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ほろ苦いたかちよ🍶

父は、私が実家を出る時何度も言った。
「女は日本酒には手を出すな。ロクなことにならない。居酒屋にどうしても行く時は、別のものを頼みなさい」と。

え?!自分は久保田が好きなのに?!
なぜだろう?…アルコールはアルコールでしょ。
全然納得はしていなかったが、反論しても話(説教)が長くなる昭和の厳格な父だったので、とりあえず、はーい😗と言っておいた。
私は、律儀にその約束を守った。

私が日本酒を好きになったきっかけ
🍶たかちよ🍶

私の日本酒ライフは、尊敬する上司から新潟の日本酒『たかちよ』のプレゼントをもらったことから始まった。
可愛いピンクのパッケージで、日本酒のイメージが覆えされた。

若くしてトップに立ち、誰に対しても仕事面で厳しい上司ではあったけれど、それまで見てきたどの上司よりも働き、身体を壊すのでは…?と心配になるくらいだった。
この人の言うことなら仕方ない!頑張ろう!と皆に思わせる説得力のある上司だった。

その上司と親子ほど年の離れた女性スタッフと3人で秘密の飲み会🍻をすることが何度かあった。仕事の話からプライベートな話まで色々な話で盛り上がり、楽しい秘密の飲み会だった。

今考えると、部下をチョイスして飲み会をすること自体はあまり良いことではなかったと思う。上司が部下と仲間以上の関係になると、組織はたちまち崩れる。

殺人級に忙しい職場だったこともあり、日頃の自分の仕事が評価されている気がして、誘われて悪い気はしなかった🤫
努力が報われた気がした。

「フルーティで飲みやすいよ」
「ジューシーで飲みやすいよ」
日本酒をウリにしている和食屋さんで色々な日本酒を飲んだ。

果物でもないのにフルーティ&ジューシー?…🍎🍈❓❓

当時は、日本酒って美味しいんだな🎶と思ったけれど、へぇー!すごーい!美味しーい!しか言えなかった。
日本酒の知識はゼロだった😓

でも、その上司との飲みニケーション(今なら叩かれそうな言葉だけれど)で、日本酒を好きになったのは事実だ🫠

でも私は、自ら退職届を出した。
どうしても業務面で納得いかないことがあり、キレた口調で「もう話しても平行線なので!○/○で辞めます(労基に反しない範囲で)」とその上司を黙らせてしまった。

状況的に、気に入られているんだからうまく居座ればよかったのに…という人の方が多いような気もするが、私はそれが出来ない⤵️

同じ台詞でも、今ならもう少しやんわりした口調で言えるかもしれない。
まだそこは、ガキ、だった💔

退職日まで、微妙に重々しい空気が続いた。あんなに沢山の楽しい時間を共にしたのに…悲しいというより不思議な感覚だった。

勤務最終日、大きな花束や同僚から個人的にプレゼントを頂いた。
あぁ…なんだかんだで頑張って良かったな…😌と思った。

さぁ!解放される!綺麗に去ろう!!帰りの身支度をしていたら、その上司がノックして入ってきた。
「お疲れ様でした。色々甘えてしまってごめんなさい。これ、フルーティで飲みやすいから!」と頭を下げられ、縦長の袋を差し出してきた😳
え…なに⚡️

「たかちよ」ピンクのラベルの森のくまさん🐻活性発泡酒だった…。

いつもなら速攻で飲むが、しばらく冷蔵庫に保管した。
フルーティなはずなのに、なんだかほろ苦い味がした。
飲み終わって綺麗に洗って、しばらく花瓶として使っていた🥀

あれから月日は経ち、スタッフも入れ替わり立ち代わり…。
彼の中では私という存在は消えているかもしれないけれど、あの最後のたかちよのおかげで、私の中では彼の存在は永遠に消えることはない。

フルーティだから!そう言い続けたのは、日本酒に慣れていない私への気遣いだったのかもしれない…。

そう、彼の方がずっと大人でうわてだった。

お父さん、日本酒は悪酔いするというのは間違いだよ。唎酒師を取った今なら、沢山日本酒の話を一緒に出来るよ…🌾

なんなら、あの上司とも日本酒の話を沢山してみたい。あの時は何も理解していなかったから。

でも無理かな…?
きっと、「そうなんですねー✨」とひたすら聞いてくれる人が好みそうだから…🫶




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