リハぴこ

臨床の質を追い求める理学療法士📚 / 総合病院勤務🏥 / 運動学・機能解剖学を基盤にリハビリテーションを提供しています。

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マガジン

  • 運動と解剖のプロフェッショナル

    リハビリテーションにはさまざまな分野があります。どの分野で活躍するのにも、理学療法士や作業療法士は運動学と機能解剖学のプロであるべきです。 このマガジンでは、理学療法士や作業療法士などに向けた、運動と解剖の臨床的な記事を載せていきます。

最近の記事

起立動作における下肢・体幹のVertical Extension

直立二足化への下肢に起こった解剖学的変化四つ足動物というのは元々、前脚で荷重しています。後脚は駆動のために利用しています。 後ろ足は、股関節も膝関節も、屈曲位でつま先立ちになっています。 サルになると、木の枝に捕まったり木の実を取ったりするために、上肢を体重支持から解放して空間に向かってリーチをするようになりました(オーバーヘッドリーチ)。そのために、荷重配分が変化し、後脚荷重になりました。 四つ足動物と比較して、足関節が背屈位に近づいています。 これは、体重支持

    • 殿部離床(離殿)におけるPower Transfer

      離殿時の前脛骨筋の役割殿部が離床するためには、Power Transferが重要になってくるのですが、そのために前脛骨筋の収縮が非常に重要になります。 特に、moment strategyを利用して立ち上がる場合にはとても重要です。 床反力作用点の位置 下図は、殿部が離床した直後の図です。

      • 起立動作の前方加速のために必要な対側方向性運動リズム

        起立動作の第1相起立動作の第1相は、座位姿勢から殿部が離床するまでの区間です。 身体重心を前方に移動させるために体幹が前方に傾斜します。 頸部・体幹はほぼ中間肢位に保持されており、脊柱が屈曲することはありません。 これがいわゆる、脊柱のVertical Extensionです。 さらに、身体重心を前方に移動させる運動は、股関節の屈曲による骨盤の前傾運動によって起こっています。 股関節は、頭部が足趾よりやや前方に位置するまで体幹を前傾するように屈曲を続けます。

        • 起立動作における体幹のVertical Extension

          Vertical Extensionとは脊柱や下肢の伸展というと、矢状面上の運動として移動軸が後方にいく運動を指します。 Vertical Extensionというのは、脊柱や下肢が抗重力方向(上方向)に向かって伸び上がるような動きを指します。 Vertical Extensionにおけるコアコントロール通常まずは安楽な座位をとっていることが多いです。 安楽な座位とは、骨盤後傾位、腰椎屈曲位、胸椎後弯位な姿勢です。 安静座位から起立動作のコマンドが入ると、安楽座位

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        • 運動と解剖のプロフェッショナル
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        記事

          起立動作のメカニズム

          起立動作は屈曲する動作がない起立動作には、 脊柱のVertical Extension 前方加速のための対側方向性運動リズム 殿部離床のためのPower Transfer 下肢と体幹のVertical Extension Ankle Strategy の5つのメカニズムが必要になります。 これらの機能は全て抗重力伸展活動と呼ばれ、屈曲する動作は1つもありません。 起立動作は「おじぎをしながら立つ」動作では決してなく、徹底した抗重力伸展活動により成り立つ動作

          起立動作のメカニズム

          起立動作は2つの重心移動が重要

          起立動作の特徴とは起立動作とスクワット動作は、同じもの・似ているもの、と捉えている場面をよく見かけます。 ですが、この2つは異なるメカニズムで成り立つ動作です。 スクワット動作とは、支持基底面が常に同じ場所にあって、重心が支持基底面から外れないようにしながら重心を上下動させる動きです。 起立動作とは、スクワットと比較すると支持基底面が急激に変化する(狭くなる)動作です。 座っている時には殿部と足尖部までを結んだ距離が支持基底面になりますが、殿部が座面から浮き上がった

          起立動作は2つの重心移動が重要

          起立動作のシークエンス

          起立動作に屈曲する動きはない起立動作には、 脊柱のVertical Extension 前方加速のための対側方向性運動リズム 殿部離床のためのPower Transfer 下肢と体幹のVertical Extension Ankle Strategy の5つのメカニズムが必要になります。 これらの機能は全て抗重力伸展活動と呼ばれ、屈曲する動作は1つもありません。 起立動作は「おじぎをしながら立つ」動作では決してなく、徹底した抗重力伸展活動により成り立つ動作

