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【書評】投資と金融が解りたい人のための ファイナンス理論入門  富島祐允

1から3章の内容は以下の通りで、引っかかるワードがあったら手にとって良いと思う。

1章では、企業やさまざまな資産の価値を算定するプライシング理論としてDFC法、CAPM、β、WACC、NPV法、IRR法、マルチプル法(その際に使われるPERやEV/EBITDA)を紹介。つまりコーポレートファイナンスの基礎の概観をする。

2章からは資産運用の観点でポートフォリオ理論を紹介する。具体的にはCAPM理論とその基本要素(2基金分離、効果的フロンティア、接点ポートフォリオ)、マルチファクターモデル(Fama-Frenchの3ファクターモデル)、リスクパリティ戦略などだ。

そして3章ではファイナンスにおけるリスク管理に話題が及び、VaR、ファットテールと言った手法を紹介する。


本書が良かったのは、CAPMを企業の財務部が考えるようなコーポレートファイナンス側の視点と、投資家が考えるような資産運用の側面両方で説明しているところだと思う。もちろん軸足は完全に資産運用寄りなのだが、僕個人としては1章でコーポレートファイナンス寄りなCAPMの説明があったことが、後で出てくるポートフォリオ理論についての説明を理解する大きな助けとなった。

また、βはなんとなく(市場全体に比べてボラティリティの高い度合いのことかな?くらい)しか理解してなかったが、本書で、βはその証券特有の理由で動いている部分(個別リスク)を省き、市場全体に連動している部分の動きを大きさを表すものであることなど、ちゃんと概念を勉強できて良かった。

最終章でエクセルを使って手を動かして内容の復習ができる点もユニークで良い。

もちろん、扱う話題の広さの割に字数が少ないので、ごく薄く、広くとなるのは仕方がない。が、なんだか、テスト前に要点を復習するための参考書的な位置付けで非常によくできてると思った。
ファイナンス関係の本をいくつか読んだり、ニュースでファイナンスの話題に触れてきた後で本書を通読することで、頭の中がよく整理されると思う。



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