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『ご縁が紡ぐ“ニンジンとひじきの煮物”』
どこでも買える食材をどこでも買えない
大切な人のお店の食材で作った逸品
こんばんは。
暑いですね、とお客さんと会話をしながら
スイカやトウモロコシを売る日々も。
気づいたら“今日は大寒波ですね”なんて大根に白菜を売る日々があっという間に来てしまうのだろうな
なんて思う八百屋の小娘れいちゃんです。
どうも。どうも〜〜!
今日はれいちゃんが自炊を始めた時から幾度となく作ってきて。初めて自分の大好きで大切な方々にお料理を振る舞う時にも作った
『にんじんとひじきの煮物』
たった一品。
されどその一品の中に、れいちゃんにとってすごく大切なご縁が繋がって作られている。
そんな裏側秘話を少しお話しできたらな、と思っています。
【ニンジンとひじきの煮物:材料編(4人分)】
◇お豆腐屋のお姉さん特製油揚げ:1枚
◇立ち喰いそば屋のおじちゃんの鰹出汁:大さじ2(気まぐれ)
◇精米店の大将の母からの差し入れ:ひじき
◇千尋バイト先の野菜:ニンジン1本/しいたけ(大)3個
◇醤油・みりん小さじ2くらい/塩気まぐれ量
材料はいたってシンプル。
多分、材料だけを集める。ってなると近所のスーパーで全て簡潔してしまいます。
けれど。せっかくお料理をするのなら”ご縁をいただけた方の食材を使いたい”その想いから、
『油揚げは大好きなお豆腐屋のお姉さんが揚げたもの』
『全体の味付けをするお出汁は近くの立ち食いそば屋のおじちゃんが入れてくれたもの』
『ニンジンやしいたけなどの御野菜は、自分が毎日働いている八百屋さんの』
そんな風になっていきました。今回はそんな思いがこもっている食材について描いていきます。
【ニンジンとひじきの煮物:食材裏話編】
◇お豆腐屋のお姉さん特製油揚げ
◇立ち食いそば屋のおじちゃんの鰹出汁
◇千尋バイト先の野菜:ニンジン1本/しいたけ(大)3個
◇精米店の大将の母からの差し入れ:ひじき
みんなの支えを実感します。
◇お豆腐屋のお姉さん特製油揚げ
徒歩30秒もかからないところにあるお豆腐屋さん。
あまりにも手軽にこんなに美味しい豆腐と油揚げを買えてしまう自分の物件選びのセンスはピカイチだなと思わず自画自賛してしまいます。
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雨の日、パジャマにすっぴん。そしてメガネのどこへも行きたくないような気分の象徴ともいえる、三種の神器で自らをコーディネートした日だって”油揚げちょっと買いに行こうかな”と思えてしまうほど。
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1枚90円。
100円のお釣りが来た日は”よし。お姉さんのところで油揚げ買いに行こう”がお約束。
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ありがとうございます。
◇立ち食いそば屋のおじちゃんの鰹出汁
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味のある外観に味のある店内。
決して”映える”なんてお世辞にも言えないけど思わず近づいてみたくなるようなお店。
ここは成友おじちゃんの立ち喰いそばのお店。
外食はなかなかできないれいちゃん。いつもお蕎麦やお稲荷さん。それから”特製鰹出汁”をおじちゃんにポットに入れてもらってお持ち帰りするのがお決まりモーニングルーティーンです。
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ちゃんとおじちゃん付けてくれます。
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おじちゃんのお蕎麦を自分で茹でて、鰹出汁と合わせて食べる朝ご飯の日はいつもより呼吸が落ち着く朝です。”あぁなんか色々大変だけど大丈夫。大丈夫”そんな風に思えてしまいます。
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お疲れ様。
おじちゃんとの出会いはとある冬の日の朝。
毎朝”あさんぽ”と称してお散歩をしていたれいちゃん。5:30というまだまだ日本が寝ぼけ眼な時間帯にもかかわらず、電気が”ぽっ”とついているお店がありました。こんな時間になんのお店だろう…と近づいてみたのが全ての始まりです。
次の日には”お稲荷さん…テイクアウトできますか?”と思わず聞いてしまっていたれいちゃん。おじちゃんのテイクアウトの袋を取るスピードが速まる度に仲良くなって。
