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仙腸関節障害由来の梨状筋症候群に対する理学療法|2023.3.15配信予定

本ブログはYouTubeの台本を、そのまま掲載しています。分かりやすいオリジナルイラスト付きで確認したい方は、YouTubeKindleで確認してください。


はじめに

「腰部や殿部に痛みが出ている」
「梨状筋症候群に対して介入してるけど、成果が出ない」

一般的な介入を行なっているのに、成果が思うようにてない時は悩みますよね。

僕もそうでした。

実は、梨状筋症候群の発生要因に、

仙腸関節障害が深く関係している事が明らかになっています。

これを知らないでいると、その介入は全て無意味に、、、。

この動画を最後まで見る事で、

仙腸関節の基礎知識、

仙腸関節障害の評価、

理学療法案まで理解でき、

確実に成長する事ができるので、安心してくだい。

時短したい方は、1.5倍速くらいがおすすめです。最後までしっかり聞きましょう。

ではでは本編に。

本編

仙腸関節

この章では、仙腸関節の特徴についてお話ししていきましょう。

何かと靭帯のお話しが出てくるので、最初に仙骨周囲の靭帯について説明しちゃいます。

大きく以下の6つの靭帯が存在しています。

前仙腸靱帯
仙結節靱帯
短後仙腸靱帯
長後仙腸靱帯
仙棘靱帯
骨間仙腸靱帯

各靭帯の情報はこんな感じ。

前仙腸靱帯
仙骨翼と仙骨前面から腸骨前面に縦に長く、横断方向に走行して付着する。
仙腸関節前面の離開を制動し安定性に寄与している。

仙結節靱帯
上後腸骨棘と後仙腸靱帯から付着し、坐骨結節まで続いている。
繊維は「外側帯、内側帯、上方帯」の3部に分かれる。
外側帯は上後腸骨棘ー坐骨結節を結ぶ。
内側帯は尾骨ー坐骨結節を結ぶ。
上方帯は上後腸骨棘ー尾骨を結ぶ。
大腿二頭筋、大殿筋、多裂筋、梨状筋と直接付着している。

短後仙腸靱帯
仙骨の後側方に沿って腸骨結節と上後腸骨棘付近の腸骨まで付着する。
線維の一部は骨間靱帯に付着し、仙腸関節の安定性に寄与する。

長後仙腸靱帯
正中・外側仙骨稜(S3,4領域)から上後腸骨棘まで付着する。
多裂筋深層部や胸腰筋膜との連結をもつ。
圧痛所見がよくみられる靱帯。

仙棘靱帯
仙骨と尾骨の外側面から坐骨棘に付着する。
薄い三角形状の靭帯。

骨間仙腸靱帯
仙骨粗面と腸骨を水平に結ぶ。
強力なコラーゲン繊維の集合から構成され仙腸関節の安定性に大きく寄与する。

普段耳にしない靭帯が多いかと思うので、

靭帯の名前が出てきたら、ここに戻って確認するか、

スクリーンショットで撮って、すぐに確認できるようにしておきましょう。

そうすることで、簡単に仙骨周囲の靭帯を覚えることができます。

ではでは、仙腸関節の特徴に話を戻していきましょう。

仙腸関節は、仙骨耳状面と腸骨耳状面により構成される可動関節になります。

可動関節ということで、可動性をもつ関節として分類されているのですが、

お互いの面が複雑な形状をしていることや、

関節の前後で前仙腸靫帯、骨間仙腸報帯、後仙腸靭帯により強固に結合していることから、

関節としての可動性は乏しいのが特徴になります。

乏しいというか、ほとんどありません。

主な動きは,仙骨が腸骨に対し前屈する運動(nutationニューテーション) と、

後屈する運動(counter-nutation:カウンターニューテーション)があり、

前屈の可動域は約1.3°、

後屈の可動域は約1.7°になります。

前屈を制御する組織は、

・仙結節靭帯(+大腿二頭筋)
・仙棘靭帯
・前仙腸靭帯(前上方繊維束、前下方繊維束)

