AIライティングの落とし穴?正しい使い方と失敗事例
ChatGPTなどのAIツールが普及してきたことで、ライティングの効率化やスピードアップが可能になりました。しかし、AIライティングツールを適切に活用しないと、失敗してしまうことがあります。そこで、AIライティングツールのメリットとデメリット、失敗事例、4つの注意点と適切な使い方について書きます。AIライティングの落とし穴に落ちてしまわないようにしましょう。
前提:
AIでライティングできるツールは色々あります。ここでは、特定のツールではなく、ChatGPTを使う場合を念頭においています。
AIライティングツールのメリット
AIライティングツールを使うと、ライティングにかかわる作業を効率化したり、スピードアップしたりできます。
これまでは、一つの記事を書くために多くの時間がかかりました。特に調査、分析を行って、構成を決めるために時間がかかります。さらに、その後、ライティングして、校正・校閲、編集などを行います。
しかし、AIライティングツールを使うことで、調査や分析、記事の構成案作成も、あっという間に終わらせることができるようになりました。
実は、この記事もChatGPTを使って書きました。大まかな原稿を作るのにかかった時間は約15分です。
具体的には、実験も兼ねて、下の作業をChatGPTにしてもらいました。
・キーワード調査(月間検索ボリューム、上位表示の難易度)
・記事のタイトル案作成
・記事の構成案(目次)作成
・ライティング
仕事として行うときは、実際にキーワードで検索して、すでに上位表示されている記事や検索意図を調査したり、Googleのキーワードツールで調査したりしますが、今回は行っていません。
AIライティングツールのデメリット
一方で、AIライティングツールには、以下のようなデメリットもあります。
文章の文脈を理解しきれない
微妙なニュアンスを表現しにくい
AIライティングツールは、自然言語処理技術を使用して文章を作成しています。大量の文章データからパターンを学習して文章を生成するため、ある程度、汎用性があるのです。
その一方で、現状の技術では、文章の文脈を理解しきれていません。そのため、文脈やニュアンスを踏まえて、意図したとおりの文章にするのが難しいことがあります。特に、日本語で使うと、英語の場合よりも精度が低いです。
意図したとおりになっていないときは、対象となるところだけを手動で変更することで対応できます。または、AIに意図が伝わるように出力例を入力することで、出力に反映させることも可能です。
実際に、ChatGPTに記事の文章を出力してもらったところ、「独自の表現が難しい場合もあります」と書かれていたため、下のようにAIに質問しました。
上の回答を踏まえてリライトしたのは、次の部分です。
AIライティングの失敗事例
AIライティングツールを利用すると、次のようになることがあります。
意図しない内容になる
文法的に誤りのある文章になる
単語の選択が適切でない
文脈が不明瞭になる
事実と異なる回答が返ってくる
そのため、AIが生成した文章を次のようにリライトしました。
次の2つの例をご覧ください。
例1
AIが生成した文章 その1
リライト後の文章 その1
例2
AIが生成した文章 その2
リライト後の文章 その2
読者が余計なことを考えなくても読めるように、主語があいまいになっている箇所、複数の解釈ができるところを中心にリライトしました。
「5.事実と異なる回答が返ってくる」について
ChatGPTを利用するにあたり、特に知っておいた方がよいことが2つあります。
1つ目は、無料で使えるChatGPT-3.5は、世界や出来事について2021年までのの情報を学習しているということです。つまり、2021年以降の出来事について扱うときは、特に注意が必要です。
https://help.openai.com/en/articles/6783457-chatgpt-general-faq
2つ目は、2023年3月28日の現時点では、開発者など一部の人が使用する場合を除いて、ChatGPTだけではインターネットを検索して情報を得ることができないということです。(※ChatGPT以外のもの、たとえばChrome拡張の「WebChatGPT」を追加すると、インターネットの情報を含めることができます)
そのため、今はChatGPTだけを使う場合、インターネットで調べたうえで、ChatGPTに入力して学習させる手順が必要となります。
インターネット上の情報を使いにくいのは残念なところですが…
ここで、朗報があります。今後、機能を拡張するプラグイン「ChatGPT plugins」を使うと、リアルタイムのインターネット上の情報も利用できるようになるのです。
たとえば、プラグインを利用すれば、希望の条件にあったレストランをChatGPTに聞いて、ChatGPTが出力したリンクから予約できるということです。
OpenAI社長兼共同創始者のGreg Brockmanさんのツイートで、そのイメージがわかります。上の動画を再生して、未来を疑似体験してみてください。
動画では、プラグインストアからプラグイン(拡張機能)を追加して、次のようなことを行っています。
・指定した条件に合ったレストランを見つける(予約できる)
・レシピを出力してもらう
・カロリーを計算してもらう
・レシピに含まれる食材をネットショップで見る→注文
AIライティングツール4つの注意+適切な使い方
AIライティングツールを適切に使うためには、次の点に注意しておくことをおすすめします。
1.文章の目的を明確にする
文章を作成する前に、文章の目的を明確にしておくことが重要です。どのような読者に向けて、何を伝えたいのかを明確にしておくことで、文章の方向性が定まるからです。文章の目的を明確になっていれば、目的に応じて、使用する言葉や表現方法を適切に選択することができます。
