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【新人理学療法士向け】起居動作介助の基本

この記事では、これから病院や施設で働く理学療法士や既に理学療法士として働いている方へ、私の経験を元に、起居動作の基本についておさらいしていきます。

介助の対象者は様々

 

介助の対象となる人は様々です。脳卒中で片麻痺の方や、脊髄損傷での四肢麻痺、長期臥床での廃用症候群など、バックグラウンドが多いです。

ですが、基本をしっかりと押さえて、介助者も対象者も安全に安心して、楽に動作ができるようになる必要があります。

どんなバックグラウンドをお持ちであれ、ヒトの身体的特徴を捉えながら行っていきましょう。

そして介助中は気をつけないといけないことがあります。

・血圧変動 

・対象者の手の位置 

・点滴などの管理物の配置場所

以上に気をつけながら介助を行っていきます。以下に手順をお話ししていきます。

まずは寝返り

 

介助者が一人で行う場合は寝返りをまず行った方がいいです。

理由としては、仰臥位よりも側臥位の方が、支持基底面が狭くなり、動きやすくなるからです。

両膝も立てられるようであれば、より支持基底面が狭くなり、介助しやすいでしょう。

ここで、対象者の手が、自分の体によって押しつぶされていないか、点滴などが外れそうになっていないかなど確認していきます。

点滴の挿入部位もしっかり目視してから動作を行いましょう。

起き上がりの体勢へ

 

側臥位になったら、まず両下肢をベッドから下ろします。

理由は、てこの原理を用いて、下肢の重さによって、頭側の体がベッドから起きやすいようにするためです。

この時、ベッドに下ろした足が強く当たらないように気をつけましょう。

また、下肢を下ろすので、下肢に血液が集まりやすくなります。

血圧低下に注意しながら行いましょう。

対象者の顔色や橈骨動脈の脈が触れているかどうかなどで、血圧変動がないか確認していきます。

ちなみに橈骨動脈は収縮期血圧80mmHg以上で触知できると言われています。

上体を起こしていく

 

ここで、上体を起こしていく際に、介助者は自分の体重を利用して、対象者の上体を起こしていきます。

ここが、コツが必要な場面で、私も苦手な部分です。

介助者が一番腰を痛める瞬間かもしれません。

イメージはシーソーであり、介助者である自分が下に下がると、対象者の上体が上へ上がっていくという感じです。

この時に対象者の手の位置は、介助者の肩や首に手を回すのが理想ですが、行えない場合は、対象者の胸の前にします。

座位姿勢とその状態での確認事項

 

座位姿勢となり、しっかり坐骨に体重が左右均等にかかるようにします。

多くの対象者は後方重心になりやすいので、後ろに倒れないように注意します。

足底もできれば、しっかり地面と接地させ、足底からの感覚入力も意識して介助します。

ここでまた血圧変動の確認です。

座位になると体の中の血流が一気に変わり、血流変動に対して、体の受容器が働きにくくなり、血圧変動が起こります。

しっかりと正面から対象者の顔を見て、意識レベルの確認、血圧測定を行いましょう。

寝たきりの人を起こしていく意義

 

ベッドでの長期臥床では廃用症候群の一つとして褥瘡のリスクがあります。

褥瘡を作らないためにも体位変換や起居が必要となります。

また、リクライニング車椅子などを使用すれば、ベッドから離れて、ベッド以外の生活の場が広がります。

体の耐久性として車椅子の乗車時間が伸びてくれば、もっと可能性は広がっていきます。

それは本人、もしくは家族が望んでいることかもしれません。

少なくとも、私たち理学療法士は、対象者がどこまでの身体能力があるのかを評価し、本人や家族に伝える役目があります。

その中で、できる範囲の生活の仕方を決めていくのは本人と家族です。

その本人たちに情報を提供できるのは理学療法士だと思っています。

対象者に寄り添えるよう、私も努力を続けていきます。

最後までお読み頂きありがとうございました。

参考までに、実習生向けの記事も新人理学療法士には当てはまることが多いと思うので、そちらもご覧ください。


理学療法士を目指すなら持つべき本を紹介!おすすめ4選!実習生必見です!

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