で、

後屈を制御する組織は、

・長後仙腸靭帯

になります。

また副次的な動きとして、股関節や脊椎の動きに対して、

第2仙椎レベルを回転軸として相動的に動くことが挙げられるので覚えておきましょう。

成長過程において、

新生児期では、仙腸関節の関節面は矢状面に平行なものが、

成長に伴う荷重負荷により仙骨がくさび状の構造へと変化していき、

成人する頃には、関節面が前上方に開いたV字型形状になっいるので、

これも余裕がある方は覚えておきましょう。

基本的な知識を説明したところで、もう少し小難しい話、

「仙骨要石理論」についても軽く説明してきます。

立位姿勢では、身体重心が、

仙骨上端のやや前方に位置することから、

体幹の重みで、仙骨が骨盤内に沈みながら前屈(nutation)します。

この前屈がポイントで、

前屈(nutation)に伴い、骨間仙腸報帯や後仙腸靭帯が緊張し、

それにより両寛骨が引き寄せられ関節の安定性が補強されます。

立位を取る→仙骨が前屈する→靭帯が緊張する→両寛骨が引き寄せられる→関節が安定する

この連鎖によって、仙腸関節の安定性が高まる仕組みを、

仙骨要石(key stone)理論というので覚えておきましょう。

何らかの異常により、仙骨が前屈しない場合、

例えば、大腿二頭筋の筋緊張が亢進していて、

それにより、仙結節靭帯が緊張→前屈を制御しすぎている場合など、

この仕組みが機能しないので、

仙腸関節が不安定な状態で、動作を行うことになります。

すると、仙腸関節のずれが生じやすくなり、

仙腸関節障害につながることが考えられます。

仙腸関節障害

仙腸関節障害は、さまざまな症状を呈する事が多いため、

他の腰痛疾患との鑑別が重要になります。

ポイントとしては、

疼痛部位が、仙腸関節裂隙の外側で、

後仙腸靱帯由来の痛みが多いことですね。

仙腸関節裂隙より内側の痛みは、多裂筋由来のケースが多いので、

裂隙をしっかり触診し、鑑別していきましょう。

ちなみに、いわゆる仙腸関節関節痛によくある痛みの部位はこんな感じになります。

問診による疼痛部位の確認で、

仙腸関節障害を疑う事ができるので、ぜひ参考にしてください。

色が濃い部分が特に痛みを訴える症例が多い部位になります。

参考程度に確認しておけるといいですね。

また、仙腸関節障害の発生要因としては、

中腰での作業の繰り返しなどで、

骨盤周囲の筋肉や靱帯組織の緊張が続き、仙腸関節に微小なズレ生じ、

痛みなどの症状が発生するとされています。

仙腸関節障害を確認できるテストとしては、

ゲンスレンテスト、パトリックテスト、ニュートンテスト、ワンフィンガーテストなどが挙げられます。

それぞれの評価方法はこんな感じ。

ゲンスレンテスト
肢位:背臥位
手順:
①検査側の下肢をベットから下ろせるよう、ベットの端に位置してもらう
②非検査側の股関節を最大屈曲し、その状態を保持してもらう
③検査側の股関節を他動的に伸展させる

判別:
仙腸関節部や鼠径部に痛みが出現すれば陽性

ワンポイント:
セラピストが骨盤を固定して評価を実施し、疼痛が軽減する場合は、仙腸関節障害を強く疑える

パトリックテスト
肢位:背臥位
手順:
①検査側の下肢を、非検査側の膝の上に乗せる
②検査の側の股関節開排を他動的に行う
③痛みの有無を確認する

判別:
仙腸関節部や鼠径部に痛みが出現すれば陽性

ワンポイント:
セラピストが骨盤を固定して評価を実施し、疼痛が軽減する場合は、仙腸関節障害を強く疑える

ニュートンテスト
肢位:腹臥位

手順:
①仙骨部を触知する
②仙骨部に圧迫を加える
③痛みの有無を確認する

判別:
仙腸関節部に痛みが出現すれば陽性

ワンポイント:
純粋な仙腸関節障害を評価できる

ワンフィンガーテスト
肢位:腹臥位or座位
手順:
①痛みのある部位を指1本で示してもらう
②指された部位を確認する

判断:
上後腸骨棘付近であれば、仙腸関節障害を疑える

この4つのテストのうち、ゲンスレンテストとパトリックテストは、

股関節の影響も加味されるテストになるので、正しく仙腸関節障害を評価するのが困難になります。

そのため、骨盤を固定した場合と、

固定していない場合の2パターン分のテストを行いましょう。

骨盤を固定により、症状が消失ないし減弱する場合には仙腸関節性の疼痛が疑え、

症状に変化がない場合は、股関節性の疼痛が疑えます。

理学療法案

ここまで仙腸関節について説明したところで、

梨状症候群との関係が気になってきたかと思います。

仙腸関節障害をもとに、梨状筋症候群が発生する経過はこんな感じ。

→仙腸関節の後方はL5・S1・S2に支配されている
→梨状筋・双子筋・大腿方形筋はL5・S1・S2によって支配されている
→仙腸関節障害によって、L5・S1・S2に異常な刺激が伝わる
→その刺激をきっかけに、梨状筋梨状筋・双子筋・大腿方形筋に反射性スパズムを生じさせる
→ 梨状筋・双子筋・大腿方形筋の筋スパズムにより、坐骨神経が絞扼され梨状筋症候群が生じる

