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自律神経の乱れ改善編②

こんにちは!理学療法士の「あらい」です。今回は改善編②”通常呼吸を深くする”についてです。姿勢・呼吸と自律神経の関係から改善方法をご紹介します。どのように自律神経に関与し、乱れを改善できるか詳しくみていきましょう。

本当は難しい深呼吸

 自律神経を整えるためによく紹介されているのが“深呼吸”ですね。自律神経=呼吸くらいの勢いがあるパワーワードだと思います。深呼吸には心落ち着かせたり、緊張を解く一定のリラックス効果があり、副交感神経を優位にする方法として紹介されています。この深呼吸について、実際自律神経が乱れている、気分が落ち込んでいる人は感じたことがあるのではないでしょうか?“深呼吸って難しい…?”そう!深呼吸って難しいのです。何が難しいかって言うと“上手く吸えない?”“長く吐けない??”“深呼吸が苦しい!?”以上3大難関です。自律神経が乱れている人は“深呼吸”できる状態にない可能性が高いのです。

姿勢の固定化により深呼吸できる状態にない!?

 深呼吸できない身体環境を姿勢がつくっている可能性があります。猫背状態で深呼吸するのと、一般的に背筋が伸びているいい姿勢で深呼吸するのだとどちらが深呼吸できそうですか?良い姿勢になっていた方がたくさん吸える感じがしませんか?しかし一概にそうとも言えません。

 呼吸には胸郭という肋骨周囲の動きが欠かせません。特に肋骨の下方は吸気の時に横に広がり、呼気と共に閉じていく関節の動きを随時行っています。この肋骨の動きは姿勢により抑制されやすく、胸郭が広がらない分吸気量が減少します。また肋骨は胸骨と脊柱にそれぞれ関節を持っており、同じ姿勢が長期化することで周囲の軟部組織、関節自体の堅さから、より浅い呼吸を助長させます。硬くなった軟部組織、関節は可動域制限を生じさせ、この状態では伸びようと思っても伸びられない“姿勢の固定化”を呈します。つまり常にいい姿勢で固定化されている状態も、呼吸においては阻害要因になりえるのです。姿勢の固定化により深呼吸しようと思ったときには、上手く吸えず、吐けないため努力的呼吸の連続は逆にストレスになる可能性さえあるといっても過言ではありません。

”意識的深呼吸”は続かない!?

 人間が起きている時間の中で意識的に行える体の動きって、実は少ないのをご存知ですか? “買い物のために歩く”この場合意識的におこなっているのは “買い物に行くこと”ですよね。目的は“買い物に行く”であって“歩く”ではありません。このように人間は、目的は考えられても体の動きまで意識しないため意識的に深呼吸をおこなったとしても継続は難しいといえます。仕事、家事、子供、勉強などやることは山積み、四六時中深呼吸のことを考えてはいられないですよね…。整える目的で単発的に深呼吸を取り入れる方法は有効です。あくまで改善が目標なら、身体環境の修正が課題になってきます。
 改善に必要なのは常時無意識で行われている呼吸を深くすることです。特に重要なのは“吸う方(吸気)”で、呼吸に動員される筋肉数からみても吸気筋6呼気筋0と、吐くときにはほとんど筋力を使わないことが分かります。吸気を円滑に行うために、下部肋骨の可動域、その動きを邪魔しない周囲筋の柔軟性+脊柱周囲の可動性を邪魔しない肩甲骨周囲筋の柔軟性が大切になります。これらを保つことで、無意識呼吸を深くすることができます。

 単純に良い姿勢だから自律神経が乱れない、深呼吸ができるわけではないです。そのため意識的に良い姿勢を心がけたり、深呼吸を行うことは整える方法であっても改善法には至りません。一番よくないのは“ずーっと同じ姿勢でいてあまり動かないこと”です。これでは自然と胸郭の動きが制限されて、常時呼吸が浅くなり副交感神経との均衡バランスがくずれやすくなるということですね。ついでに言ってしまえば胸郭周囲~頸部(肋骨、脊柱、肩甲骨、頸部)の可動域制限は付随する筋肉の活動も減少させるので、血液・リンパ液の循環不良を助長します。すると老廃物は流れていかず、栄養・酸素・ホルモンは必要なところに届かない状態に陥るわけです。より乱れやすい要因と環境がそこにはあります。肩甲骨周囲・胸郭周囲の柔軟性を保つことがこれらのリスク回避となり、改善につながります!

 おススメは“ストレッチポール”“呼吸筋コンディショニング”です。ストレッチポールは刺激の入りにくい背面筋に直接アプローチできるため、10分程度で姿勢が見違えるように良くなります。呼吸筋コンディショニングは胸郭周囲の筋肉に皮膚レベルで動きを入れてあげることで、その後の動きを改善させるものです。


 中長期的なケアにはなりますが、“最近呼吸が苦しい”“気分がすぐれない”活動量の少なくなる冬場は特に要注意です。すぐにでも始めてくださいねー

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