          起立動作のシークエンス

          起き上がり動作における上肢の安定化機構

          起き上がりには上肢の安定化機構が必要on elbowになった後に重要となるのが、上肢で身体を支えなければいけないという姿勢です。 いわゆる、起き上がり動作の第4相です。 これは、とても大きな上肢帯の安定性が求められます。 では、どこの安定性が求められるかというと、 肩甲胸郭関節 肩甲上腕関節(ローテーターカフ) 肘関節(上腕三頭筋) 小指球を基部とした連鎖帯 の4つといわれています。

          起き上がり動作における上肢の安定化機構

          起き上がり動作のon elbowのメカニズム

          on elbowになるための慣性力第1〜2相における身体の回転運動は、下側の肩関節の水平内転軸で起きています。 そのまま回転運動を続けると側臥位となります。 on elbowとなるには、肩関節を中心とした身体の回転運動を止めて、肘関節を中心とした回転運動に切り替える必要があります。

          起き上がり動作のon elbowのメカニズム

          起き上がり動作について

          起き上がり動作とは起き上がり動作とは、途中までは寝返り動作と同じ動きをします。 具体的には、リーチ動作をして、上部体幹が回旋をするまでです。 ここから、体幹が屈曲する動きを強めて身体を起こしてきます。 すると、片方の肘をつくon llbowという姿勢になり、起き上がります。 寝返り動作のシークエンス起き上がり動作の第1相

          起き上がり動作について

          寝返り動作における体重移動

          寝返り動作も重心移動よく、立位や歩行の活動において、重心移動の話が出てくるかと思います ウェイトトランスファーといった言葉を使うこともあります。 寝返り動作も重心が移動する動きのため、重心の位置がどこにあって、どこに動くかを把握しなければいけません。 以下図のように、重心の位置が側臥位となるにつれて変化します。 では、寝返り動作はどのように重心移動を行なっているのでしょうか。

          寝返り動作における体重移動

          寝返り動作における体軸内回旋

          体軸内回旋の主役は胸椎寝返り動作の第2~3相における身体を捻る動作というのは、主に胸郭(胸椎)で起こります。 腰椎自体にはそれほど回旋可動性がないためです。 主動作筋は腹斜筋です。具体的には、上側の外腹斜筋と下側の内腹斜筋です。

          寝返り動作における体軸内回旋

          寝返り動作におけるリーチ動作と胸郭回旋の重要性

          肩甲骨の前方突出の重要性寝返り動作の中で、最も動作を阻害する要因は肩甲帯といわれています。 胸郭は水平断面で見ると楕円形のため転がりやすいのですが、両側にある張り出した肩甲骨があると回転がしにくい状態にあります。

          寝返り動作におけるリーチ動作と胸郭回旋の重要性

          寝返り動作は頸部から始まる

          寝返り動作は必ず体軸内回旋を伴う寝返り動作って、意外にもバリエーションがあることに気づきました。 どのような目的で寝返りをするかで、身体の動き方が変わってきます。 バイメカニクス的には大きく 屈曲回旋パターン 伸展回旋パターン に分けられるといわれています。 寝返り動作には、必ず体軸内回旋という動きがあります。 簡単に言うと、体の内部をねじるように動く、ということです。 かの有名なボバース理論においては、 「通常の寝返り動作と、異常な寝返り動作の違いは、体

          寝返り動作は頸部から始まる

          筋の略称 頭頸部・体幹編

          整形外科医の記録を見ると、なかなか略称が多いですよね。 医師全体にいえることかもしれませんが。 その方が効率いいですからね。 私たちコメディカルスタッフは、その記録を読み解き、患者への対応を考える必要があります。 最近は、リハビリテーション業界でも、エコーを用いることが増えています。 エコーの研修会に出ていても、筋や靭帯などの組織は略称で書かれていることがほとんどです。 自分のメモでも、略語を使えれば、面倒な漢字が並んでいる筋などの名前を書く時間を大幅に短縮できま

          筋の略称 頭頸部・体幹編

          筋の略称 下肢編

          整形外科医の記録を見ると、なかなか略称が多いですよね。 医師全体にいえることかもしれませんが。 その方が効率いいですからね。 私たちコメディカルスタッフは、その記録を読み解き、患者への対応を考える必要があります。 最近は、リハビリテーション業界でも、エコーを用いることが増えています。 エコーの研修会に出ていても、筋や靭帯などの組織は略称で書かれていることがほとんどです。 自分のメモでも、略語を使えれば、面倒な漢字が並んでいる筋などの名前を書く時間を大幅に短縮できま

          筋の略称 下肢編