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シャニマス短歌連作「物語と選択」
アイドルマスターシャイニーカラーズが6周年なので短歌を詠みました。28首あります。
ありがとう飛び立つためにゆっくりとひらく翼を信じてくれて
新しい信号の鮮やかな青 駆け出すように名前を呼んだ
永遠に光ってるから太陽は夜になっても誰かを照らす
鐘の音で始めてくれた愛として響かせている終わらない夢
油絵は雨に溶けないそれぞれに違う未来を選択しても
花を置く 魔法をくれた人がいて素敵な家に
シャニマスと短歌について
こんにちは、宇野なずきです。
今回は僕が常々感じていたシャニマスと短歌の繋がりについて書こうと思います。何故ならシャニマスがかなり好きだからです。シャニマスや短歌をよく知らない人にも分かるように努めますのでよろしくお願いします。
※シャニマスの色んなコミュのネタバレを含んでいます。見たくないと思ったら目をそらしてください。
・アイドルマスター シャイニーカラーズ(シャニマス)とは
アイドルマ
シャニマス短歌連作「光と歌」
アイドルマスターシャイニーカラーズの短歌を詠みました。25首あります。
幸せの象徴としてひろげてる翼は空と太陽の色
受け取って貰えたことで受け取った胸に灯されているお守り
虹 きみのすべては分からないけれど同じ星座になる約束を
まんなかに月 おかえりが聞こえればみんなのいるところが家になる
矢印の先が隠れている夜にやっと見つけてくれた間違い
静寂にあなたが回した鍵の音、くすんだ部屋が取
連作30首「自動継続」
第63回短歌研究新人賞応募作品「自動継続」です。
使うのにコツのいる電子レンジと七周年を過ごすアパート
料理上過失致死罪濡れた手でコップの死体処理を行う
観たかった映画のネタバレを調べて済ませばわずかに濁る血液
運命を変える作業は面倒で五分遅れのままの長針
すぐ遺書を考える癖、生き延びるせいでほとんど日記だけれど
消えたのか痛みに慣れただけなのか知る術のない腫瘍が重い
寝る前に開くス
連作50首「相続放棄」
第2回笹井宏之賞応募作品「相続放棄」です。
日常に関係のない糸を切る赤いコードはもう切れている
空っぽの宝箱では生きづらく家族を宝物としておいた
下水処理施設の前で待ち合わせ嫌なことばかり言いそうになる
その人が灰になっても大切なわたしの命に別状はない
容量の少なくなったお菓子みたい記憶よりも小さいあなたは
秘密基地みたいで結構いい部屋じゃんかっこいい呼吸器もつけてるし
なめらかに非
連作30首「錆びる」
第62回短歌研究新人賞応募作品「錆びる」です。
これは自戒 舗装されていない道をわざと選んで揺れる自転車
用のない団地の間を駆け抜ける誰も助からないスピードで
店内はビニールハウスのように人 人 人 古本買取の曲
昼間から足が痺れるまで立って救った世界を棚に戻せば
聖剣を抜くと銃刀法違反 殴られる前に殴ってはだめ
この胸に輝く高貴な金属は腐食しないはずなのにざらつく
金プラチナ高価買
連作10首「春のサブスク」
初見ですとチャットに書けば何となく気温が上昇したような窓
欠落をアイデンティティにしないよう四つ葉のクローバーを見習う
カーテンを買う予定を忘れたままの七畳に差す朝の直撃
はじめてのライブハウスまでの道でストリートビューになかった花屋
散る 散ると満ちる桜の絨毯を青い鳥から教えてもらう
春風は記憶の外部ストレージまだ泣かずに生きていけている
桜の花びら一枚で感傷的になり放題の春のサ
連作50首「希死念慮キック」
第64回角川短歌賞応募作品「希死念慮キック」です。
お会計ちょうどですね、で握り潰されたレシート見送っている
少しずつ取り戻せない損をするドリンクバーでお腹が痛い
ネカフェから出てしばらくは主人公だったのにもう背骨が歪む
錆びついた喉の操作がきかなくて弁当につくゼロ膳の箸
i don't know 帰巣本能 コンビニの前でフライドチキンを減らす
残された時間の渦で確実に起こさなければな
連作10首「特徴のない怪物」
リセマラってなんのことだよ特徴のない怪物として生きていく
ウルトラレア スーパーレア レア レアであることを誇りにしてはいけない
終わらないロード画面の端にいて永遠に転がされている脳
目を開くたびに下品な広告が視界を塞ぐ命 無料です
負けそうになると切断する癖のせいで仕事をバックれている
昨日死んだ誰かが生きたかった今日 無駄に過ごさせていただきます
一万日連続ログインおめでとう!
連作50首「不可逆の卵」
第63回角川短歌賞応募作品「不可逆の卵」です。
年上の人を大人と呼んでいる 火災保険の更新はがき
交流が推奨される飲み会でオレンジジュースを動かしている
自らに掛かる重さを理解した人が駅前で潰れていた
確固たる事柄を遠ざけているガチャガチャ回して変な消しゴム
帰宅してからも帰りたいと思うしばらくただいまを言っていない
不可逆の半熟卵ぬるま湯で中途半端に固まっている
手遅れの一歩手前で
連作30首「感情がなくて悲しい」
第60回短歌研究新人賞応募作品「感情がなくて悲しい」です。
人生のスタートダッシュを間違えてそれから走るふりをしている
最下位になったら拍手されるのに馬鹿な道化は演じたくない
笑ったら笑ったことを笑われてどの申請も許可が下りない
ばりばりと雑言の滝を浴びているマイナスイオンは感じなかった
感情がなくて悲しい 感情がなくて本当に助かりました
へえこれが同情というやつですか一緒に死んでくれ
連作50首「デザートの蜃気楼」
第62回角川短歌賞応募作品「デザートの蜃気楼」です。
きみのいる世界を食べてしまいたいきみを最後の楽しみにして
こんがりと色づいた頬トーストのように飛び上がりたい週末
禁断の果実のパイが焼き上がるまでのアダムとイブのお喋り
動物の型を抜いたらオーブンで命を与える共同作業
ざくざくと噛みしめている幸せの音源となる黄色いざらめ
ピーナッツバターみたいなカーディガンきみの背中に塗りつけている
連作20首「プロトコル」
清潔なふりをしている灰色の空気を深く吸い込んでいる
教室の言語に対応していない僕のノートを埋める文字化け
騒がしいクラスメイトの視線から安全に取り外されている
ディスプレイだけが明るい「ようこそ」と迎えてくれる野戦病院
受け取った以下同文は特別ではないと思い知らせる装置
情熱を持った自分の「次回から表示しない」にチェックを入れる
満員の銀河鉄道いつまでも機械の体は手に入らな