プロフェッショナルの流儀#1
こんにちは。
株式会社REGATEの金城です。
本日お披露目するのはお客様とのやり取りではなく、我々不動産売買の業種と切っても切れない先生との懐かしくもほんのり甘酸っぱい思い出話。
皆さんにも初恋の時のような甘酸っぱさを共有してもらう内容となります。
ではど~ぞ~
◆条件付き物件
「金城さん。ちょっと相談があるんだけど」
売主さんはこの地域で名を馳せる大地主の名倉さん。
本来、私のような弱小企業が相手にされるような人ではない。
だが名倉さんのお子さんの難しい取引を上手くまとめた事を評価してもらって呼び出された。
「金城さん。この物件は他の不動産屋さんからもやらせてくれって声がかかっているんだけど、君が一生懸命やっているから君だけに任せるよ。その代わり一つ条件があるけどね」
“この物件”とは一瞬で決まるだろうという好条件の戸建て。
賃貸に貸し出すとすぐに利回りで20%を超えるくらいの価格設定。
他の業者さんが食いついてくるのも頷ける。
創業間もない弱小企業としては喉から手が出てその指先から更に何かが出てくるくらい是が非でもほしい案件だ。
だが、こんな時の『一つの条件』ってろくな事無いんだよなぁ・・・
「ありがとうございます!早期の成約をお約束します!
条件とは何でしょうか?」
「うん。そんなに難しい話じゃないんだけどね。
私の嫁のお兄さん。つまり義理の兄ね。
そのお兄さんが司法書士をしていて、ベテランの岩山さんって言うんだけど知っているかな?この業界で長くやっているらしいんだけど。
登記関係はその人に一任してもらうというのが条件なんだけどさ。最近義兄さんに仕事を振っていないって嫁に愚痴られたから今度は必ず回すからって約束したんだよねw」
え??
それだけ?
そんな楽勝な条件でこんなにいい物件をくれるの?
岩山司法書士・・・聞いたことないな。
司法書士なんて腐るほどいるし、長くやっているからって有名なわけじゃないしw
「はい!!!問題ありません!ありがとうございます!ベテランの先生ならこっちも安心です♪お任せください♪」
◆固定電話の司法書士
ご縁で貰えた好条件案件♪
これはスピード感を持って取り組むことにしよう。
「早急に売り出しを行いますのでこちらの委任状にサインをいただけますか?私の懇意の顧客でめぼしい人がいます。すぐに契約になると思います。あと、岩山先生の連絡先をお願いします!」
早速、帰りながら固定資産税の公課証明書を取得。
事務所に戻り謄本を取得し売買の概要書を作成。
あとは登記移転の見積もりができたらお客さんに流せるという状態まで仕上げる。
教えてもらった岩山司法書士の番号は固定電話。名倉さんは先生の携帯を知らないとのこと。
とりあえず電話をかける。
トゥルルルー・・・カチ
プププププ・プププププ・・・・・
『呼び出しましたがお出になりませんでした。ピーという発信音の後にメッセージをどうぞ・・・』
固定電話のコールがすぐに転送。そこから留守電までのスパンが短い。
留守電に名倉さんからの紹介で移転見積もりを欲しい旨を残す。
留守電なんて何年ぶりに吹き込んだだろうか・・・
出来れば今日中に見積もりが欲しいんだけどな・・・
念のためHPをチェックしてみようか。
『岩山 司法書士』検索っと。
。。。なし。
やっぱりね。予想通りだ。
一人でやっているタイプの司法書士ならあり得るか。
『○○-◆◆-××(電話番号) 岩山 司法書士』
検索っと・・・
ヒットしたのは司法書士会の名簿ちっくなヤツ。
どうやらHPは無くて個人でやっているのが濃厚なようだ。
補助者がいなくて一人でやっている司法書士。しかもベテランという事はアナログでやる感じか。
見積書とかもFAXしか使えないんだろうな・・・
・・・少し気が重くなったw
いや、違う違う。違うぞ金城。
忙しい先生で今も決済中で電話に出られなくて、補助者も出払っていて忙しいんだよ。敏腕で手際よく仕事をこなして案件が鳴りやまないくらい忙しい人なんだよ。
ベテランでHPが無いだけだよ。
それだけの事でアナログで手際が悪いとか決めつけちゃいかん!
HPなんてものが無くても集客ができて毎日忙しい先生はたくさんいるさ!
