い浮かべて頂ければ!

ガッキ煮と白米

ガッキ煮の存在は、真室川駅周辺の仕出し惣菜店として人気高い『仕出し屋 いがらし』さんで知りました。

地元の方々の台所

『ガッキ』という言葉すら知りませんでしたが、検索をすると馬のすじ煮込みとの情報が。なかなか肉を食べれない私ですが、”ヘルシー”と”山形新庄エリアのみ”という文言に完全にノックアウト。結果、食べて正解でした。

コラーゲン部分はちょっと重たかったのですが、筋部分は非常にあっさりとした味わい。にもかかわらずしっかりと味が染み込んでいて美味でした。滞在中2度もいがらしさんに行ってしまったのだから間違いない。

ちなみに他のエリアで食べられていない地産地消グルメなのは、流通に乗せる前に悪くなってしまうからだそう。東京じゃ見かけないだろうな。次回行くときも絶対にいがらしさんで買って食べたいものです。

秋田の田沢湖でうさぎ肉を見つけた時は
本気でひっくり返りそうでした…
串焼き、レバー…うぅ

〇終わりに

非日常のようで、日常のような日々だった1カ月間。間違いなく忘れられない時間になりました。今、手元にある日記を見返しても”かけがえのない3週間だった”と走り書きがされているくらい。

摘果作業をしたら今度は収穫作業を。草むしりをした芋は、次は収穫と植え付けを。そんな風にまた訪れたくなるから不思議です。また200本のりんごの木に会いに行くのが楽しみです。

農園から見た虹

本日もお読みいただきありがとうございました。

れいちゃんのInstagram

〇リンゴリらっぱHP

〇森の家(甚五右ヱ門芋)HP


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