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【自分が楽=相手も楽】古武術から学ぶ立ち上がり介助のコツ  ー理学療法・介護への活用方法ー

今回の記事は
古武術から得た立ち上がり介助のコツ
を紹介します。

はじめに

稽古では、
相手を立ち上がらせる際、棒を介すことで

自分と相手の背骨(=体幹)が平行であること
 を意識しやすくなる

・その意識を持つことで距離を保ちやすくなる

後ろに下がる力のみ
 楽に相手を立ち上がらせることができる

ということを習いました。

文だけでは分かりにくいと思うので写真を用いて
ザッと説明します。

手首を持ち、立てらせようとするが
自分の肩に力が入るのみで立ち上がらせることはできない
棒を介して自分と相手の体幹が平行であることを意識し
後ろへ下がると楽に立ち上がらせることができる
再度、体幹が平行であることを意識し、棒なしで
立てらせようとするも意識が未熟で
立ち上がらせることができない
反対の手に棒を持つことで体幹が平行であることを
意識しやすくなり後ろへ下がるだけで相手を立ち上がらせられる

今回の稽古内容を紐解く

上述の稽古内容より立ち上がり介助の際は、

自分の体は起こしておき、動作中も
相手との距離は遠ざからず一定に保つこと


が重要であると考えられます。

今記事の一枚目の写真をもう一度載せます。

いかがでしょうか。
相手に対して体幹を平行に保つことができず、
お尻のみが引け、さらには体幹が前に残っています

これでは自分の肩にかなりの力が入ってしまい、
相手も無理やり引っ張られるように感じてしまいます。

無理やり引っ張ることで、相手にも力が入ってしまい、より介助が困難となります。

立ち上がり介助に関する文献

理学療法士と養成校の学生とでは、
立ち上がり介助の際の対象との体幹の距離が
理学療法士において有意に少なかった

その結果、対象の到達点はより高く、
完全な立位を取ることが可能であった。
立本久美子他:立ち上がり介助動作の学習.
理学療法学Supplement2002.2003;(0):799-799.

文献からも、
相手との距離が近いほど立ち上がりの介助が
容易になることが予測されます。
※何かよりエビデンスの高い文献が見つかれば
 その都度編集します(2022年6月現在)

そのため、
お尻のみが引け立ち上がらそうとすることで
相手との距離が遠くなり

①相手を腕の力だけで立てらそうとする

②相手にも余計な力が入ってしまう

③介助が困難となる

④立つことができても不十分な立位となる

といった状況に陥ることになります。

このような方法でも介助は可能ですが、
無理な力が入っているため介助者自身の腰や肩
痛めることに繋がってしまいます。

反対に、
体幹が平行になるよう意識し、距離を保つことで
相手との距離が近くなり

①後ろに下がるだけでお尻を浮かすことができる

②自身に余計な力が入っていないため相手も楽

③より完全に近い立位を取らせることができる

というように介助者、相手ともに楽に立ち上がることが可能となります。

まとめ

1番楽に距離を近づけることができるのは
両手で脇の下から支持し、介助を行うことです。

両手で脇の下から支持し
片方の手は背中、一方の手は腰またはズボンを持ち介助する

実際のリハビリ・介護場面では、
手首のみを持ち介助することはありません。

しかし、
両脇の下から介助を行う場合でも上半身が残り、
お尻のみが引けてしまっているような方が
少なからずいると思います。

そこで、今回記事で挙げたよう

・体幹が平行になるよう意識する
・近づき動作中も遠ざからず距離を保つ

これらの意識を持つことで力まず介助ができ、
何より相手が楽と感じ、立つことができます。

意識がしにくい場合、今記事二枚目の写真のよう
実際に棒を持たせ介助することもオススメします。

今記事の二枚目の写真を再掲

介護をする際、1番大切なことは
介護者自身のカラダを負担から守ることです。

距離が離れることは無理な介護に繋がる

一つの工夫・コツで負担は予防できます。

今回の記事が医療関係者や介護者の方の
カラダへの負担の軽減につながれば嬉しいです。

今回は以上になります🙌🏻
記事を読んでいただきありがとうございました。
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