赤い風船と緑の風船
今日もお疲れ様です。
ちいさな小話を聞いてください。
あの日、ふたりで歩いていたら街角で風船を貰ったんだよね。
君の大好きな緑色の風船と、私の好きな赤色の風船。
ふたりはそれを一緒に空へ飛ばしたんだ。
2つの風船は糸と糸が絡み合いながらゆらゆら飛んでいった。
私の赤い風船の空気が少し漏れてて、君の緑の風船に引っ張られながら飛んでいった。
ビルとビルの間を緑の風船が「こっちだよ」って赤い風船を引っ張ってるみたいだった。
「なんか、うちらみたいだね。」
これからのふたりが永遠に続く事を願いながらゆらゆら飛んでいく風船をみていたんだ。
子供の頃、よく風船を飛ばした。
飛ばした風船はきっと天の神様のところまで飛んで行くんだろうとずっと信じていた。
でも、本当は風船も力尽きてどこかの街に落ちていく。
あの時のふたりはそれを忘れていたんだ。
いつの日かふたりは一緒にいる時間が減っていき、時にはお互いの存在を忘れていった。
『風船も力尽きてどこかの街に落ちていく』
あの日飛ばした風船はどこへ行ったのだろう。
君の緑の風船は今どこにいるの?赤い風船を引っ張っていてくれた緑の風船はどこへ行ったの?
私の赤い風船はもう力尽きてしまったの。
緑の風船はありったけの力を振り絞ってきっと天の神様のところへ行ったのだろう。
残された赤い風船は街のどこかでずっと空を見上げているのでしょう。
大丈夫。がんばれ。
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