簡単にまとめると、

仙腸関節障害によって、梨状筋を支配している神経に異常が生じて、

梨状筋の筋緊張が高い状態が続き、

梨状筋症候群が生じる、という感じになりますね。

ちなみに梨状筋症候群は、

「梨状筋をはじめとする股関節外旋筋」と「坐骨神経」の間で生じる絞扼性神経障害で、

殿部から下肢にかけての痛みや痺れなどの、坐骨神経症状を呈するものですね。

一般的な梨状筋症候群に対する介入としては、

原因になっている股関節外旋筋のリラクセーションを行い、

坐骨神経の絞扼の改善から、症状の改善を図る事になりますが、

一部のケースでどれだけ股関節外旋筋を緩め、

股関節外旋筋の筋緊張が高まらないような動作指導を行っても、

症状が軽減していかない場合があります。

そこでポイントになるのが、先ほど説明した仙腸関節障害ですね。

仙腸関節障害が梨状筋症候群の由来になっている場合、

どれだけ股関節外旋筋を緩めても、

仙腸関節障害による反射性スパズムは改善していないので、

すぐ股関節外旋筋に筋スパズムが生じ、

梨状筋症候群が再発します。

そのため、理学療法案としては、

まず仙腸関節障害に対するアプローチを行うのが、

ポイントになりますね。

仙腸関節障害は、仙腸関節のズレが原因で発生し、

仙腸関節のズレは、筋肉や靱帯組織の異常に伴って生じます。

そのため、仙腸関節に関係する諸組織の、

緊張を解いてあげるのが、

ひとまず有効なアプローチになりますね。

簡単にできる介入方法を3つ紹介します。

多裂筋のリリース
大腿二頭筋のリリース
仙腸関節のROM訓練

多裂筋のリリース
肢位:側臥位
手順:
①第3腰椎棘突起を触知し、片方の手で押さえる
② もう片方の手で仙骨上部を把持し、尾側に牽引する
③牽引されている部分を引き戻してもらう
ポイント:
・多裂筋は長後仙腸靱帯と連結を持っていて、多裂筋の筋緊張亢進は長後仙腸靱帯を緊張させる
・長後仙腸靱帯が緊張すると、仙腸関節のズレが生じやすくなり仙腸関節障害が発生する
・多裂筋をリリースする事で、長後仙腸靱帯の緊張を緩める事ができる

大腿二頭筋のリリース
肢位:腹臥位
手順:
①起始部である坐骨結節を触知し、片方の手で押さえる
②停止部である腓骨頭を触知し、位置を確認する
③もう片方の手で坐骨結節から腓骨頭に向かって、圧を加え手を滑らせながらリリースしていく

ポイント:
・大腿二頭筋は仙結節靭帯と連結を持っていて、大腿二頭筋の筋緊張亢進は仙結節靭帯を緊張させる
・仙結節靭帯が緊張すると、仙腸関節のズレが生じやすくなり仙腸関節障害が発生する
・大腿二頭筋をリリースする事で、仙結節靭帯の緊張を緩める事ができる

仙腸関節のROM訓練
肢位:側臥位
手順:
①片方の手で仙骨を固定し、もう片方の手で腸骨を引き剥がすように牽引を加える
②片方の手を腸骨稜に、もう片方の手を坐骨結節において牽引しなから寛骨を後傾させる
③ 片方の手を腸骨稜に、もう片方の手を大転子において圧を加えながら寛骨を前傾させる
ポイント:
・痛みのない範囲で各種項目を15回程度反復する
・動かした位置で10秒程度保持する事で、各種靱帯にストレッチを加える事ができる
・力を加えすぎると上手く誘導できないため、優しく行う事を心掛けると良い

それぞれ参考にして下さい。

おわりに

たいして勉強してないから知識がなく、

プライドだけが積み上がっている先輩いませんか?

当然の事のように、勉強の習慣をつけなければ、

3年後、あなたがその姿になっている事は目に見えますよね。

一回にたくさんやり過ぎると長続きしません。

自分は少ししか勉強できない事を認めてしまい、

少しの勉強を、長期間するようにしてみてください。

成果はすぐに出ませんが、気づけば必ず大きなものになっています。

そんなところで今日のまとめ。

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ではでは、また次の動画でお会いしましょう〜。

今日も最後まで動画を見てくれてありがとうございました!

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