HPが無いことで偏見を持つのは俺の悪い癖だ♪俺のバカバカ♪
相手はベテランのプロ中のプロだ。
俺より何年も大先輩だ。
年配の方を敬おう♪そろそろ敬老の日だし。
老じn・・・プロにはプロのやり方があるってもんさ♪
◆買い付け
いつも使っている司法書士と比べても登記移転の費用なんて司法書士報酬額が高いか安いかくらいだもんな。
いつもの先生なら見積もり依頼は10分くらいで返事が来る。
あの先生のとこは補助者も潤沢にいてスピード感があるから助かるんだよな。
でも今回は売主さんの指定だから贅沢は言えない。
報酬額にそんなに大差はないだろうから、移転見積もりは概算で作成してすぐに思い当たる買主さんに物件情報を送る。
「金城さん。いい物件だね~。これ買います。買い付けはメールに送っておくね。すぐに契約の準備できる?」
おお♪最高のレスポンス♪こうでなくちゃ♪
この買い手さんは本田さん。
何度も私から物件を買ってもらっているいわゆる常連さんだ。
いくつもの取引をさせてもらっていてお互いのやり方も熟知しているし即断即決即金というスピード感あふれる取引をしてくれるとてもありがたいお客様。
指値交渉もなくこちらで重説と契約書ができ次第すぐに契約したいという方向で話がまとまった。
「本田さん。今回は売主さんから司法書士の指定があるのでいつもの下川先生では無いんです。ちなみに登記の見積もりもまだできていませんw」
「ん?下川先生じゃないんだ。了解了解。特に問題ないでしょ。重説とか契約書ができるまでには見積もりも出てくるんじゃない?その間にこっちで実際に現地も見てくるからさ。あと、銀行にも根抵当の融資枠とか確認しておくね」
流石は本田さん。話が早いし何でも前倒しで動いてくれる。
そうと決まればこっちも重説と契約書の作成だ。
翌日。
本田さんは現地確認も終えて銀行の担当との融資枠の打ち合わせも終えたと連絡が入る。
こっちも全ての調査を終えて重説と契約書を作り終えた。
いい感じのスピードだ。
・・・登記移転見積もり以外は。
岩山司法書士からの折り返しは・・・相変わらず無い。
何度か電話をするも固定電話から携帯に転送されてすぐに例の『この電話をお呼びしましたが…』というアナウンスになる。
本田さんと相談し司法書士の見積もりは後回しでとりあえず契約日程を詰める事にしようという話になった。
司法書士の費用が発生するのは決済の時だけだし。まだまだ時間に余裕があるし。見積もりは後回しでも大丈夫だ。
よし、とにかく契約。
それまでに司法書士に鬼電追客をしようwww
◆はいはいはいはい
売主の名倉さんと本田さんの契約日程の調整はスムーズに完了。
何回も電話をするが岩山先生には繋がらないw
一応契約が完了したという旨のあいさつ文と契約書のコピーをFAXしておく。
司法書士と全然連絡が取れない事を話し、名倉さんにお願いしてこっちに電話をしてもらえないか奥さんを通して連絡してほしいと伝言。
名倉さんは苦笑いをして気まずそうな感じだった。。。
するとその日の夜に着信。
表示名は『岩山先生 司法書士』。
固定電話で折り返しか~~~www
携帯で来れば今後は少しやり易くなったのに。。。
まあ、贅沢は言ってられんか。
「あ~金城さん?名倉さんから連絡してって言われてね。岩山だが。」
しょっぱなからタメ口で横柄な感じの上から目線全開の団塊おやじ。
年下でも敬語で話すのがマナーですよ、、、
てか団塊の世代の先生と呼ばれる仕事の人に多い傾向だけど弁護士でも医者でも学校の先生でもいきなり頭ごなしに上から目線で喋るとこっちの気分は悪くなるよ?気を付けようね。
「岩山先生!夜分にご連絡ありがとうございます!名倉さんの物件を今週末に契約しますから登記移転の見積もりなどを頂きたいんですが・・・」
「あ~はいはいはいはい。では謄本と評価証明をFAXしてもらえる?番号はね。え~と○○-××××-△△。よろしく」
「ありがとうございます!明日朝一でお送りしますね!」
「あ~はいはいはいはい。でも明日は土曜でしょ?返事は週明けになるけどいい?」
・・・。
「はい。よろしくお願いします」
嫌な予感がいろいろ的中。
売主さんも買主さんもスピード感あるけどこの司法書士が足を引っ張りそうな気配。
あと、「あ~はいはいはいはい」がムカつくwww
子供の時に『はいは一回!』って怒られなかったのかな?
とりあえず翌日に謄本とFAXを送る。
週明けになるって言ってもさ。土曜日にちょこっと見積もるくらいなら祝日だろうが年末年始だろうができるじゃん?こっちは週末に契約するって言っているから気を使って『すぐに出しますよ。』くらい言ってくれてもいいじゃない。
法務局が閉まっているからってあんたも一緒に休む必要ないよね?