旅行するときと同様です。
出かける目的が
・リフレッシュするためか
・あまりできない経験をするためか
・何かを調査するためなのか
・夏に涼しい場所で過ごしたいのか
どんな目的で出かけるかによって、行先や交通手段が決まってきます。
これと同じで、AIでライティングするときも目的を明確にするのが大切なのです。
2.適切な入力テキストを用意する
AIに入力するテキスト(文章)を「プロンプト」と呼びます。AIライティングツールを使いこなす鍵は、AIへの命令である「プロンプト」です。
「プロンプト」が適切なほど、AIライティングツールがよりよい文章を出力してくれるからです。
最適なプロンプトはどのようなものか?については、最後に書くことにします。
3.AIライティングツールの機能や特徴を理解する
これまで、AIライティングツールを使うときの注意や入力内容について書いてきました。なぜかというと、このようなAIライティングツールの機能や特徴を理解することで、適切に使えるようになるからです。
AIライティングツールでできることを理解するため、ツールを使った人の話を聞くなどして、機能や特徴、制約について理解を深めていきましょう。
4.ツールが生成した文章をチェックする
AIライティングツールが生成した文章は、必ずしも正確であるとは限りません。そのため、ツールが生成した文章をチェックして、必要に応じて修正することが重要です。
次のような観点でチェックしましょう。
・文章の意味が意図したとおりになっているか
・文法的に正しいか
・表現が適切か
・内容に誤りがないか
・誤字・脱字などがないか
最後に、ChatGPTを使いこなす鍵となる「最適なプロンプト」について書きます。
「適切なプロンプトとは?」
答えは単純ではありません。
よりよい「プロンプト」を考案することで、意図したとおりの出力を得る「プロンプトエンジニアリング」は、学問として研究されているくらい奥が深いものだからです。
「プロンプトエンジニア」という職種も生まれています。「プロンプト」で「変数」を使うと、私たちが普段使っている言葉でプログラムしたような「プロンプト」も書けるんです。
たとえば、次のような感じです。
上の例では、ステップを具体的に指定していますが、ゴール自体を探す、より抽象度の高いプロンプトを書くこともできます。
適切なプロンプトについて、しっかり書くと長くなってしまうため、ここでは簡潔に書きます。
よりよいプロンプトにするには?
プロンプトに次の内容を含めます。
1. AIに質問する目的・何をアウトプット(出力)してほしいか
(ブログの記事を書きたいのか?メールを書きたいのか?など)
2. 入れてほしいキーワードや情報
3. 出力してほしい文字数
4. 出力してほしい形式(表、箇条書き、時系列など)
5. 出力してほしい情報をイメージしやすくなるような例
たとえば、次のような文章をプロンプトに含めるのです。
1.AIに質問する目的・何をアウトプット(出力)してほしいか
「1.文章の目的を明確にする」で目的を明確にしたら、それをAIに入力して、伝えましょう。
2. 出力のテーマやキーワード、情報
テーマのほか、出力に含めてほしいキーワードがあれば、入力します。現時点では、ChatGPTだけではインターネット上のリアルタイムの情報を検索できないため、入れてほしい内容が多くなければ、情報を入力した方よいでしょう。
3. 出力してほしい文字数
文字数については、書いてほしい文字数の2倍の数字を書いてください。上の例の場合、200文字くらい書いてもらいたいので、400字と書いています。
ただ、ChatGPTは文字数のカウントが正しくないことがあります。出力結果が長すぎたり、短すぎたりする場合は、またChatGPTに質問してみてください。
長すぎる場合は、
と入力するイメージです。
4. 出力してほしい形式
表形式、箇条書き、時系列、タイトルと説明など、出力の仕方を具体的に指定しましょう。
こどもや部下に何かをしてもらうときのように、なるべく具体的に伝えた方がイメージどおりに出力してもらえます。
5. 出力してほしい情報の例
「出力してほしい情報の例」とは、たとえば次のようなものです。
https://platform.openai.com/docs/quickstart/add-some-examples
上の例の場合、目的は馬の名前をつけてもらうことです。このとき、単に「スーパーヒーローである馬の名前をつけてください」と入力すると、意図するような名前をつけてもらえません。
そこで、「猫だったらこんな名前がいい、犬だったらこんな名前がいい」と、理想的な出力のイメージが伝わるような例を入力しています。
まとめ
AIライティングツールを適切に活用することで、ライティングの効率化やスピードアップが可能になります。しかし、入力するプロンプトによっては、意図したような出力を得られないことがありますので、ここで紹介したポイントをチェックしてみてください。
補足:
この記事ではChatGPTを使うという前提でご紹介したため、インターネット検索を行うにはプラグインが必要と書きましたが、マイクロソフトのBingやGoogleのBardを使うという方法も可能になってきています(正確に書くと、Bardは日本ではまだ使えません)。
最近、追うのが大変なくらいAI関連の新しいニュースが入ってくるので、毎日「すごい!」と驚いて、毎日新しいツールを試しています。おそらく2023年は転換期になるでしょう。どんどん進歩して、多くの人が毎日触るものになっていくと思います。
これからもAIに関する記事を公開していきます。一緒にAIを使いこなしていきましょう!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?