映画「ライアー×ライアー」はホワイトチョコかと思いきやビターチョコだった

この作品は、”ライアー×ライアー”の名の通り、外見と中身が全く異なる”嘘つき映画”です。

予告編や各メディアでの宣伝文句から想像していたものとは全く異なる観後感に襲われ、良い意味で期待を大きく裏切ってくれる作品でした。

「ピンク色のパッケージの印象から甘々のホワイトチョコだと思い込んで食べたら、実はほろ苦いビターチョコだった」

そんな風にパッケージに騙されたまま、素敵な作品をとの出会いを逃してしまうビターチョコ好きの大人が沢山いそうで悔しいので、ネタバレしない範囲で感想を書かせて頂きます。

作品のあらすじ

両親の再婚により連れ子同士で血の繋がらない義理の姉弟となった湊と透は、様々な過去経緯により不自然なくらい不仲な姉弟。

しかし、とある偶然をきっかけに二人の関係性から「姉弟」「家族」というレッテルが一時的に全て取り除かれ、それによって二人それぞれの秘めたる胸の内が徐々に白日の下に晒されていく...

というお話です。

この映画はジャンル分けするならラブコメでもラブストーリーでもなく、圧倒的にヒューマンドラマ

そもそもこの映画、個人的にジャンル分けするならラブコメどころかラブストーリーですらなく、圧倒的にヒューマンドラマだと思いました。

なので、個人的にはラブコメ好きな方よりも、ヒューマンドラマで心の機微を感じたい方に強くお勧めしたい作品です。

この作品の登場人物はみんな嘘つきですが、とても人間らしい嘘つきばかりです。

自分を守るために嘘をついたり、大切な人を守るために嘘をついたり、絶望から抜け出すために自分で自分に嘘をついたり。

そして全員が自分のついた嘘にがんじがらめになって徐々に息苦しくなっていく。

この作品は全編を通して嘘をついた人間の心の葛藤の過程を全力で描いていると言っても過言でないくらい、登場人物の心の動きの描写が緻密で繊細で、それが確かなリアリティとなって観客を惹き込んでいきます。

だからこそ、私の目にはラブコメやラブストーリーではなく、面倒くさくて愛おしい人間たちの群像劇であり、彼らの切実なヒューマンドラマとして映ったんだと思います。

ソーシャルディスタンスやリモートで人間関係が簡素化されつつある今だからこそ、スクリーン一面に広がる生身の人間たちの喜怒哀楽と、彼らが全力で葛藤する姿はとても心に刺さるものがあったので、ピンク色のパッケージに騙されずに是非一度観て頂きたい作品です。



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