いや、俺の悪いとこがまた出てるぞお馬鹿さん♪
働き方改革のこのご時世だぞ。
ちゃんと休まないといけないんだよ。
先生は平日はずっと決済で事務所に戻れないから、電話にも出れないくらいの超忙しい方なんだ。
だから今日の夜まで折り返しもできなかったんだよ。
土日くらい休んでもいいじゃないか。
うん。いいじゃない。
・・・忙しい先生なら。
◆契約完了
週末の契約はスムーズオブスムーズ。
決済条件として確定測量完了後に引き渡しという事になった。
家屋調査士は3週間で終わらせると言ってくれたが余裕を持たせて1ヶ月後に設定。
タスク整理をしよう。
岩山先生から登記見積もりを貰って、根抵当権の設定の銀行担当に連絡して、、、、おっと、名倉さんの根抵当抹消もあったな。
そんなに難易度の高いタスクじゃないな。
ま、決済までいろいろと余裕を持っているから大丈夫っしょ♪
月曜日。。。
岩山先生からの見積もりは届かない。
うん。忙しいもんな。仕方ない。
電話をしてもいつもの留守電。
念のために再度FAXを送る
『週末にお送りしたものが届いていないと思うので再送します』
これで嫌味にならずに気づくだろう。
火曜日。。。
うん。来ない。
まだ忙しいんだよな。
決済までは一か月。時間は余裕だ。
見積もりなんて一週間後でも大丈夫だけど。。。
念のためFAX・・・
水曜日。FAX。。。
木曜日。FAX。。。
来ない。
うん。これは怒ってもいいんじゃない?
名倉さんにチクって司法書士変えてもらおうか?
仮にこんなに忙しい先生ならこの一件の案件くらい無くても全然食えるっしょ。仮にね。
うん、そうしよう。
「金城さん。ごめんね~。義兄さんは連絡とりにくいから俺もあまり任せたくなかったんだよねw。んであまりにも案件を回さないからって嫁を通して愚痴を言われちゃってさ。今回は付き合ってもらえるかな?連絡させるように言っておくから」
そうか。名倉さんも連絡がとりにくい事を知っていての対応なのか。
名倉さんのご家庭のパワーバランスとかもあるし、岩山先生を使うのが専任の条件だったしな。
それなら仕方ない。我慢だ我慢。
金曜の夜。着信。
『岩山先生 司法書士』
畜生wまた固定からだwww
もしかして今のご時世に携帯持っていない?
まさかな。。。
「ごめんごめん。今週はちょっとゴルフとかが忙しくてさ。週明けに送るから。あと、こんなに何件もFAX送らなくてもいいのに。紙が勿体ないな」
イラ
・・・ごるふ?
いや、今送れよ。固定電話で掛けてきているってことは目の前にFAXあるよね?ゴルフが忙しい?はあ?それ仕事を遅らせる理由にならんけど?お前がゴルフで無視したんだろ?おい。
紙が勿体ない?なら確認しているけど遅れますくらい一報すればいいだろ?
ていうかゴルフが忙しくてっていうなよ。せめて仕事が立て込んでるとか嘘つけよ・・・
だめだ。怒りを抑えよう。。。。
ふぅ・・・
「岩山先生。日中お忙しいようですのでメールとか携帯とか教えていただければ連絡が取りやすいんですが」
「あ~はいはいはいはい。ごめんね~。携帯は持ち歩かないから。あとメール?それもやっていないからさ。よくわからなくてさ~がっはっは。じゃ、週明けに送ります~」
ガチャ。
イラ・・・・
はいが多いんだよ。
あと、携帯は持ち歩かない?
メールもしない?
平成の売れっ子キャバ嬢の体のいい断り文句かよ。
がっはっはじゃねぇし。
昭和じゃあるまいし連絡取れない状態で、それでどうやって仕事すんだよ。
ふぅ・・・先が思いやられる・・・
週明け。月曜の昼過ぎにFAXで移転登記の見積もりが届く。
内容は司法書士協会から渡される基本フォームに手書き。。。
アナログでやるにもほどがある。
これだから老害と団塊と地場二桁不動産屋は。。。
だが見積もりが明らかに高い。
司法書士報酬が若干割高というのもあるが見積額が想定の倍くらいの金額だ。
専住なしで根抵当権設定を加味しても高い。
何か見落としは。。。
あった!
評価額間違えてるし!そのせいで登録免許税が跳ね上がってる!
イライラ!!!
こんだけ待たせて間違えた見積もりってふざけんなよ!!!
てかこんだけやり取りが不便な人と見積額の訂正とかFAXで指摘し合うの???
決済まで残り3週間。
はぁ・・・・(*´Д`)
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いかがですか?
私の甘酸っぱい思い出話。
ムカムカして皆さんの胃酸もこみ上げて甘酸っぱくなってきましたか?
初恋のあのやりきれない気持ちを思い出してもらえてうれしく思います。
さて、この司法書士とのやり取りはここからが佳境ですが
いつものごとく長くなったので次回に持ち越します。
次回予告
・ちゃんとした見積もりは来る?
・決済に間に合うか?
・カリン様の修業終了!タオパイパイとついに決着!
では~
沖縄の不動産という独特な世界に迷い込んでいます!明るい外の世界の事は忘れました!これからも深海をはいずります!