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【臨床家向け】ピリオダイゼーションの考え方

皆さんはピリオダイゼーションという言葉を聞いたことがありますか?

今回は、普段の臨床の中にこのピリオダイゼーションの考え方をプラスしてみると、対象者へのアプローチ方法がより精度が高まると思い、記事にしました。


ピリオダイゼーションとは

 

ピリオダイゼーションとは、1960年代にロシアの学者が提唱した概念です。

これはトレーニング分野の考え方で、試合など重要な局面においても最高のパフォーマンスが発揮できるように、プログラム内容を大きな括りから小さな括りまで計画し、戦力的に変化させながら計画を考案していくことを指します。

つまり、理学療法での臨床推論:クリニカルリーズニングと似ています。

理学療法のクリニカルリーズニングは、ガイドラインやプロトコルに従いながら、

評価→統合と解釈→治療→再評価

と、繰り返し行います。

クリニカルリーズニングの中にピリオダイゼーションの考え方を入れると、理学療法プログラムがより精度が高くなるかと思います。

ピリオダイゼーションの3つのサイクル


ピリオダイゼーションは全体を俯瞰して考えます。

ピリオダイゼーションも3つのサイクルを軸として対象者に介入していきます。

 

【マクロサイクル】

全体の介入の中で、もっとも長い期間のことを指します。

上記の例にも示した通り、始まりとゴールの期間を設定します。

もちろん対象者によって、4週間や1年間の場合もありえます。

オリンピック選手であれば4年間などもありえますね。

マクロサイクルでは対象者のトレーニングの習熟度を考慮して大枠で考えていきます。

例えば、あるスポーツの初心者に対し、まず最初の3ヶ月は基礎体力作りと代償運動(動きの癖)の排除を主目的としてアプローチしていきます。

3ヶ月から6ヶ月までは単純なスポーツ動作(ジョギングやダッシュなど)から特異的なスポーツ動作(競技の特異動作など)へアプローチ方法をシフトしていきます。

6ヶ月から9ヶ月にてスポーツ動作にはほぼ関係している動作の、ジャンプ動作や試合形式の練習を行います。

上記のように、対象者の習熟度を予想しながら、介入内容のレベルを上げていくような目的でアプローチ方法を考えます。

 

【メゾサイクル】

マクロサイクルをいくつか分けたものであり、マクロサイクルで大まかに決めたものをより細かく設定していきます。

マクロサイクルの中にメゾサイクルが2つ以上入っているイメージです。

もちろんマクロサイクルの期間によってメゾサイクルの期間も様々です。

メゾサイクルの役割はマクロサイクルで大まかに決めたことを効率よく行えるように考えることです。

上記を例にすると、最初の3ヶ月は基礎体力づくりと代償運動の排除です。

「基礎体力作り」と「代償運動の排除」は異なる種類の介入です。

同時期に行い、双方結果を出さなくてはなりません。

どっちかに力を入れすぎて、片方が疎かになることを避けなくてはなりませんので、対象者の身体的特徴を捉えておく必要があります。

体力がない対象者はまず、「代償運動の排除」の練習から行い、その後に「基礎体力作り」を行います。

ある程度体力がついてきたら、疲れた状態から「代償運動が排除」できるかを確認するために「基礎体力作り」から練習を行います。

このようにメゾサイクルではあらかじめ戦略を立てておくことが重要となります。

 

【ミクロサイクル】

メゾサイクルで戦略が固まってきたら、いよいよ日々の練習で具体的に何を行うかを決めていきます。

ミクロサイクルの役割は日々の対象者の疲労具合と癖(代償)がないかの確認です。

上記を例として、最初の3ヶ月のうちの初回は全体のスケージュールの説明を対象者に行います。

そして、体幹トレーニング、バランス練習を各種3セットずつ行い、バランス能力、基礎体力を確認していきます。

バランス能力が劣っていそうであれば、翌日はバランス能力練習のため、漸進的に立位バランス練習を中心に行っていきます。

強度、量、休憩時間も含めて再度また計画を調整していきます。

このようにミクロサイクルではより細かい設定が必要となります。

おわりに

 

実際の臨床を通して、私自身、理学療法のクリニカルリーズニングだけでは補えない部分も感じることもありました。

私のクリニカルリーズニングが未熟なだけかもしれませんが、ピリオダイゼーションのような、他分野の考え方というのも参考になるかと思います。

是非、日々の臨床のお役に立てて頂ければかと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。


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