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令和 6 年度ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業(二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金) 公募要領を読み解きます。


対象資料

https://www.eic.or.jp/eic/topics/2024/st_r05c/002/files/SP_R5SR6_yoryo_v2.pdf?1716529830200

一般財団法人 環境イノベーション情報機構 (EIC

概要

ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業
(企業等の需要家の実情に応じて停電時にも必要な電力を供給できる機能を有した自家消費型太陽光発電設備や定置用蓄電池、車載型蓄電池等の導入を行う事業)

ちなみに「ストレージパリティ」の意味は資料内で説明があります。

「ストレージパリティ / storage parity: SP」とは、「太
陽光発電設備の導入に際して、蓄電池(ストレージ / storage)を導入しないよりも蓄電池
を導入した方が経済的メリットのある状態」を指す言葉です。

目的

本補助事業は、ストレージパリティの達成に向けてオンサイト PPA* モデル等に よる自家消費型太陽光発電や蓄電池などの導入を行う事業に要する経費の一部を補 助することにより、「再エネ主力化」と「レジリエンス強化」の促進を加速化し、 「2050 年カーボンニュートラル」の実現に資することを目的としている。 * PPA: power purchase agreement / 電力購入契約

・太陽光発電設備 定額(4万円/kW。 ただし、オンサイト PPA モデルまたは リースモデルの場合は 5 万円/kW(戸 建て住宅に限り 7 万円/kW))

・定置用蓄電池(業務・産業用) 定 額(4 万円/kWh(定置用蓄電システム の目標価格に 3 分の 1 を乗じて得た 額)。第 2 欄に掲げる間接補助対象経費 に 3 分の 1 を乗じて得た額を上限額と する)

・車載型蓄電池 定額(蓄電池容量 [kWh] の 2 分の 1 に 4 万円を乗じて得 た額。最新の CEV 補助金の「銘柄ごと の補助金交付額」を上限額とする)

充放電設備 2 分の 1(最新の CEV 補助金の「銘柄ごとの補助金交付額」 を上限額とする)および設置工事費 定額(1 基あたり、業務・産業用 95 万 円、家庭用40万円を上限額とする)を 合算した額

1.3. 補助金の要件①(全般)

ここからは見落としがちな項目を引用していきます。

平時において、導入する太陽光発電設備による発電電力を導入場所の敷地内(オンサイト)で「自家消費」すること。

※戸建て住宅を除き、原則として RPR(reverse power relay / 逆電力継電器)などの逆潮流を防止する機器を設置し、一般送配電事業者への系統連系の申し込みを「逆潮流なし(売電なし)」で行うこと。本補助事業で導入する太陽光発電設備の発電電力は対象施設で自家消費する必要があり、余剰電力の売電(電気事業者との個別契約(相対契約)による売電、FIT(固定価格買い取り)・FIP(フィードインプレミアム)制度の適用を受けることによる売電)や自己託送を行うことは認められない。

停電時にも必要な電力を供給できる機能を有する太陽光発電設備等を導入すること。
※本補助事業で導入する設備が対象施設(需要地)のレジリエンス(防災性)強化につながること。

補助金の要件②

02) 補助事業者(代表申請者、共同申請者)と需要家(共同事業者)の全員が次の① ~③を全て満たす者であること。本補助事業を継続的に実施するための健全な経 営基盤を有しており、事業の継続が認められる者であること。
① 直近の 3 決算期において、税引後当期純利益 [円] が連続赤字でない(直近 の 3 決算期の財務諸表を提出した場合、3 期連続赤字でない / 直近の 2 決算 期の財務諸表を提出した場合、2 期連続赤字でない / 直近の 1 決算期の財務 諸表を提出した場合、1 期が赤字でない)こと。
② 直近の決算期において、純資産(自己資本) [円] が赤字(債務超過)でな いこと。 
③ 直近の決算期において、「自己資本比率 [%] (純資産(自己資本) [円] ÷総 資産 [円] ×100)が 10%未満かつ流動比率 [%] (流動資産 [円] ÷流動負債 [円] ×100)が 100%未満」でないこと。 ※自己資本比率が 10%以上また は流動比率が 100%以上であれば、本項目には該当しない。

つまりは建物所有者やPPAの会社、リース会社が過去3期にわたって良い財務でないといけないと書かれています。

補助金の要件③(補助対象設備)

