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ダイエットで運動するなら「朝と夜」のどちらが効果的か?

 ダイエットをするなら、運動よりも食事の管理をすることがもっとも効果的です。それでも運動は内臓脂肪を減らし、過度な食欲を抑え、減った体重が戻ること(リバウンド)を防いでくれる効果が報告されており、食事の管理とともに運動を行うことがダイエットの成功に近づく方法とされています。

 そこで問題になるのが「運動をする時間帯」です。

 仕事をしていると、運動ができる時間は、仕事の前である「朝」か、仕事を終えた「夜」に限られます。

 では、運動によるダイエット効果は、朝と夜のどちらが高いのでしょうか?

 この疑問について検証を行い、今月の雑誌Obesityで報告したのがクイーンズランド大学のBrookerらです。

 Brookerらは、肥満や太り過ぎな成人100名をランダムに3つのグループに分けました。

①朝(6:00-9:00)に運動を行うグループ
②夜(16:00-19:00)に運動を行うグループ
③運動を行わないコントロールグループ

 運動はそれぞれの時間帯で1週に250分の有酸素運動が12週間にわたり行われました。運動を始める前(ベースライン)と12週間後に体重、心肺機能、食事摂取量(総エネルギー摂取量)が計測されました。

 その結果は以下のようになりました。

・体重は、朝・夜の両グループで有意に減少しました(朝Ex:-2.7 kg、夜Ex:-3.1kg)。
・心肺機能も朝・夜の両グループで有意に増加しました(朝Ex:+4.7 mL/kg/min、夜Ex:+4.2 mL/kg/min)。
・総エネルギー摂取量は、コントロールグループよりも朝・夜の両グループで有意に減少しました(朝Ex:-3974 kJ、夜Ex:-3165 kJ)。

 朝・夜の両グループともに体重の減少効果や心肺機能の増加、食事量の減少が認められましたが、両グループ間でこれらの効果の有意な差は認められませんでした

 また、医学的に意味のある体重減少(5%以上の減少)は、夜に運動をしたグループで大きな割合を示しました。この知見に関しては、今後のさらなる調査の必要性があるとしています。

 Brookerらは、これらの結果をもとに、ダイエットで運動するなら、朝と夜のどちらでも同等の効果が期待できるとして、最後にメイヨークリニックのマイケル・ジョイナー博士の提唱を引用しています。

『何かをする』というメッセージは、『一日のうち特定の時間に何かをする』というメッセージよりもはるかに重要である。

 朝や夜といった時間帯に関わらず、運動すること自体が重要である、としています。

 時間帯は気にせず、できるときに行うのが最適解のようですね。



◆ 参考文献

Brooker PG, et al. The efficacy of morning versus evening exercise for weight loss: A randomized controlled trial. Obesity (Silver Spring). 2022 Dec 10.

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