”おじちゃんの出汁をお持ち帰りしてみたい”というわがままにも
”いいよ、ポットを持ってきたら注いであげるね”と快諾してくれました。
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今では、このニンジンとひじきの煮物はもちろん、あらゆる料理の味付けに欠かせない”成友おじちゃんの特製鰹出汁”
なくならないように少しづつ使うのがマイルールだけれど、おじちゃんに会いたい日はポットを空っぽにするためになるべく早く消費したい気もする。なかなか匙加減が難しい日々です。
◇千尋バイト先の野菜:ニンジン1本/しいたけ(大)3個
実はわたくし、れいちゃん。
御紹介が遅れましたが”八百屋の看板小娘”なのでありまして。
暑い日は汗水垂らしながら。冬はあまりの寒さに鳥肌を立てながら
【千尋バイト】
を行っているのです。
【八百屋千尋バイト詳細】
①まずは偵察
お店の方がどんな方なのか知る。
②八百屋さんの常連さんになる
毎日ジャガイモ(インカの目覚め)を買う(たまに里芋)
顔を覚えてもらう作戦開始すし、1週間継続。辛抱。
③野菜大好き少女を熱演し、承認を得る
さつまいも愛を語る。いかに野菜が好きかを伝える
④始業開始(野菜の不安に寄り添う)
「君はなんの料理になるかな?」
「誰が食べてくれるか楽しみだね」
と常に野菜に話しかけて不安を取り除く。
⑤退勤
「今日も誰かの食卓を彩った!」と自らを労う
某映画内で主人公が実施した”なんとしてでも働く”ために実施した雇用形態その名も”千尋バイト”。
自分の気持ち次第で万人が実施可能であるため、今後有効求人倍率が2を切るような日本国では大変重宝される就労形態かと…。
ではなく。
こうして日々働く中で向き合う大好きな”野菜”
彼らをふんだんに取り入れることで、自分自身への労いと他の食材との掛け合わせが相まってさらに美味しい煮物へと変貌を遂げてゆくのです。
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自分で計量したニンジンへの愛おしさは格別です。
◇精米店の大将の母からの差し入れ:ひじき
初めて大切な人達にお料理を振る舞う経験をすることが決まった日から、当日まで。
『仕込む野菜の量ってどのくらいなんだろう』
『どれくらいのおかず量があればちょうどいいのか』
あまりにも心配すぎたれいちゃん。
それならば、と毎週のように遊びに行っていた精米店の大将に煮物を始め、いろいろなおかずを差し入れしていました。
そんなある日、”いつも悪いね”と大将のお母さんが何の気なしに差し入れしてくれたのがこの”芽ひじき”
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かなり重宝して使っていたのに気づけばもうこんなに少なくなってきている…。使いたいけど使えないジレンマ時代が到来してしまいそうです。
◇気持ち程度のレシピ
【ニンジンとひじきの煮物:レシピ編(4人分)】
◇油揚げ:半分を短冊切りに
◇ニンジン1本:細切りに
◇しいたけ3つ:食感を残そう。分厚めに。
◇精米店の大将の母からの差し入れ:ひじき大さじ3くらい?
◇立ち食いそば屋のおじちゃんの鰹出汁:大さじ2
◇醤油・みりん小さじ2くらい/塩気まぐれ量
料理は自由です。
まずはニンジンに火を通します。
その間にひじきを水でもどしておきます。
私の家はワンコンロといういわば”絶望的狭さの台所”ゆえにレンジで火を入れます。
ゆで汁やひじきの戻し汁は捨てずにお味噌汁の中に必ず入れるのがれいちゃんスタイル。うまみは1滴も無駄にしたくはありません。ひじきの戻し汁は少し煮物に加えると美味しさがアップする気がします。
ゆで汁達を移したら、しいたけ・油揚げそしてひじきを加えてあとは”おじちゃんの特製出汁。それから他の調味料をボウルへダイブ。
電子レンジの”らくちん!煮物モード”にお任せしちゃいます。任せられる部分は任せちゃおう。ホトトギス。こんなゆるさも時には大切。
こうしてたっくさんの方のご縁と、少しのれいちゃんの手間暇で完成した『ニンジンとひじきの煮物』
食材を買う時も、作る時も、食べる時も。きっとスーパーの食材から作る時とは違う感情になるんだろうな、と思うそんな日です。
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『ご縁が紡ぐ“ニンジンとひじきの煮物”』お読みいただきありがとうございました。
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