太陽光発電設備の発電電力量などの「計測機器」を導入し、本補助事業としての CO₂削減量の実績値を正確に把握できるものであること。「計測機器」を導入しないなどして、本補助事業としての CO₂削減量の実績値を正確に把握できない申請は認められない。。

P8

太陽光発電設備の補助対象経費(税抜)のみ(定置用蓄電池などの補助対象経費(税抜)を除く)の費用効率性(CO₂を 1t 削減するのに必要な費用)が
36,000 [円/t-CO₂] 以下であること(費用効率性の上限)。本来は補助対象にしなければならない経費を補助対象外経費にするなどして、本来の値より低く費用効率性を算定している申請は評価の対象外とする。

ここでまず対象費用の上限が決まっています。提出する工事費の見積もり金額を気を付けましょう。

〈停電時に使用する機器、非常用コンセント〉
停電時に需要家が使用しやすく、安全に使用できるものであること。

蓄電池からの出力はコンセント程度でも要件にはまります。大規模な高圧連系盤内の改造や停電時の自動切換え盤の導入までは必須ではありません。

補助金に応募する前に、次の点を十分確認すること。事前の調査不足や確認不足が原因で、採択後などに太陽電池モジュール(太陽光パネル)、パワーコンディショナー、定置用蓄電池、変圧器(トランス)などの数量や設置予定場所に変更が生じないようにすること。

応募⇒採択されてからの主要機器の設置数量、設置予定場所は変更できません。設備工事をお願いする会社に十二分に確認し進めるようしてください。

対象施設に設置する太陽電池モジュール(太陽光パネル)などの数量や設
置予定場所はインターネット上の衛星写真に画像を当てはめるだけでな
く、現場調査を行い、屋根の形状、既設の設備の有無、排気ダクトの位
置、日影の影響、防水工事の必要性の有無(太陽光発電設備等の設置工事
により雨漏りが生じないか)、配線ルートなどを確認した上で決定するこ
と。衛星写真は古い情報のことがあり、衛星写真の撮影後に機器が設置さ
れるなどして、補助対象設備を設置できないことがある。

必ず工事会社へ現地確認いただくこと。設備図面のような書式で詳細に記されている資料を用意する必要があります。

1.5.2. 定置用蓄電池

「蓄電池容量 [kWh]」の合理性について説明できるものであること。ストレージパリティを達成し、我が国の再生可能エネルギーの最大限導入と防災性強化を図るという本事業の趣旨に鑑み、太陽光発電設備の「太陽電池出力 [kW]」や「法定耐用年数における平均の年間余剰電力量 [kWh/年]」に比して「蓄電池容量 [kWh]」が非常に小さいと考えられる場合に、説明を求める可能性がある。

選定する蓄電池の蓄電容量は過不足なくベストな容量であるというストーリーが必要です。

04)本補助事業で導入する太陽光発電設備によって発電した電気を蓄電できるシステムになっており、平時において充放電を繰り返すことを前提とした設備であること。本補助事業で導入する太陽光発電設備によって発電した電気を蓄電できないシステムは認められない。原則として、本補助事業で導入する太陽光発電設備の発電電力の自家消費率の向上に資する蓄電システムであること。
05)定置用蓄電池を停電時の非常用予備電源としてしか使用せず、平時において充放電を繰り返さない使い方は CO₂削減につながらないため、認められない。

つまりは太陽光発電と連動するような運用ができる蓄電池である必要があります。

07)定置用蓄電池のみの補助対象経費(税抜・工事費込み)の「蓄電池容量」1kWh あたりの金額が「定置用蓄電システム普及拡大検討会(経済産業省 資源エネルギー庁)」で設定された 2030 年度目標価格の達成に向け、毎年度ごとに設定される「目標価格」以下の蓄電システムであること。「目標価格」を超える場合、定置用蓄電池については全額補助対象外となる。

※適切に補助対象経費と補助対象外経費を区分せずに「目標価格」が算定されたものは不適切な申請と見なす。
※定置用蓄電池への充電専用の太陽光発電設備の系統がある場合、その系統の太陽電池モジュール(太陽光パネル)やパワーコンディショナーは太陽光発電設備の経費に含め、定置用蓄電池の経費に含めない必要がある。見積書を取得する際、経費の切り分け方に注意すること。

2024 年度 〈業務・産業用〉蓄電池 「目標価格」 12.0 万円/kWh(税抜・
工事費込み)

ここでも費用の言及があります。これに沿った工事費用の見積りが必要です。

1.5.3. 車載型蓄電池
1.5.4. 充放電設備

EV車とEV車への充電スタンドなど必要設備も補助の対象になります。

1.5.6. 補助対象設備の法定耐用年数(処分制限期間)

