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【新人理学療法士向け】起立動作介助の基本

今回は介助が必要な対象者に、起立動作を行う際のポイントをお話しします。


起立動作の基本知識

 

起立動作で欠かせない用語は支持基底面と身体重心です。

そして起立動作の特徴は、

①支持基底面が変化する

②身体重心の前方、上方移動が生じる

が、あります。

①が生じた時に、身体重心がちゃんと変化した支持基底面の収めることが難しい動きです。

起立の動作としては支持基底面から身体重心が動かないスクワット動作の方が簡単なはずということです。

まず目視で観察

 

対象者はまず、

座位保持ができるのか

✅指示が入るのか

✅立ち上がろうとする時に上肢の位置をどこに置いているのか

✅上肢なしでも立ち上がれるのか

など、まず目視にて動作が困難な原因を探していきます。

 

認知症などの影響で指示が入らず、自分で立ち上がらない方でも、下肢や体幹の可動域など、起立動作を介助で確認して問題点を探していきます。

 

段階的に介助や指示をして問題点を探す

 

次に、介助量を段階的に変化させて動作を確認していきます。

 

下記に例として段階的介助方法を挙げます。

 

腋窩、臀部を把持し全介助で起立

腋窩介助のみでの体幹前傾誘導による起立

横手すりを上肢で引っ張るような状態での起立

椅子の肘かけやベッド柵などを使用し、上肢プッシュアップのような状態での起立

ベッドや膝に手を置き、上肢の力での起立

上肢を使用せずに起立

 

上記の例を基に、どの段階で困難が生じているかを確認します。

腋窩、臀部を把持し全介助で起立

 

この段階の対象者は指示は入りにくい方がほとんどです。

 

体幹前傾に必要な股関節屈曲や足底接地のための足関節背屈などの関節可動域を維持していく必要があります。

 

全介助中も下肢の筋出力が少しでも生じているのか触診で確認できればなお良いと思います。

 

腋窩介助のみでの体幹前傾誘導による起立

 

この対象者の場合は、上肢の可動域や筋出力が乏しいのと下肢筋出力のタイミングが離臀と合わない可能性があります。

 

なので下肢筋力は立位保持できる分くらいあるはずです。

 

身体重心が前方へ移動することが自分でできていないので、下肢が筋発揮するタイミングがわからなくなっているのでしょう。

 

上肢、体幹可動域練習や体幹前傾練習などで反復練習が必要です。

 

横手すりを上肢で引っ張るような状態での起立

 

上肢の力技で起立を行うパターンです。

 

手すりがあれば立位保持ができると思うので、下肢筋力はあるはずです。

 

なのでやはり、身体重心を前方へ移動することが自分でできないのでしょう。

 

支持基底面から重心を外すことを指示や介助にて反復練習していきましょう。

 

もちろん下肢や体幹に可動域制限がないかを確認しつつ行います。

 

椅子の肘かけやベッド柵などを使用し、上肢プッシュアップのような状態での起立

 

ここまでが身体重心を前方へ移動することが困難なパターンです。

 

座面の高さを高くしたりして、上肢を使用しなくても離臀しやすい環境を作り、反復練習しましょう。

 

ベッドや膝に手を置き、上肢の力での起立

 

ここからは、下肢や体幹の機能不全が考えられます。

 

近年はロコモティブ・シンドロームの観点から、上肢を使わないで起立することができない現代人も多いようです。

 

運動不足による下肢、体幹筋力の低下が考えられます。

環境調整について

 

起立動作などの日常生活動作にアプローチしていくときに、一番は対象者や介助者が楽に動作を行えることかと思います。

 

なので、現在の能力を伸ばすことも重要ですが、早く楽に動作ができるように調整することも重要だと思います。

 

手すりの位置や使い方など理学療法士ができるアドバイスをしつつ、身体機能の向上、維持のための治療を行えればかと思います。

 

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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