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祇園囃子が聞こえたら いよいよ夏

  祇園祭と聞いただけで「暑い!」と反射的に思ってしましますが、令和の祇園祭は私が若い頃に行ったあの昭和の暑さとは格段に暑いのでしょうね。そもそも祇園祭とは、八坂神社の祭礼で、毎年7月1日(吉符入)から31日(疫神社夏越祭)まで、1か月にわたっておこなわれます。一般には、17日(前祭・山鉾巡行と神幸祭)と24日(後祭・山鉾巡行と還幸祭)の宵山が広く知られていますが、実に多彩な祭事がおこなわれているのです。
  歴史は古く、平安時代初期にまでさかのぼります。非業の死を遂げた人たちの霊(御霊)が疫神となって疫病を振りまくという信仰(御霊信仰)から、それらの荒ぶる霊魂を一ヵ所に集めて、災厄をもたらさぬよう鎮め、都の外へおくるための祭礼だそうです。疫病は、実際には春先から梅雨明けまでの洪水が頻発しやすい時期に、食中毒や集中豪雨による河川の氾濫などによって蔓延したと思われますが、当時の人々はその原因を御霊などの仕業であると考えました。最近でも暑さに加え、不安定な気候で集中豪雨のよる被害が全国各地で発生し、時代が変われど疫神は心穏やかではないようです。
  さてさて祇園祭と言えば「ちまき」ですが、祇園祭の「ちまき」は、厄除けのために各山鉾町で売られていますので、食用ではありません。ちまきが厄除けの役割を担っているのは、八坂神社の祭神・素戔嗚尊すさのおのみことが旅の途中でもてなしてくれた蘇民将来に対し、お礼として「子孫に疫病を免れさせる」と約束し、その印として「茅ちの輪」を付けさせたのが始まりと言われているそうです。各々の山鉾のちまきには、厄除け・疫病除けの他、縁結び、金運招福、学業成就など、様々なご利益や由来があるようで、疫病神が家に入って来るのを除けるために玄関の入り口(軒下)の見え易いところに吊すようです。祇園祭に行かれたら山鉾めぐりをして「ちまき」をゲットしてみて下さい。
  私の場合は祇園祭と言えば「鱧」なんですが、どうやら祭事的な謂れはなく、鱧の旬の時期に祇園祭が行われていただけのようです。どんな謂れがあろうとなかろうと、冷えたビールで梅肉まみれの鱧ちりは最高ですね。

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