人ではない者になった霊能者の話[中編]
前編はこちら👇
以下、続きです。
1. 恩人との平穏な日々
恩人からDMで連絡が来て、メールアドレスを交換しました。
メールが来て驚きました。
ネット上では悪魔の化身のような物言いの恩人でしたが、メールの文面は至って穏やかで、正体は農業に精を出すごくごく普通の方でした。
どうやらその方の暮らす地域は、いまだに葬儀の際に口寄せの風習が残る地域で、集落の中に霊能者が当たり前に存在する地域とのことでした。
石を投げたら霊能者にあたる。
そうおっしゃっていました。
その地域の中で、恩人は術者として何人もの霊能者の力をブーストしてきたと。
私のことを2度も霊視で助けてくださった霊能者の方は、その地域の中でも極めて霊的な目が良く、術者である恩人の頼りになる相方であると、そのような説明でした。
とにかく異変があったらすぐに連絡するように言われました。
金は必要はない。自分には簡単なことだから。ただあなたのようにいい魂を持つ人間を、あっちの世に無事に戻す道筋をつけるのも私の仕事だと。
本当に感謝しました。
そしていい魂と言ってもらえて自分が誇らしかったです。
最初に助けられてから1年半、どこの誰なのかわかりませんでしたが、いつか直接会ってお礼を言いたいと毎日想い続けていました。
ただ、やりとりを始めると恩人は思った以上に冷たかった(笑)
「私を盲信するな」と口を酸っぱくして言われました。
突き放されても、雲の上の人だと思っていたので、日々、連絡を取り合えるだけで幸せでした。
ご先祖さまだけでなく恩人に見守られ、何の不安のない日々。
そのような時間が半年続いたある日、私はあることに気づいてしまったのです。
そのあることとは、私の最も大切な友人の一人が、大変な霊に取り憑かれて今にも殺されそうになっていることでした。
その友人は職場の先輩でしたが、幾度も困っている時に手を差し伸べてくれた人で、並々ならぬ恩を感じていました。
最初の霊障で大変だったときにも、「霊かもしれない…」という私の話を否定するでも嘲笑うこともなく耳を傾けてくれた友人の一人でした。
それでも、せっかく自分はご先祖さまのおかげで助かった身なのに、人の霊障に巻き込まれるわけにはいかないと思いました。
そして私は恩人が以前にSNSに書き込んでいた内容を思い出していました。
SNS上で友人を助けたいと訴える人に、「素人が余計なことに首を突っ込むな。自分が人の霊障を引き受けて死ぬかもしれないぞ。」と。そして
「死ぬ覚悟はできてるんだろうな?その覚悟なら助けてやる。」と。
相談者はそこで沈黙。
恩人はこの人を試したのだとわかっていました。
同じように私も試されるだろうと、そう思いました。
私も人のために死ぬ覚悟はできない・・・
助けたいという口先だけでは見透かされる。
恩人に言い出せないまま、時が過ぎました。
そうこうしてるうちに友人はどんどんやつれていきました。常に寒いし、疲れが取れないと言っていました。
それを聞いたあと、家に帰ると涙が溢れてきました。
絶対に彼女の身に何か起こっていると思いました。
やっぱり私は見捨てることができないと思いました。でも自分の命を捨てることになるかもしれない。親にもご先祖様にも申し訳ない。そう思って、わんわん泣きました。
泣いていると、目の前に一人のおじいさんが現れました。
うちの子孫を助けてくれと…
泣いてすがってきました。
ふと見ると自分の守護霊のおばあちゃんが立っていました。
どうしたらいんだろうかと尋ねると「やれ」と言うのです。
スパルタ・・・
命を助けてくれた存在がやれと言うならやるべき。
そういう気がしました。
そして腹を括りました。
死ぬかもしれないが、私はやる。
ここから私はどんどん巻き込まれていきます。
3. 殺される覚悟でSOS発信
とはいえ、友人に霊に取り憑かれていると告げる覚悟ができませんでした。
何よりも不安がらせたくない・・・
色々考えた結果、友人に知らせずに浄霊しようと思いました。
そして、恩人に、仕事として頼みたいとメールをしました。
恩人の相方は霊能者として仕事を引き受けていると聞いていたからです。
相方さんに仕事として引き受けてもらえないかと。
ただで助けてほしいという願いはあまりに図々しいだろうと思い、そのように提案しました。
正直、浄霊の相場は知りませんでした。
ただ、自分は所持金がゼロになっても自分が肩代わりしようと思っていました。