業種に基づく法定耐用年数を用いる場合は、交付申請書に根拠資料を添付し、該当箇所を赤枠で囲うかマーカーを塗るなどして根拠を明示すること。本補助金を申請した後に補助対象設備の法定耐用年数を変更することは認められない。税務上の法定耐用年数と本補助金の申請における法定耐用年数は同じ年数を使用すること。異なる法定耐用年数を使用することは虚偽の申請と見なされる。適正な法定耐用年数であることを社内の経理担当や税理士などの専門家や所轄の税務署に本補助金を申請する前に十分確認すること。

1.7. 補助事業の期間

01)事業開始日:交付決定通知書に記載された交付決定日
※補助対象設備の発注、契約、支払いは必ず交付決定日以降に行うこと。完了実績報告書において、交付決定日(事業開始日)以降の日付で作成された発注書や納品書を提出できるものであること。補助事業者(代表申請者、共同申請者)が交付決定日(事業開始日)より前に発注した在庫品を本補助事業で補助対象経費として計上することは認められない。

02)事業完了日:原則として、「①導入する全ての補助対象設備の引き渡し(検収)」と「②販売事業者や施工業者などに対する補助対象経費の全ての支払い」が完了した日

※①と②の両方を補助事業の実施期限(2025 年 1 月 31 日)までに完了させること【期限厳守】。

文章だとイメージしづらいですがかなりタイトなスケジュールです。交付決定日から速やかに処理していきましょう。

スケジュールイメージ

抜粋

1.8.1. 補助対象経費

原則として、補助対象となる経費で本補助事業が成立する必要がある。補助事業の実施に必要な設備(機器)の費用に加えて、その設置や接続の費用なども「補助対象経費」として計上すること。適切に「補助対象経費」を計上した申請が費用効率性などの評価において不利にならないようにするためにも、例えば太陽電池モジュール(太陽光パネル)とパワーコンディショナーのみを「補助対象経費」とし、工事費を全て「補助対象外経費」とするなどといった申請は認められない。

極端な工事代金の振り替えはNGです。

5.5. (4)補助事業の開始、補助対象設備の引き渡し(検収)、補助対象経費の支払い

02) 補助対象設備の発注は原則として、交付決定を受けた第二段階の交付申請書に添付した採用見積のとおり行うこと。

5.6. (4’) 交付決定を受けた第二段階の交付申請書の内容の変更

01) 交付決定を受けた第二段階の交付申請書に添付した採用見積と異なる内容で発注をしたい場合や補助事業を進める中で交付申請書の内容に変更点が生じた場合は、必ず事前に機構に相談し、変更点や変更理由を報告した上で補助事業を進めること。補助事業者(代表申請者、共同申請者)の独断で機構に対する事前の相談無しに交付申請書と異なる内容で補助事業を進めた場合、補助金の交付(支払い)ができない場合がある。事後の報告にならないよう、十分注意すること。なお、補助事業の目的や補助金の要件に反する変更は認められない。

5.8. (6)事業報告書の提出

01)補助事業者(代表申請者、共同申請者)は補助事業の完了の日の属する年度の翌年度から 3 年間、年度ごとに当該補助事業による過去 1 年間の二酸化炭素削減効果等にかかる事業報告書を環境大臣または環境大臣が指定する者に提出しなければならない。補助事業者(代表申請者、共同申請者)はこの報告をした場合、その証拠となる書類を当該報告にかかる年度の終了後 3 年間保存しなければならない。

03)完了実績報告書に記載した CO₂削減量の計画値などを達成できなかった場合、事業報告書にその原因を記載すること。災害などによりやむを得ず計画どおりの CO₂削減量を達成できなかった場合においても、停電時の発電や電力供給などの面で補助事業の効果を発現する必要がある。

設備導入からの報告義務があり、計画値と乖離がある場合には原因の調査が必要です。

補助金を申請するにあたっての注意点

機構が補助金の交付決定通知書を通知する前に発注、契約、支払いをした経費については、補助金の交付の対象になりません。

本補助事業の実施期間(補助対象設備の法定耐用年数の間)において補助事業の効果が発現していないと判断される場合(太陽光発電設備等が稼働した後の CO₂削減量などの実績値が完了実績報告書に記載した数値を下回る(未達)状態が続いた場合など)、運用方法の見直しや補助金の返還などを求める場合があります。

以上

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