出張費用も私が出すから、お願いだから助けにきてほしいと。
そしてお世話になった人だから自分の命が引き換えになってもいいと訴えました。
自分の命を粗末にするようなお願いをしたら、おそらく恩人を落胆させるだろうと思いました。激怒させてしまう可能性もあると思いました。
返信を待っている間、絶望を感じました。
もう全てが終わった。そんな気持ちでした。
そして返信がきて、こうかいてありました。
「その状態は、本人に知らせずに浄霊はできない。
本人に言うことが助ける条件。」
自分にとって一番難しい条件でした・・・
かつ
「その状態は対面でなければ対処できない。
でも出張不可。こちらにくることも条件。」
と。
かなり遠方。連れて行くにはハードルが高い。
でも言わなければ友人は死ぬ。
そう思って、意を決しました。
3. 友人の霊障を引き受ける
友人に会って話したいことがあると連絡すると、すぐに会うことになりました。
カフェで向き合って座ると、意を決しました。
霊に取り憑かれているので助けたいと告げました。鼻で笑われるかもしれないと思いました。
ところが、霊障でボロボロになった友人は、「ありがとう。辛かった・・・」と言うなり、ポロポロと大粒の涙を流して泣き始めました。
友人は、二つ返事で「どこへでも行く。」と言ってくれました。
実はさっき昼寝をしていたら変な夢を見て、という話をはじめました。
その声がどんどん金切声のような、キーンとした音が混じって聞こえるようになってきました。
次の瞬間、私の口のなかに無数の何かが飛び込んできました。
しまったと思いました。
一気に重い気が身体中を流れ出しました。
やばいなと思いました。
でも友人を不安がらせないように、とにかくここに連絡するようにと恩人の相方さんである霊能者の方の電話番号を伝えました。ご本人に直接電話してもらうこと条件だったので。
その晩から激しい霊障を全て引き受ける羽目となりました。
4. 地獄の始まり
その晩から激しい霊障に苛まれました。
額に何かが張り付いて熱っぽい感覚がしました。
そして、胃袋がジャブジャブと脈打ち、激しい痛みで一晩中のたうち回りました。
気絶するように朝方眠って起きると出勤の時間です。
起きるとボーーと熱があるような感じがしました。
気にせず出勤すると、今度は頭を金槌で殴られたかのような激しい頭痛が襲ってきました。
意識朦朧、デスクに座ってるだけで精一杯でした。
家に帰ると激しい頭痛と胃痛で立ち上がれないほどでした。
また夜通しめちゃくちゃにされる。その繰り返しでした。
恩人に状態を伝えましたが、何も対処はしてくれませんでした。
自業自得なので当たり前です。
むしろそこで助けられても、自分も納得しなかったと思います。
そして精もこんも尽き果てた3日目の晩、いつもよりさらに激しく胃が波打ち出しました。今にも胃袋が飛び出しそうなくらいでした。
意識が遠のく中で、自分の知っている神仏の名前を必死に呼びました。
恩人に助けられた時に、その神仏にある食べ物を食べて供えるように言われたのを思い出して、その食べ物を食べるから助けて!と叫びました。
そこで意識が途切れました。
どれくらい時間が経ったのか覚えていません。
遠い遠い意識の中で、ゴーーーーーー、ゴーーーーーという金属の棒を引きずるような、変な音が聞こえてきました。
その音を聞いた瞬間、ものすごく安心している自分がいました。
次の瞬間、ハッと目が覚めました。
意識がえらくはっきりしているように感じました。
熱っぽさも頭の痛みも胃の痛みもありません。
終わった?
不思議な気持ちでした。
5. 霊障の終わりと次の始まり
翌日、恩人に連絡しました。
霊障がなぜか治ったと。
死を覚悟していたくせに神仏にすがったことは言えませんでした。
恩人は「霊障が自然に治ることはない。誰か何かやったな。」と。
その後、相方の霊能者の方に降霊してもらって確認したと連絡がきて、神仏二柱
が霊を脅しに行ったと言っているとのことでした。
その神仏は、まさに私が名前を呼んだ神仏でした。そして恩人からもその食べ物を食べて供えるように言われました。
本当にきてくれたんだと思いました。
ありがたい。
そして友人は無事に予約が取れ、恩人たちの元に向かうことになります。
そこからさらにいろんな試練が始まります。
後編に続く👇
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